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暗雲※
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凌河と付き合うようになって早三ヶ月。その間、週末には必ずデートをしたし、少しでも時間があれば会いに来てくれた。
抱き締めて、頭を撫でて、キスをする。
これ以上ない程の幸せを感じながらも、七瀬にはどうしても納得出来ない事があった。
凌河は、七瀬にキス以上の事をして来ない。
誰かと付き合う事も、ましてや男同士で付き合う事も初めてな七瀬は、少しでも凌河の足を引っ張りたくなくて色々調べた。それはもう色々と。
友人と恋人はどう違うのか、話題のデートスポット、身の振り方、恋人になったら何をするのか。
だからお付き合いの過程で身体を重ねる事が、同性同士でも有り得る事を知った。
だけど、その性的さを感じ取れるはずのキスでさえ、ただ触れ合わせる物だ。
一度だけ、思い切って薄く唇を開いてみた事がある。けれど凌河はその瞬間に離れ、口元を片手で隠して難しい顔をした後、七瀬の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「七瀬はそんな事しなくていいよ」、そう言って。
好きだからもっと深いところまで知りたいのに、触れて欲しいのに、凌河は決して意味を持って七瀬に触れる事はなかった。
昼休みの屋上。季節はすでに冬を迎えたが、ここに来る事だけは変わらない。いつもの時間のいつもの風景。
けれど彼の隣は、いつも通りではなかった。
「凌河くん、これ食べる? 僕の自信作!」
「どれ?」
「これこれ。はい、あーん」
「あー……ん、美味しい。茉白は料理上手だね」
「でしょう? 凌河くんのために作ったんだから」
凌河の隣にピッタリと寄り添い綺麗に盛り付けられた弁当を開く彼は、大層可愛らしい顔立ちをしていた。七瀬よりは小柄で、まるで少年のようなその子はニコニコと手ずから凌河に食べさせている。
良くも悪くも凌河はノリが良い。初めてデートした日、逆ナン女性にああした対応をしていたのもそれ故だ。実際似たような場面に遭遇する事が何度かあり、七瀬は、彼は所謂陽キャと呼ばれる側の人なんだと気付いた。ただ、だからと言って納得は出来ない。誰が隣にいて誰が触れてこようとも凌河は気にしないから。それが七瀬の気持ちを抉る事になっても気付かないから。
棗が入口横で「あちゃ~」と額を押さえている。いつも通りの時間に来たと思ったが、タイミングとしては最悪だったのだろう。
「あ、七瀬。どうしたの? おいでよ」
「……」
「この子、茉白っての。仲良くしてあげて」
「ふふ、よろしくね、七瀬くん」
仲良く? 仲良くって何? その子は凌河の何?
どうしてそんなに密着しているの?
目の前で繰り広げられる光景はまさに恋人のそれで、七瀬は鼻の奥がツンとなる。
「ねぇ凌河くん、今日黒猫に行ってもいい? 先約ある?」
「先約っつか、連れてくるのは棗だし」
「じゃあ久しぶりにシようよ」
「えー、俺動かないよ?」
「僕がするから、ね?」
「…………」
頭の中で二人の会話がグルグルと回る。
(何の…話…)
腕を絡ませ親密に話す姿に、自分とは何か違うところを感じる。
傍にいても、いくら甘い雰囲気になっても、この二人のような艶やかさは七瀬と一緒にいる時にはない。
「七瀬?」
「……帰ります」
「え? ちょ、七瀬……!」
「あ、凌河くん…」
少年の手を払って立ち上がる凌河が視界の端に映る。七瀬は自分が出来る精一杯の速さで扉を開けて滑り込み階段を駆け下りた。
今は駄目だ。泣いてしまう。泣いて、どうしてって凌河を責めてしまう。
一階まで降りて階段下の窪みに入り込むと、もう止められなかった。
「……っ、ふ……」
恋愛事に疎い七瀬でも気付いた、気付いてしまった。二人は〝そういう関係〟だ。そしてそれは今も続いている。
もしかしたら、彼が凌河の〝本命〟なのかもしれない。
七瀬は遊びで、飽きれば捨てられるだけの存在。
知りたくなかった、気付きたくなかった。
七瀬は昼休みが終わり五限が始まっても泣き続け、その日は教室に戻る事はなかった。
当たり障りのない理由を付けて屋上へ行かなくなってから五日目。凌河からは心配のメールと、日に何件か着信があるがどれも応えていない。
あの日から二日休んで、重い腰を上げてどうにか学校へ来たものの、休み時間のたびに教室へ来る凌河と棗から隠れるのに必死だった。
遠目に見た凌河は少しイライラしているような、そんな気がした。そりゃ遊び相手にここまで避けられればプライドも傷つけられただろうし怒りたくもなるだろう。
「七瀬くん」
俯きがちに歩いていた背中に声がかけられる。
聞き覚えのある声に振り向くと、凌河の〝恋人〟が可愛らしい笑顔で立っていた。
「少しいいかな?」
「……何ですか?」
何を言われるのかと身構えていると、ゆっくりとこちらに近付き首を傾げられた。
「あのさ、七瀬くんは……凌河くんのなに?」
「え?」
「凌河くんは七瀬くんの事、大切な子だって言うんだよねぇ。でも〝お前には関係ないから〟って教えてくれないし」
そんな事、自分が聞きたいくらいだ。大切って何、遊び相手として大切って事? それこそ意味が分からない。
「ねぇ、七瀬くん。君はどんな風に凌河くんに抱かれるの?」
「…!」
「………え、もしかして、まだ?」
カァッと頬が染まる。まるで有り得ないとでもいうような彼─茉白の表情に居たたまれなくなった七瀬は唇を噛んで俯いた。
それはそうだろう、遊び相手なのに抱かれるどころか子供のようなキスしかした事ないのだから。
「……そんなに大事なんだ…」
「…?」
茉白が小さく零した言葉は残念ながら聞き取れなかったが、唐突に腕を掴まれにっこりと笑われる。
「七瀬くん、いいもの見せてあげる」
「あの、俺、図書室に…」
「後でいいでしょ? こっち」
こんなに細いのに凄く力が強い。ぐいぐいと引っ張られ、連れて来られた場所は視聴覚室だった。
閉められたカーテンの上部から光が漏れ、誰かが中にいる事を知らせている。
「しー」
茉白の唇に人差し指が立てられゆっくりと扉が開く。
「んぁ、あ、いいっ、ああ…!」
「……!」
薄く開い扉の隙間から鼻にかかったような甘えた声が聞こえてきた。
ドクンドクンと心臓が脈打ち、息が詰まる。
「もっと腰動かして」
「ぁ、や、ん、ん……っ」
肌がぶつかる音と、聞き知った声。
さらに広がった隙間から、その姿が見えた。
机の上に寝そべる凌河の上で、下だけ脱いだ生徒が腰を揺らして喘いでいる。何をしているか、経験のない七瀬でさえ分かる光景。
頭が鈍器で殴られたような衝撃が走りふらりと後ろに下がると、茉白が音を立てないよう扉を閉め交わる姿も艶やかな声も聞こえなくなる。
「凌河くんって、セフレがたくさんいるんだよ」
「…セフレ?」
「セックスフレンド。端的に言えば、身体だけの関係」
「身体だけの、関係…」
身体だけ。それでも、彼らは七瀬と違い凌河に抱かれている。
もしかして、世の中の恋人がしているように、濃厚なキスをして、肌と肌を触れ合わせて、一つになっているのだろうか。
七瀬には、してくれないのに。
「だから、七瀬くんは違うんだね」
「……え?」
「セフレにすらなれない」
「…………」
杭で胸を穿たれたような激痛が走る。
身体だけの関係にすらなれない。それなら自分は何のために傍にいたのか。〝俺のもの〟って何。
「……可哀想」
どこか勝ち誇ったような茉白の声が遠くに聞こえる。喉がカラカラに乾いて息苦しい。
視界が滲み始めた時、気配もなく首元に回された腕に引っ張られた。
「何だ、まだまっさらなんだ」
「……っ」
ゾワリと背筋が震える。この声は、資料室にいたあの。
「久しぶりだね、七瀬ちゃん。元気だった?」
恐る恐る見上げた先に、目の笑っていない冷たい笑顔を貼り付けた進が覗き込んでいた。
声を上げようとした口元を押さえられる。
「ダメだろ? 凌河クンは今〝お楽しみ中〟なんだから、邪魔しちゃ可哀想だよ」
「……っ…」
「その目、いいなぁ…」
甘いマスクの男が壮絶な色気を放ちながら舌舐りをする。
進は驚いて声も出ない茉白に視線を移すと一枚の紙切れを差し出した。
「これ、凌河に渡しといて」
「え…」
「早く取れよ」
「…!」
睨み付けられ慌てて受け取った茉白は、少しずつ後ろに下がりある程度間合いを取ると踵を返して走って行ってしまった。
残された七瀬は身体が震え始める。
「ずっと機会伺ってたのにさー、凌河も棗も一向にお前から離れなくてイライラしてたんだけど…待ってみるもんだな」
震える手を上げて口を覆う手を外そうとするが、体格差も相俟ってビクともしない。
「やっと一人なってくれた。オレが凌河の分もたっぷり可愛がってあげるから、安心していいよ」
誰が安心出来るか! そう叫びたいのに鼻まで覆われて息が苦しくなる。これは本格的に不味い状況だ。
身体全体で必死に抵抗しても、勢いをつけて動いても何一つ意味をなさない。
息が出来ない、視界が暗くなる。
「アイツの絶望した顔、楽しみだなぁ」
気を失う直前に聞こえた愉悦の声。それを最後に、七瀬の意識は途切れた。
抱き締めて、頭を撫でて、キスをする。
これ以上ない程の幸せを感じながらも、七瀬にはどうしても納得出来ない事があった。
凌河は、七瀬にキス以上の事をして来ない。
誰かと付き合う事も、ましてや男同士で付き合う事も初めてな七瀬は、少しでも凌河の足を引っ張りたくなくて色々調べた。それはもう色々と。
友人と恋人はどう違うのか、話題のデートスポット、身の振り方、恋人になったら何をするのか。
だからお付き合いの過程で身体を重ねる事が、同性同士でも有り得る事を知った。
だけど、その性的さを感じ取れるはずのキスでさえ、ただ触れ合わせる物だ。
一度だけ、思い切って薄く唇を開いてみた事がある。けれど凌河はその瞬間に離れ、口元を片手で隠して難しい顔をした後、七瀬の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「七瀬はそんな事しなくていいよ」、そう言って。
好きだからもっと深いところまで知りたいのに、触れて欲しいのに、凌河は決して意味を持って七瀬に触れる事はなかった。
昼休みの屋上。季節はすでに冬を迎えたが、ここに来る事だけは変わらない。いつもの時間のいつもの風景。
けれど彼の隣は、いつも通りではなかった。
「凌河くん、これ食べる? 僕の自信作!」
「どれ?」
「これこれ。はい、あーん」
「あー……ん、美味しい。茉白は料理上手だね」
「でしょう? 凌河くんのために作ったんだから」
凌河の隣にピッタリと寄り添い綺麗に盛り付けられた弁当を開く彼は、大層可愛らしい顔立ちをしていた。七瀬よりは小柄で、まるで少年のようなその子はニコニコと手ずから凌河に食べさせている。
良くも悪くも凌河はノリが良い。初めてデートした日、逆ナン女性にああした対応をしていたのもそれ故だ。実際似たような場面に遭遇する事が何度かあり、七瀬は、彼は所謂陽キャと呼ばれる側の人なんだと気付いた。ただ、だからと言って納得は出来ない。誰が隣にいて誰が触れてこようとも凌河は気にしないから。それが七瀬の気持ちを抉る事になっても気付かないから。
棗が入口横で「あちゃ~」と額を押さえている。いつも通りの時間に来たと思ったが、タイミングとしては最悪だったのだろう。
「あ、七瀬。どうしたの? おいでよ」
「……」
「この子、茉白っての。仲良くしてあげて」
「ふふ、よろしくね、七瀬くん」
仲良く? 仲良くって何? その子は凌河の何?
どうしてそんなに密着しているの?
目の前で繰り広げられる光景はまさに恋人のそれで、七瀬は鼻の奥がツンとなる。
「ねぇ凌河くん、今日黒猫に行ってもいい? 先約ある?」
「先約っつか、連れてくるのは棗だし」
「じゃあ久しぶりにシようよ」
「えー、俺動かないよ?」
「僕がするから、ね?」
「…………」
頭の中で二人の会話がグルグルと回る。
(何の…話…)
腕を絡ませ親密に話す姿に、自分とは何か違うところを感じる。
傍にいても、いくら甘い雰囲気になっても、この二人のような艶やかさは七瀬と一緒にいる時にはない。
「七瀬?」
「……帰ります」
「え? ちょ、七瀬……!」
「あ、凌河くん…」
少年の手を払って立ち上がる凌河が視界の端に映る。七瀬は自分が出来る精一杯の速さで扉を開けて滑り込み階段を駆け下りた。
今は駄目だ。泣いてしまう。泣いて、どうしてって凌河を責めてしまう。
一階まで降りて階段下の窪みに入り込むと、もう止められなかった。
「……っ、ふ……」
恋愛事に疎い七瀬でも気付いた、気付いてしまった。二人は〝そういう関係〟だ。そしてそれは今も続いている。
もしかしたら、彼が凌河の〝本命〟なのかもしれない。
七瀬は遊びで、飽きれば捨てられるだけの存在。
知りたくなかった、気付きたくなかった。
七瀬は昼休みが終わり五限が始まっても泣き続け、その日は教室に戻る事はなかった。
当たり障りのない理由を付けて屋上へ行かなくなってから五日目。凌河からは心配のメールと、日に何件か着信があるがどれも応えていない。
あの日から二日休んで、重い腰を上げてどうにか学校へ来たものの、休み時間のたびに教室へ来る凌河と棗から隠れるのに必死だった。
遠目に見た凌河は少しイライラしているような、そんな気がした。そりゃ遊び相手にここまで避けられればプライドも傷つけられただろうし怒りたくもなるだろう。
「七瀬くん」
俯きがちに歩いていた背中に声がかけられる。
聞き覚えのある声に振り向くと、凌河の〝恋人〟が可愛らしい笑顔で立っていた。
「少しいいかな?」
「……何ですか?」
何を言われるのかと身構えていると、ゆっくりとこちらに近付き首を傾げられた。
「あのさ、七瀬くんは……凌河くんのなに?」
「え?」
「凌河くんは七瀬くんの事、大切な子だって言うんだよねぇ。でも〝お前には関係ないから〟って教えてくれないし」
そんな事、自分が聞きたいくらいだ。大切って何、遊び相手として大切って事? それこそ意味が分からない。
「ねぇ、七瀬くん。君はどんな風に凌河くんに抱かれるの?」
「…!」
「………え、もしかして、まだ?」
カァッと頬が染まる。まるで有り得ないとでもいうような彼─茉白の表情に居たたまれなくなった七瀬は唇を噛んで俯いた。
それはそうだろう、遊び相手なのに抱かれるどころか子供のようなキスしかした事ないのだから。
「……そんなに大事なんだ…」
「…?」
茉白が小さく零した言葉は残念ながら聞き取れなかったが、唐突に腕を掴まれにっこりと笑われる。
「七瀬くん、いいもの見せてあげる」
「あの、俺、図書室に…」
「後でいいでしょ? こっち」
こんなに細いのに凄く力が強い。ぐいぐいと引っ張られ、連れて来られた場所は視聴覚室だった。
閉められたカーテンの上部から光が漏れ、誰かが中にいる事を知らせている。
「しー」
茉白の唇に人差し指が立てられゆっくりと扉が開く。
「んぁ、あ、いいっ、ああ…!」
「……!」
薄く開い扉の隙間から鼻にかかったような甘えた声が聞こえてきた。
ドクンドクンと心臓が脈打ち、息が詰まる。
「もっと腰動かして」
「ぁ、や、ん、ん……っ」
肌がぶつかる音と、聞き知った声。
さらに広がった隙間から、その姿が見えた。
机の上に寝そべる凌河の上で、下だけ脱いだ生徒が腰を揺らして喘いでいる。何をしているか、経験のない七瀬でさえ分かる光景。
頭が鈍器で殴られたような衝撃が走りふらりと後ろに下がると、茉白が音を立てないよう扉を閉め交わる姿も艶やかな声も聞こえなくなる。
「凌河くんって、セフレがたくさんいるんだよ」
「…セフレ?」
「セックスフレンド。端的に言えば、身体だけの関係」
「身体だけの、関係…」
身体だけ。それでも、彼らは七瀬と違い凌河に抱かれている。
もしかして、世の中の恋人がしているように、濃厚なキスをして、肌と肌を触れ合わせて、一つになっているのだろうか。
七瀬には、してくれないのに。
「だから、七瀬くんは違うんだね」
「……え?」
「セフレにすらなれない」
「…………」
杭で胸を穿たれたような激痛が走る。
身体だけの関係にすらなれない。それなら自分は何のために傍にいたのか。〝俺のもの〟って何。
「……可哀想」
どこか勝ち誇ったような茉白の声が遠くに聞こえる。喉がカラカラに乾いて息苦しい。
視界が滲み始めた時、気配もなく首元に回された腕に引っ張られた。
「何だ、まだまっさらなんだ」
「……っ」
ゾワリと背筋が震える。この声は、資料室にいたあの。
「久しぶりだね、七瀬ちゃん。元気だった?」
恐る恐る見上げた先に、目の笑っていない冷たい笑顔を貼り付けた進が覗き込んでいた。
声を上げようとした口元を押さえられる。
「ダメだろ? 凌河クンは今〝お楽しみ中〟なんだから、邪魔しちゃ可哀想だよ」
「……っ…」
「その目、いいなぁ…」
甘いマスクの男が壮絶な色気を放ちながら舌舐りをする。
進は驚いて声も出ない茉白に視線を移すと一枚の紙切れを差し出した。
「これ、凌河に渡しといて」
「え…」
「早く取れよ」
「…!」
睨み付けられ慌てて受け取った茉白は、少しずつ後ろに下がりある程度間合いを取ると踵を返して走って行ってしまった。
残された七瀬は身体が震え始める。
「ずっと機会伺ってたのにさー、凌河も棗も一向にお前から離れなくてイライラしてたんだけど…待ってみるもんだな」
震える手を上げて口を覆う手を外そうとするが、体格差も相俟ってビクともしない。
「やっと一人なってくれた。オレが凌河の分もたっぷり可愛がってあげるから、安心していいよ」
誰が安心出来るか! そう叫びたいのに鼻まで覆われて息が苦しくなる。これは本格的に不味い状況だ。
身体全体で必死に抵抗しても、勢いをつけて動いても何一つ意味をなさない。
息が出来ない、視界が暗くなる。
「アイツの絶望した顔、楽しみだなぁ」
気を失う直前に聞こえた愉悦の声。それを最後に、七瀬の意識は途切れた。
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