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13 噂
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事件があってから一週間、その間、様々なことが起きた。
前は喜んで話しかけて来ていた女子からはヒソヒソと、後ろ指を指されるようになった。原因は、俺も恥ずかしかった保健室のあれが噂になっているのだろう。
よく分からない制裁は続き、机に置いていた教科書、プリントが狙われた。
こちらの移動教室などの、隙をついて隠すという、誰かさんと違って忍者並みの身のこなしに褒めるしかない。
教科書を隠されるのはまだいい、探すか、藤村君という最強が何時でも言いに行けば貸してくれるから。
一番、厄介なのはあからさまにごみ箱に入れていることだ。生徒の目にも映るし、そして向けてくる同情の眼差しほど、気分が悪いものはない。
もう一つは下駄箱にごみを入れるという、またもや、手のかかることであり、いちいち掃除するのが困りもの。
クラスの生徒や、教師は犯人を知っていると思うが、このことを告げ口をしないのは、巻き込まれて酷い目に合うとよくわかっている。
もしも、俺ではなく誰かであったなら、俺も自分の安否のため無視をする。今、制裁を受けているからよくわかる、地味で面倒。
地味なんだよな、もっとこうなんか『制裁!』って感じを求めている。対象もしやすいし、あそ……。
さて、コソコソとされるのはむず痒く、いい加減こちらが気が狂いそうなので炙り出したいところである。
複数で連帯でやっていることは見ていてよくわかるので、一人を突いて、芋づる式に出てこさせたほうが楽である。
すこし突くだけで、困惑と怒りの渦となり馬鹿みたいに騒いでくれるはず。そした、冷静に連帯も取れなくなるはずだ。
その連帯が崩れれば、あの女がきっと俺の所に来るだろう。
「にやつくの怖いからやめてくれ。もう一つ切実にここから出て行ってほしい。」
写真を持ちながらこちらの方に嫌そうな表情を向けるカメラ君。そう昼休みに、俺は写真部の部室のお誕生日席を堂々と座って昼飯を食べているのだ。
写真部は写真を手に持ち、写真を値段別で人物を選別したりなど、活動最中にお邪魔している。
「だって暇だし。クラスにいたら微妙な空気流れるし、寂しく、一人だしー。」
「知らねぇよ、帰れよ。あと、」
カメラ君がこちらに近づいて周りに気遣うように俺だけに小声で伝える。
「お前。教室いないとまた机を荒らされるぞ。」
「あー大丈夫。机の中には何もないし、ロッカーも空だから落書きぐらいしかできないよ。」
とは言っても机の上に何もないわけではない、試しに一つだけ教科書を置いている。魚が餌にかかるのかどうか待っているのだ。
「はぁ?お前何もない状態で授業どうしてんだ。」
俺は真剣に選別中の藤村君を指した。
「お前、藤村をいいように使うなよ。」
「慈悲はもらわないともったいないからね。」
カメラ君は言っても何も意味がないと察し、俺から離れては仕切り直すように椅子に座り直す。今度は何も言わずに写真を選別し始めた。
勝山、俺の扱い方が分かってきたな。
静かな部室で俺は昼飯のパンを食べ終わり、周りのゴミを片付け立ち上がる。
扉に手をかければ、気づいたカメラ君がこちらに目を向けた。
「今日は早い帰りだな。」
「邪魔らしいので、今日は早めにお暇させていただきます。」
「おー、帰れ帰れ。」
カメラ君の目線は写真に戻り、しっ、しっ、と手を払う。直ぐに追い出そうとする酷い奴だ。
しかし、カメラ君以外の3人は出て行こうとした時に
「また来てください。」
と笑顔で手を振り暖かい見送りをしてくれた。
なんて優しい人達なんだろう。
俺もどんな人達でも優しく接さないといけないと、心を改めさせられる。心改め、もっと純粋に素直に邪悪になろう。
前は喜んで話しかけて来ていた女子からはヒソヒソと、後ろ指を指されるようになった。原因は、俺も恥ずかしかった保健室のあれが噂になっているのだろう。
よく分からない制裁は続き、机に置いていた教科書、プリントが狙われた。
こちらの移動教室などの、隙をついて隠すという、誰かさんと違って忍者並みの身のこなしに褒めるしかない。
教科書を隠されるのはまだいい、探すか、藤村君という最強が何時でも言いに行けば貸してくれるから。
一番、厄介なのはあからさまにごみ箱に入れていることだ。生徒の目にも映るし、そして向けてくる同情の眼差しほど、気分が悪いものはない。
もう一つは下駄箱にごみを入れるという、またもや、手のかかることであり、いちいち掃除するのが困りもの。
クラスの生徒や、教師は犯人を知っていると思うが、このことを告げ口をしないのは、巻き込まれて酷い目に合うとよくわかっている。
もしも、俺ではなく誰かであったなら、俺も自分の安否のため無視をする。今、制裁を受けているからよくわかる、地味で面倒。
地味なんだよな、もっとこうなんか『制裁!』って感じを求めている。対象もしやすいし、あそ……。
さて、コソコソとされるのはむず痒く、いい加減こちらが気が狂いそうなので炙り出したいところである。
複数で連帯でやっていることは見ていてよくわかるので、一人を突いて、芋づる式に出てこさせたほうが楽である。
すこし突くだけで、困惑と怒りの渦となり馬鹿みたいに騒いでくれるはず。そした、冷静に連帯も取れなくなるはずだ。
その連帯が崩れれば、あの女がきっと俺の所に来るだろう。
「にやつくの怖いからやめてくれ。もう一つ切実にここから出て行ってほしい。」
写真を持ちながらこちらの方に嫌そうな表情を向けるカメラ君。そう昼休みに、俺は写真部の部室のお誕生日席を堂々と座って昼飯を食べているのだ。
写真部は写真を手に持ち、写真を値段別で人物を選別したりなど、活動最中にお邪魔している。
「だって暇だし。クラスにいたら微妙な空気流れるし、寂しく、一人だしー。」
「知らねぇよ、帰れよ。あと、」
カメラ君がこちらに近づいて周りに気遣うように俺だけに小声で伝える。
「お前。教室いないとまた机を荒らされるぞ。」
「あー大丈夫。机の中には何もないし、ロッカーも空だから落書きぐらいしかできないよ。」
とは言っても机の上に何もないわけではない、試しに一つだけ教科書を置いている。魚が餌にかかるのかどうか待っているのだ。
「はぁ?お前何もない状態で授業どうしてんだ。」
俺は真剣に選別中の藤村君を指した。
「お前、藤村をいいように使うなよ。」
「慈悲はもらわないともったいないからね。」
カメラ君は言っても何も意味がないと察し、俺から離れては仕切り直すように椅子に座り直す。今度は何も言わずに写真を選別し始めた。
勝山、俺の扱い方が分かってきたな。
静かな部室で俺は昼飯のパンを食べ終わり、周りのゴミを片付け立ち上がる。
扉に手をかければ、気づいたカメラ君がこちらに目を向けた。
「今日は早い帰りだな。」
「邪魔らしいので、今日は早めにお暇させていただきます。」
「おー、帰れ帰れ。」
カメラ君の目線は写真に戻り、しっ、しっ、と手を払う。直ぐに追い出そうとする酷い奴だ。
しかし、カメラ君以外の3人は出て行こうとした時に
「また来てください。」
と笑顔で手を振り暖かい見送りをしてくれた。
なんて優しい人達なんだろう。
俺もどんな人達でも優しく接さないといけないと、心を改めさせられる。心改め、もっと純粋に素直に邪悪になろう。
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