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本編
72
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調査を再び開始してから1時間ほどたったころ、森の中に少しだけ開けたところがあった。進むにつれ休憩できる場所も必要だったので、一旦はここに休憩場所を作るため大きめに草を刈り吹き飛ばす。直径10mほどの空き地ができ、そこで実際に休憩を取る。
「いい場所が見つかって良かったわね」
「ほんとほんと。森の中でも前に使われてたのかな~」
「人の手が長く入っていないだけで未開の地ではないからな、そういうことだろう」
キルドとフォルトは周辺の木や草をどかした後に以前も人の手が入っていたみられる痕跡を発見していた。
「でも、こういうところは助かるよね。魔物の生息は変わっても一応、前は使えてたっていう実績になるし」
「水源、もしくは一定の安全が担保できていたという事だからな」
「そう考えると休憩できる小屋とか欲しくなるわね」
「それがあったとして中を開けたいかといわれると微妙だがな」
「怖いこと言わないでよ」
「でも、実際はドアさえ開いてれば結構いろんな生き物が使うんだよねぇ」
そんな話をするとなんだか寒気がしてくる。ようやく休めたというのにこれ以上は話に付き合わないでおこう。
「休憩もそろそろ終わりだな。もう少しだけ進んでみよう」
キルドとカークスが地図を見て先に進むことに決めた様だ。以前の地図との対比ではもう少しで半分ぐらい進むことになる。進みたい気持ちはあるが、今日のところは襲撃もあったため手前で切り上げるという事なのだろう。
「それじゃ、進むとしますか」
キルドが先頭に立って進んでいく。ただし、進み方は昨日よりも慎重にだ。
「もうそろそろ目的地かしら?」
「そうだな。今日はその先に見える少し大きな木で引き返すとしよう」
ガサガサ。
「何だ?」
目的の木の向こうから音がした。注意してその先を見るとワイルドウルフのようだ。昨日逃げた群れの残りだろうか。
「1、2、…3頭か」
「一応見えてるだけだとね」
「最低5頭の感覚で行こう」
昨日と違って、相手の出方も少しは予想できるためフォルトを先頭にして、私とカークスが両脇を固め正面の3頭の対応に当たる。エミリーは手前の木を背にしてキルドと一緒に後方支援だ。
3頭が一直線に並んでフォルトに向かってくる。相手の攻撃に間に合うように私は右から距離を詰める。フォルトの槍が先頭のワイルドウルフの頭をかすめる。しかし、致命傷にはならず、攻撃を止めるだけにとどまる。続いて2体目のワイルドウルフが跳びかかってくるのを左腕で払いのける。
「はあっ!」
開いた胸元に再度3頭目が襲い掛かろうとしたところを、距離を詰めた私の剣が止めに入る。空中で器用に向きを変えたワイルドウルフは爪で剣を受け止めるが、そこに反対側から突っ込んでくるカークスの剣に対応できずに脇腹に剣が突き刺さる。
「どうだ!」
よろよろと立ち上がろうとするワイルドウルフだったが、うまく歩くこともできないようだ。その間に私は1体目に狙いを定める。攻撃を防がれた後、後ろに抜けエミリーに迫ろうとしているためだ。
「風よ、わが前に集いて解き放て」
私の左手から放たれた魔法は後ろからワイルドウルフに襲いかかる。しかし、それをかわしつつ、ワイルドウルフはエミリーに迫る。
「エミリー!」
「了解だよ!水よ、水鏡の形をもってわが身を守れ!」
エミリーの前に瞬時に水の盾が現れ、突進してきたワイルドウルフを正面で止める。
「もらい」
エミリーの護衛として木の上から様子を見ていたキルドが3本の矢を一気に放つ。矢は首筋と肩にそれぞれ命中し、ワイルドウルフの活動力を奪う。これで残りは1体だ。もちろん以前のようにどこかから襲撃される可能性もあるが、とにかく決めてしまう方が安全だろう。
「フォルトそっちだ!」
「任せろ!」
もう一体のワイルドウルフはフォルトとカークスの連携攻撃によって、手出しできないようだ。そして、カークスに跳びかかろうとしたところを槍で貫かれて絶命した。
「よし、一旦はこれで終わりか?」
「昨日みたいに横から出てこなくてよかった」
「本当ね。さすがにもうあの群れはいないのかしらね」
「しかし妙だな。昨日の奴の群れとしても傷を負っている奴はいなかった。あいつはどうしたんだ」
「ケガがひどいから来ていないのか、別の理由か…」
「それより、みんなけがはない?」
エミリーに言われ、みんな自分の身を改めて確認する。2度目の襲撃という事もあって被害がないのは幸いだった。それも1体当たりの強さでいったら先ほどのワイルドウルフは少しばかり弱かったように感じる。
「多分同じ群れよね。最初のが狩りの部隊だったのかしら」
「規模や数を見てもおそらくな。狩りに長けたものの被害が大きくあまり得意でないものも出てきたんだろう」
「あれで得意じゃないっていうのも冗談みたいな話だけどね」
「何にせよこれ以上の戦闘は危険だろう。撤収の準備だ」
準備をしようとバッグを取ろうとしたときに変な感覚に襲われる。念のために索敵魔法を使っておいたのだが反応があるようだ。
「みんなちょっと待って、まだ何かいるみたい」
「なに!警戒を続ける。どこか分かるか?」
「荷物を置いている向こうよ」
私たちは再び武器を構えながらそちらの方に注意を向ける。最初は動きがなかったが、あちらもこっちが気づいていると分かったからか姿を見せる。
「ワイルドウルフが2頭。傷ついているところを見ると昨日のやつね」
しかし、獰猛なはずの彼らは一向に襲ってくる気配がない。ひょっとしたら最初は連携して戦うつもりだったのかもしれないが、途中で戦意を失ったのだろうか。
クルルル。
威嚇しているような声で鳴く。なにかを訴えかけているのだろうか?意図がつかめないためカークスたちに目配せする。
「振られても流石にわからん」
「だねえ。襲ってこないところを見る限りは悪いことじゃなければいいけどね」
『汝がここの長か?』
頭の中に声が響いてきた。ワイルドウルフの傷を負った方から魔力の流れを感じる。きっとこの個体から魔力で訴えかけているのだろう。
「こうかな?」
魔力の流れを伝うように私は返事を試みる。
『私ではなくてあっちの男がリーダーよ。ただ、面倒だから私が話を聞くわ』
成功しているか判らないが、こういう魔力の会話方法をいちいち教えるほど器用ではないし、正直あまりここに長居する余裕もない為、代わりに聞く。
『そうか。前回、今回と見事だった。おかげで我が群れはもはや2人になってしまった』
『こっちも命がけだからね。さすがにかみつかれた時は焦ったわ』
『だが、それすらも克服しこの森で勇猛を誇る我が群れにもはや未来はない。好きにするがいい』
首を差し出すかのように傷ついたワイルドウルフは1歩前進してくる。
「ティアどうした?近づいてきてるぞ」
「大丈夫よ。魔力を使って話ができるみたい。戦意はないみたいよ」
「本当か?エミリー分かるか?」
「う、うんと、確かにティアとあっちのと魔力が行き来してるからほんとみたい。話の内容は分からないけど」
「あれだけ獰猛な生物にも知性ってあるんだね」
「群れを率いて戦う以上は当然かもしれないな」
「ちょっとだけ静かにしてて。まだ、話し方に慣れてないから気が散るわ」
私は再びワイルドウルフの会話に入るよう集中する。
『好きにってことだけど、あなた達は森には詳しいのよね?』
『無論だ。我らは森の狩人、この森に分からぬことはない』
『じゃあ、最近までいた飛竜たちがこの先の山から消えた理由は知ってる?』
『あ奴らは大空を舞い、一所を住処とせぬ。ゆえに逃げたのだ』
『逃げた。なぜ?』
『まがい物ではない、この地にいたものが蘇りつつある。それを感じ取りいち早く住処を変えた。我らはここ以外に住むことを考えられぬ。ゆえに今もいる。こうなってはもはや意味はないがな』
『この森には何がいるというの?』
『我も伝え聞くのみ。しかし、かつては多くの人を葬り、この森を不可侵にしたものと聞いている』
「飛竜や人では敵わないもの…」
「どうした。何か分かったか?」
「この子が言うにはこの森に封印されたものが復活するらしいわ。それにおびえて飛竜は出ていったというの」
「飛竜が逃げ出すなんてまるでドラゴンみたいだね」
「…ドラゴンか。確かに飛竜より上位の竜種なら一番恐怖するのは飛竜だろう。住処を奪われるどころか壊滅させられる危険すらある」
「まだ、決まったわけじゃない。それに調査結果としてある程度断定できる証拠がいるな」
「流石に森のワイルドウルフに聞きましたとは言えないわね」
「で、その子たちどうするの?」
「群れとしてはこの2頭だけで敵意はないって言ってるけど、他人を襲わないとは限らないのよね」
人に明らかに害をなさないのであればいいが、あくまで戦力が落ちて今後は森での狩りも難しい為に戦意喪失しているだけだ。この後、解き放って何もしないなんてことはないだろう。
『あなたたちここの飛竜とは仲良かったの?』
『馬鹿を言うな。他人の獲物を横取りするような恥知らずどもに遊戯はない!』
オォーン。
なにか触れてはいけないところに触れたようだ。数がいるといっても、フォルトのアーマーを傷つけられないところを見ると獲物を取られたこともあるようだ。狩人を自称するところから見ると、獲物に対する考え方がまるで違うようだ。あくまで自分で仕留めるものという事らしい。
「何か怒らせること言ったのティア?」
「みたいね。飛竜たちとは仲が悪いみたい」
「どうせ倒すのに気が引けるんだろう。代わりに…」
「まあ、待ってよカークス。飛竜と仲悪いんならさ、カリンの村にでも番犬代わりに住んでもらえば?」
唐突にキルドから提案が入る。確かに敵の敵は味方だけど、ハーピーたちはともかく彼らが納得するだろうか?
「どうだろうな。共生できるような形ならいいが」
「駄目元で聞いてみましょうか」
『ねえ、あなた達。この森の北に行った渓谷に飛竜は今いるのだけど、そこに飛竜に襲われたハーピーたちの村があるの。そこに住んでみない?もちろん人を襲うのは禁止よ。ハーピーたちを襲うような悪人なら仕方ないけれど』
『飛竜どもと戦うハーピーがいるのか?奴らでは敵わないと思うが…』
『私たちと一緒に成体の飛竜を倒した子がいるわ。他にも私たちみたいに魔法を使う子もいるからあなた達よりも強いかもね』
ピクリとワイルドウルフが反応する。自分たちより下位に見ている種族の方が強いと言われて気に障ったのか。
『ほほう、そういうなら特に生きる気もなかったが最後に一目見なければな』
ガウガウ。
心なしか前回の襲撃よりやる気が出ている様だ。カリンには大変苦労を掛けると思うけれど、ここは我慢してもらおう。
「どうだ?」
「別に構わないって。ハーピーがどこまで強いか気になるみたいね」
「結局はそこに落ち着くのか」
「自分たちは森の狩人だといってるからしらね。カリンたちのことは気になるみたい」
「だが、連絡は取れないしどうするんだ?」
「仕方ないから首輪か何かに手紙をつけて読んでもらうしかないわね」
『私たちは飛竜がここを動いた原因を探っているの。明日もここに来るから知っていることがあればまた教えて』
『よかろう。我らも数が減り森では生きにくい。この周辺にいるとしよう』
『それと、暴れたり奇襲したりしないようにこれつけとくわね』
私はもう1頭のワイルドウルフに首輪をつける。革製の見た目は何でもない首輪だが、内側に魔法石がはめ込まれ主人の意に反すれば首輪が締まるか、爆発する仕組みだ。
『いい、変なことしないでね』
『我にはつけんのか?』
『あなたにはいらないわ。あなたが守りたいのはこの子でしょう?』
『むむう』
一回り小さいワイルドウルフはきっと子供なのだろう。姿を見せているときからおびえた雰囲気を出しているし、狩りの経験も少ないのだろう。
『それじゃあまた来るからよろしくね』
私は手を振って帰る準備をする。みんなも話が済んだのが分かり、それぞれの荷物を片付け始める。
「ハーピーの次はワイルドウルフか。変わったパーティーになったものだ」
「ごめんなさい、いつも迷惑かけるわね」
「まあ、冒険者としては変わってるほうがいい」
「確かにね。何年もたって武勇伝を語るときに、みんな信じなくてもすごいネタになるよね」
「キルドったらみんなに話しちゃうの。もったいないよ?」
「勿体ないか、そうかもな」
思い思いに話しながら帰りだす。ワイルドウルフたちは見送ったかと思うとすぐに姿を消してしまった。この森で彼らが少数で生きることはそれほど危険なのだろう。
「それにしても、魔力で会話が成立できるなんてティアって物知りだね」
「あれは偶然よ。話しかけてきたのも向こうからだし、カリンと出会ってなかったら思いつかなかったと思うわ」
「それでも一発成功でしょ。うらやましいよ。僕らじゃ何言ってるのかわかんないしさ」
「まあ犬は喋れないわよねきっと」
「わたしも話せるようになるかなあ」
「エミリーならきっとできるわよ。魔力のコントロールなら私よりできてるんだから」
実際にエミリーの魔力操作はすごいと思う。攻撃魔法の調整もそうだけれど、森の中で索敵魔法を広範囲に掛けることもできる。私のものは風を送り込んで、気流の変化を感じ取るもので草なんかにも反応するし、広範囲には使えない。正直、今では真似しようという気も起きないぐらいこの分野では差があると思う。
「じゃあ、今度カリンちゃんの村に行ったら教えてね」
「ええ、いいわよ」
そうして、私たちは今日も探索を終え宿に戻る。帰るときにはワイルドウルフの毛皮なども持ち帰った。あの2頭には悪い気もするけれど、倒した獲物には違いないし、ギルドに報告するときに襲ってきたのは全部倒しましたと報告する必要がある。報酬に直結する問題だし、いないことにしてしまっては討伐隊のレベルが下がってしまう。この先に出会うのはもっと強い生物だろう。それに見合ったパーティーが来るようにきちんとした報告書を書かなくてはいけない。
「それじゃあ、今日の報告書をお願いね。カークス」
「ああ、ワイルドウルフの部分は少しだけぼかしておく。だが、報酬にきっちりかかわる部分だから、手は抜かないさ」
「さじ加減だよね。まあ、実際手ごわかったし、森には他の生物もいるだろうから注意しないとね」
「明日はそれを先に聞く方がいいな。他のワイルドウルフの群れがいるかもという事もだが、他の生物の情報もあれば調査も進みやすい」
「それじゃあ、私はこの魔物図鑑を持っていくわね。これがあれば分かり易くなるでしょうから」
「そうだな。情報をもとにしながら進むことができれば、効率も上がるだろう。休憩も入れて少し多めに食料も持っていくか」
「最終の目的に付近まで行けることを目標にしよう」
その後は持っていくものをリストアップしてから、地図を作る作業をして今日は早めに寝ることにする。私やエミリーも戦闘で疲れており、簡単にお風呂に入った後、すぐに眠った。
「いい場所が見つかって良かったわね」
「ほんとほんと。森の中でも前に使われてたのかな~」
「人の手が長く入っていないだけで未開の地ではないからな、そういうことだろう」
キルドとフォルトは周辺の木や草をどかした後に以前も人の手が入っていたみられる痕跡を発見していた。
「でも、こういうところは助かるよね。魔物の生息は変わっても一応、前は使えてたっていう実績になるし」
「水源、もしくは一定の安全が担保できていたという事だからな」
「そう考えると休憩できる小屋とか欲しくなるわね」
「それがあったとして中を開けたいかといわれると微妙だがな」
「怖いこと言わないでよ」
「でも、実際はドアさえ開いてれば結構いろんな生き物が使うんだよねぇ」
そんな話をするとなんだか寒気がしてくる。ようやく休めたというのにこれ以上は話に付き合わないでおこう。
「休憩もそろそろ終わりだな。もう少しだけ進んでみよう」
キルドとカークスが地図を見て先に進むことに決めた様だ。以前の地図との対比ではもう少しで半分ぐらい進むことになる。進みたい気持ちはあるが、今日のところは襲撃もあったため手前で切り上げるという事なのだろう。
「それじゃ、進むとしますか」
キルドが先頭に立って進んでいく。ただし、進み方は昨日よりも慎重にだ。
「もうそろそろ目的地かしら?」
「そうだな。今日はその先に見える少し大きな木で引き返すとしよう」
ガサガサ。
「何だ?」
目的の木の向こうから音がした。注意してその先を見るとワイルドウルフのようだ。昨日逃げた群れの残りだろうか。
「1、2、…3頭か」
「一応見えてるだけだとね」
「最低5頭の感覚で行こう」
昨日と違って、相手の出方も少しは予想できるためフォルトを先頭にして、私とカークスが両脇を固め正面の3頭の対応に当たる。エミリーは手前の木を背にしてキルドと一緒に後方支援だ。
3頭が一直線に並んでフォルトに向かってくる。相手の攻撃に間に合うように私は右から距離を詰める。フォルトの槍が先頭のワイルドウルフの頭をかすめる。しかし、致命傷にはならず、攻撃を止めるだけにとどまる。続いて2体目のワイルドウルフが跳びかかってくるのを左腕で払いのける。
「はあっ!」
開いた胸元に再度3頭目が襲い掛かろうとしたところを、距離を詰めた私の剣が止めに入る。空中で器用に向きを変えたワイルドウルフは爪で剣を受け止めるが、そこに反対側から突っ込んでくるカークスの剣に対応できずに脇腹に剣が突き刺さる。
「どうだ!」
よろよろと立ち上がろうとするワイルドウルフだったが、うまく歩くこともできないようだ。その間に私は1体目に狙いを定める。攻撃を防がれた後、後ろに抜けエミリーに迫ろうとしているためだ。
「風よ、わが前に集いて解き放て」
私の左手から放たれた魔法は後ろからワイルドウルフに襲いかかる。しかし、それをかわしつつ、ワイルドウルフはエミリーに迫る。
「エミリー!」
「了解だよ!水よ、水鏡の形をもってわが身を守れ!」
エミリーの前に瞬時に水の盾が現れ、突進してきたワイルドウルフを正面で止める。
「もらい」
エミリーの護衛として木の上から様子を見ていたキルドが3本の矢を一気に放つ。矢は首筋と肩にそれぞれ命中し、ワイルドウルフの活動力を奪う。これで残りは1体だ。もちろん以前のようにどこかから襲撃される可能性もあるが、とにかく決めてしまう方が安全だろう。
「フォルトそっちだ!」
「任せろ!」
もう一体のワイルドウルフはフォルトとカークスの連携攻撃によって、手出しできないようだ。そして、カークスに跳びかかろうとしたところを槍で貫かれて絶命した。
「よし、一旦はこれで終わりか?」
「昨日みたいに横から出てこなくてよかった」
「本当ね。さすがにもうあの群れはいないのかしらね」
「しかし妙だな。昨日の奴の群れとしても傷を負っている奴はいなかった。あいつはどうしたんだ」
「ケガがひどいから来ていないのか、別の理由か…」
「それより、みんなけがはない?」
エミリーに言われ、みんな自分の身を改めて確認する。2度目の襲撃という事もあって被害がないのは幸いだった。それも1体当たりの強さでいったら先ほどのワイルドウルフは少しばかり弱かったように感じる。
「多分同じ群れよね。最初のが狩りの部隊だったのかしら」
「規模や数を見てもおそらくな。狩りに長けたものの被害が大きくあまり得意でないものも出てきたんだろう」
「あれで得意じゃないっていうのも冗談みたいな話だけどね」
「何にせよこれ以上の戦闘は危険だろう。撤収の準備だ」
準備をしようとバッグを取ろうとしたときに変な感覚に襲われる。念のために索敵魔法を使っておいたのだが反応があるようだ。
「みんなちょっと待って、まだ何かいるみたい」
「なに!警戒を続ける。どこか分かるか?」
「荷物を置いている向こうよ」
私たちは再び武器を構えながらそちらの方に注意を向ける。最初は動きがなかったが、あちらもこっちが気づいていると分かったからか姿を見せる。
「ワイルドウルフが2頭。傷ついているところを見ると昨日のやつね」
しかし、獰猛なはずの彼らは一向に襲ってくる気配がない。ひょっとしたら最初は連携して戦うつもりだったのかもしれないが、途中で戦意を失ったのだろうか。
クルルル。
威嚇しているような声で鳴く。なにかを訴えかけているのだろうか?意図がつかめないためカークスたちに目配せする。
「振られても流石にわからん」
「だねえ。襲ってこないところを見る限りは悪いことじゃなければいいけどね」
『汝がここの長か?』
頭の中に声が響いてきた。ワイルドウルフの傷を負った方から魔力の流れを感じる。きっとこの個体から魔力で訴えかけているのだろう。
「こうかな?」
魔力の流れを伝うように私は返事を試みる。
『私ではなくてあっちの男がリーダーよ。ただ、面倒だから私が話を聞くわ』
成功しているか判らないが、こういう魔力の会話方法をいちいち教えるほど器用ではないし、正直あまりここに長居する余裕もない為、代わりに聞く。
『そうか。前回、今回と見事だった。おかげで我が群れはもはや2人になってしまった』
『こっちも命がけだからね。さすがにかみつかれた時は焦ったわ』
『だが、それすらも克服しこの森で勇猛を誇る我が群れにもはや未来はない。好きにするがいい』
首を差し出すかのように傷ついたワイルドウルフは1歩前進してくる。
「ティアどうした?近づいてきてるぞ」
「大丈夫よ。魔力を使って話ができるみたい。戦意はないみたいよ」
「本当か?エミリー分かるか?」
「う、うんと、確かにティアとあっちのと魔力が行き来してるからほんとみたい。話の内容は分からないけど」
「あれだけ獰猛な生物にも知性ってあるんだね」
「群れを率いて戦う以上は当然かもしれないな」
「ちょっとだけ静かにしてて。まだ、話し方に慣れてないから気が散るわ」
私は再びワイルドウルフの会話に入るよう集中する。
『好きにってことだけど、あなた達は森には詳しいのよね?』
『無論だ。我らは森の狩人、この森に分からぬことはない』
『じゃあ、最近までいた飛竜たちがこの先の山から消えた理由は知ってる?』
『あ奴らは大空を舞い、一所を住処とせぬ。ゆえに逃げたのだ』
『逃げた。なぜ?』
『まがい物ではない、この地にいたものが蘇りつつある。それを感じ取りいち早く住処を変えた。我らはここ以外に住むことを考えられぬ。ゆえに今もいる。こうなってはもはや意味はないがな』
『この森には何がいるというの?』
『我も伝え聞くのみ。しかし、かつては多くの人を葬り、この森を不可侵にしたものと聞いている』
「飛竜や人では敵わないもの…」
「どうした。何か分かったか?」
「この子が言うにはこの森に封印されたものが復活するらしいわ。それにおびえて飛竜は出ていったというの」
「飛竜が逃げ出すなんてまるでドラゴンみたいだね」
「…ドラゴンか。確かに飛竜より上位の竜種なら一番恐怖するのは飛竜だろう。住処を奪われるどころか壊滅させられる危険すらある」
「まだ、決まったわけじゃない。それに調査結果としてある程度断定できる証拠がいるな」
「流石に森のワイルドウルフに聞きましたとは言えないわね」
「で、その子たちどうするの?」
「群れとしてはこの2頭だけで敵意はないって言ってるけど、他人を襲わないとは限らないのよね」
人に明らかに害をなさないのであればいいが、あくまで戦力が落ちて今後は森での狩りも難しい為に戦意喪失しているだけだ。この後、解き放って何もしないなんてことはないだろう。
『あなたたちここの飛竜とは仲良かったの?』
『馬鹿を言うな。他人の獲物を横取りするような恥知らずどもに遊戯はない!』
オォーン。
なにか触れてはいけないところに触れたようだ。数がいるといっても、フォルトのアーマーを傷つけられないところを見ると獲物を取られたこともあるようだ。狩人を自称するところから見ると、獲物に対する考え方がまるで違うようだ。あくまで自分で仕留めるものという事らしい。
「何か怒らせること言ったのティア?」
「みたいね。飛竜たちとは仲が悪いみたい」
「どうせ倒すのに気が引けるんだろう。代わりに…」
「まあ、待ってよカークス。飛竜と仲悪いんならさ、カリンの村にでも番犬代わりに住んでもらえば?」
唐突にキルドから提案が入る。確かに敵の敵は味方だけど、ハーピーたちはともかく彼らが納得するだろうか?
「どうだろうな。共生できるような形ならいいが」
「駄目元で聞いてみましょうか」
『ねえ、あなた達。この森の北に行った渓谷に飛竜は今いるのだけど、そこに飛竜に襲われたハーピーたちの村があるの。そこに住んでみない?もちろん人を襲うのは禁止よ。ハーピーたちを襲うような悪人なら仕方ないけれど』
『飛竜どもと戦うハーピーがいるのか?奴らでは敵わないと思うが…』
『私たちと一緒に成体の飛竜を倒した子がいるわ。他にも私たちみたいに魔法を使う子もいるからあなた達よりも強いかもね』
ピクリとワイルドウルフが反応する。自分たちより下位に見ている種族の方が強いと言われて気に障ったのか。
『ほほう、そういうなら特に生きる気もなかったが最後に一目見なければな』
ガウガウ。
心なしか前回の襲撃よりやる気が出ている様だ。カリンには大変苦労を掛けると思うけれど、ここは我慢してもらおう。
「どうだ?」
「別に構わないって。ハーピーがどこまで強いか気になるみたいね」
「結局はそこに落ち着くのか」
「自分たちは森の狩人だといってるからしらね。カリンたちのことは気になるみたい」
「だが、連絡は取れないしどうするんだ?」
「仕方ないから首輪か何かに手紙をつけて読んでもらうしかないわね」
『私たちは飛竜がここを動いた原因を探っているの。明日もここに来るから知っていることがあればまた教えて』
『よかろう。我らも数が減り森では生きにくい。この周辺にいるとしよう』
『それと、暴れたり奇襲したりしないようにこれつけとくわね』
私はもう1頭のワイルドウルフに首輪をつける。革製の見た目は何でもない首輪だが、内側に魔法石がはめ込まれ主人の意に反すれば首輪が締まるか、爆発する仕組みだ。
『いい、変なことしないでね』
『我にはつけんのか?』
『あなたにはいらないわ。あなたが守りたいのはこの子でしょう?』
『むむう』
一回り小さいワイルドウルフはきっと子供なのだろう。姿を見せているときからおびえた雰囲気を出しているし、狩りの経験も少ないのだろう。
『それじゃあまた来るからよろしくね』
私は手を振って帰る準備をする。みんなも話が済んだのが分かり、それぞれの荷物を片付け始める。
「ハーピーの次はワイルドウルフか。変わったパーティーになったものだ」
「ごめんなさい、いつも迷惑かけるわね」
「まあ、冒険者としては変わってるほうがいい」
「確かにね。何年もたって武勇伝を語るときに、みんな信じなくてもすごいネタになるよね」
「キルドったらみんなに話しちゃうの。もったいないよ?」
「勿体ないか、そうかもな」
思い思いに話しながら帰りだす。ワイルドウルフたちは見送ったかと思うとすぐに姿を消してしまった。この森で彼らが少数で生きることはそれほど危険なのだろう。
「それにしても、魔力で会話が成立できるなんてティアって物知りだね」
「あれは偶然よ。話しかけてきたのも向こうからだし、カリンと出会ってなかったら思いつかなかったと思うわ」
「それでも一発成功でしょ。うらやましいよ。僕らじゃ何言ってるのかわかんないしさ」
「まあ犬は喋れないわよねきっと」
「わたしも話せるようになるかなあ」
「エミリーならきっとできるわよ。魔力のコントロールなら私よりできてるんだから」
実際にエミリーの魔力操作はすごいと思う。攻撃魔法の調整もそうだけれど、森の中で索敵魔法を広範囲に掛けることもできる。私のものは風を送り込んで、気流の変化を感じ取るもので草なんかにも反応するし、広範囲には使えない。正直、今では真似しようという気も起きないぐらいこの分野では差があると思う。
「じゃあ、今度カリンちゃんの村に行ったら教えてね」
「ええ、いいわよ」
そうして、私たちは今日も探索を終え宿に戻る。帰るときにはワイルドウルフの毛皮なども持ち帰った。あの2頭には悪い気もするけれど、倒した獲物には違いないし、ギルドに報告するときに襲ってきたのは全部倒しましたと報告する必要がある。報酬に直結する問題だし、いないことにしてしまっては討伐隊のレベルが下がってしまう。この先に出会うのはもっと強い生物だろう。それに見合ったパーティーが来るようにきちんとした報告書を書かなくてはいけない。
「それじゃあ、今日の報告書をお願いね。カークス」
「ああ、ワイルドウルフの部分は少しだけぼかしておく。だが、報酬にきっちりかかわる部分だから、手は抜かないさ」
「さじ加減だよね。まあ、実際手ごわかったし、森には他の生物もいるだろうから注意しないとね」
「明日はそれを先に聞く方がいいな。他のワイルドウルフの群れがいるかもという事もだが、他の生物の情報もあれば調査も進みやすい」
「それじゃあ、私はこの魔物図鑑を持っていくわね。これがあれば分かり易くなるでしょうから」
「そうだな。情報をもとにしながら進むことができれば、効率も上がるだろう。休憩も入れて少し多めに食料も持っていくか」
「最終の目的に付近まで行けることを目標にしよう」
その後は持っていくものをリストアップしてから、地図を作る作業をして今日は早めに寝ることにする。私やエミリーも戦闘で疲れており、簡単にお風呂に入った後、すぐに眠った。
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八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
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ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
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