2 / 93
第一章 夢の世界で俺は自由に生きる!!
挨拶はファイヤーボール
しおりを挟む
竜を倒したホームレスの三嶋健太郎(24)は気絶から目覚めた後、出口を求めて自然石で出来た巨大な地下迷宮を当ても無く彷徨っていた。
この状況を趣味のゲームが出来なくなった事による願望の現れが見せる夢だと思っていた彼は、特に焦る事も無く、その内、目も覚めんだろと取り敢えず状況を楽しむ事にした。
ちなみに健太郎が起きた時には倒した竜の姿は忽然と消えていた。
周辺には血の跡らしきシミが所々地面を黒く染めていたので、別のモンスターが食べたのだと考えられる。
あの悪食の竜も死ねば食物連鎖の中に消えていく……諸行無常だなぁ。
そんな訳で適当に洞窟を歩いていた彼は、あの後、何体かのモンスターに襲われ交戦し、その全てを撃退していた。
難しいゲームもやりがいがあるけど、無双できるとやっぱスカッとするな!
何か倒すたびに強くなってるみたいだし! 体がペカペカ光るのはアレだけど……。
ただ、戦闘ばかりだと流石に飽きるなぁ……ここら辺で何かイベントでも……。
そんな事を考えながら、竜の牙から作り出した大剣を担いで歩いていた彼の耳に甲高い悲鳴が聞こえてくる。
来たかイベント!! 声の感じだと女……えへへッ、ここは定番のオークに襲われるエルフとかでお願いします!!
自分の性癖を言ってニヤつきながら、健太郎は声の方向へと走った。
走っている内に背中からなにやら駆動音が聞こえ、体が浮き上がり一気に加速する。
わわっ!? 何だよコレ!? そうか、この体ってロボットって設定だった!! さっきの駆動音は多分、背部スラスターの……。
「お助けえぇぇぇぇぇぇぇ…………」
健太郎の願いとは違い襲われていたのは魔法使い風の女性で、襲っていたのは巨大なムカデだった。
それはまぁいいのだが、問題は加速した体は女性とモンスターの横を勢いよく通り過ぎた事だ。
ドップラー効果を発生させながら遠ざかる助けを呼ぶ声。
うおおおい!? 止まれよッ!! イベント無視してんじゃねぇよ!!
健太郎は言う事を聞かない体に文句を言いつつ、大剣を岩の地面に突き立てる。
ガリガリと岩の地面を削り、やがて固定された剣を起点にクルリと180度旋回し、女性を襲っていたムカデに照準を合わせた。
大剣を腰だめに構え、黒い甲殻で覆われたムカデの背中にランスのチャージ攻撃の要領で攻撃を仕掛ける。
ブースト加速を伴った大剣の一撃は装甲を突き破り、その衝撃によってムカデの体を爆散させた。
一撃!? きっ、気持ちいい!! よし、今の攻撃を疾風一閃と名付けよう。疾風の速さで敵を討つ……我ながら超格好いい……てかもういいよ。もう降ろしてよ! ちょっ、このままだとフラグが!?
健太郎の意思を無視して背部スラスターは燃焼を続け、ムカデから立ち昇った粒子を吸い込み体から白い光を放ちつつ、ポカンと口を開けた女性を残し遠く飛び去った。
「……何だいありゃ? ゴーレム?」
茶色の短いマントに暗い紫色のトンガリ帽子と同色のローブを着た赤い髪の女性は、杖を握り締めへたり込んだまま、飛び去った何かを茫然と見送った。
■◇■◇■◇■
数分後、推進剤が尽きたのか健太郎はようやく地面へと降りる事が出来た。
まったく冗談じゃ無い!! スラスターはコントロール出来るからカッコいいんでしょうがッ!? ロケット花火じゃないんだから……そこんトコちゃんとしてよねッ!!
夢を見せているであろう、自分の無意識に対してプリプリと文句を述べつつ、遠ざかってしまった恐らく魔法使いであろう女性の下へと急ぐ。
やがて先程、女性が巨大ムカデに襲われていた場所に辿り着いたが、そこにはもう彼女の姿は無く健太郎が倒したムカデの残骸が残るだけだった。
クッ、フラグが折れたか……まぁいい、どうせ夢だ。……しかし、長い夢だな……一回気絶したし……でもまぁ、夢の中の時間って、感覚も曖昧だしなぁ……。
そう思い歩き出そうした健太郎の背中に巨大な炎の塊、いわゆるファイアーボールが放たれた。
火球は健太郎の背中に当たると爆発し彼を中心に炎を撒き散らした。
「やった!?」
明かりの灯った杖を掲げ、火球を放った女は爆発が生み出した煙の中の標的に目を凝らす。
その濛々と上がる煙の中、まるで宇宙から狩りを楽しむ為にやって来た宇宙人の様なシルエットと、緑に光る目が浮かんでいた。
「コホー」
「ひぃッ!? やっぱりファイヤーボールじゃ倒せないぃ!?」
ジャリッ、岩の地面を踏みしめる音が聞こえ人影が女ににじり寄る。
フフフッ、お姉さん、随分と手荒い挨拶じゃないか? ……そうか、怯えていたんだね? 怖くない。うん、怖くないよ。お姉さん……俺は悪いロボットじゃないよ。
「コホーッ」
青き衣の少女と青い頭と黄色い触手を持ったモンスターを想像しつつ、そう心の中で語り掛けながら健太郎は女性に歩み寄った。
「ひぇええ!! こっちに来ないでおくれよ!! 攻撃した事は謝るからさ!! そうだ!! お金も、見つけた素材もやるからさ!! だから後生だ、命だけは取らないでおくれよぉぉ!!」
……いや、追剥じゃないんだから……大丈夫、何もしないよ……。
「コホー」
そう心の中で言いつつ、健太郎は左手を差し出しながら女に歩み寄った。
女は尻もちを突き、嫌々と首を振り後退りしながら瞳に大粒の涙を溜めている。
「た、頼むよぉ……勘弁しておくれぇぇ……」
はぁ……だから何もしないって言ってるでしょうがッ!!
「コホーーーッ!!」
「ひぅ……」
一際大きく呼吸音に似た音が響くと赤い髪の女は限界を迎えたのか、クルリと白目を剥きそのまま仰向けに倒れた。
この状況を趣味のゲームが出来なくなった事による願望の現れが見せる夢だと思っていた彼は、特に焦る事も無く、その内、目も覚めんだろと取り敢えず状況を楽しむ事にした。
ちなみに健太郎が起きた時には倒した竜の姿は忽然と消えていた。
周辺には血の跡らしきシミが所々地面を黒く染めていたので、別のモンスターが食べたのだと考えられる。
あの悪食の竜も死ねば食物連鎖の中に消えていく……諸行無常だなぁ。
そんな訳で適当に洞窟を歩いていた彼は、あの後、何体かのモンスターに襲われ交戦し、その全てを撃退していた。
難しいゲームもやりがいがあるけど、無双できるとやっぱスカッとするな!
何か倒すたびに強くなってるみたいだし! 体がペカペカ光るのはアレだけど……。
ただ、戦闘ばかりだと流石に飽きるなぁ……ここら辺で何かイベントでも……。
そんな事を考えながら、竜の牙から作り出した大剣を担いで歩いていた彼の耳に甲高い悲鳴が聞こえてくる。
来たかイベント!! 声の感じだと女……えへへッ、ここは定番のオークに襲われるエルフとかでお願いします!!
自分の性癖を言ってニヤつきながら、健太郎は声の方向へと走った。
走っている内に背中からなにやら駆動音が聞こえ、体が浮き上がり一気に加速する。
わわっ!? 何だよコレ!? そうか、この体ってロボットって設定だった!! さっきの駆動音は多分、背部スラスターの……。
「お助けえぇぇぇぇぇぇぇ…………」
健太郎の願いとは違い襲われていたのは魔法使い風の女性で、襲っていたのは巨大なムカデだった。
それはまぁいいのだが、問題は加速した体は女性とモンスターの横を勢いよく通り過ぎた事だ。
ドップラー効果を発生させながら遠ざかる助けを呼ぶ声。
うおおおい!? 止まれよッ!! イベント無視してんじゃねぇよ!!
健太郎は言う事を聞かない体に文句を言いつつ、大剣を岩の地面に突き立てる。
ガリガリと岩の地面を削り、やがて固定された剣を起点にクルリと180度旋回し、女性を襲っていたムカデに照準を合わせた。
大剣を腰だめに構え、黒い甲殻で覆われたムカデの背中にランスのチャージ攻撃の要領で攻撃を仕掛ける。
ブースト加速を伴った大剣の一撃は装甲を突き破り、その衝撃によってムカデの体を爆散させた。
一撃!? きっ、気持ちいい!! よし、今の攻撃を疾風一閃と名付けよう。疾風の速さで敵を討つ……我ながら超格好いい……てかもういいよ。もう降ろしてよ! ちょっ、このままだとフラグが!?
健太郎の意思を無視して背部スラスターは燃焼を続け、ムカデから立ち昇った粒子を吸い込み体から白い光を放ちつつ、ポカンと口を開けた女性を残し遠く飛び去った。
「……何だいありゃ? ゴーレム?」
茶色の短いマントに暗い紫色のトンガリ帽子と同色のローブを着た赤い髪の女性は、杖を握り締めへたり込んだまま、飛び去った何かを茫然と見送った。
■◇■◇■◇■
数分後、推進剤が尽きたのか健太郎はようやく地面へと降りる事が出来た。
まったく冗談じゃ無い!! スラスターはコントロール出来るからカッコいいんでしょうがッ!? ロケット花火じゃないんだから……そこんトコちゃんとしてよねッ!!
夢を見せているであろう、自分の無意識に対してプリプリと文句を述べつつ、遠ざかってしまった恐らく魔法使いであろう女性の下へと急ぐ。
やがて先程、女性が巨大ムカデに襲われていた場所に辿り着いたが、そこにはもう彼女の姿は無く健太郎が倒したムカデの残骸が残るだけだった。
クッ、フラグが折れたか……まぁいい、どうせ夢だ。……しかし、長い夢だな……一回気絶したし……でもまぁ、夢の中の時間って、感覚も曖昧だしなぁ……。
そう思い歩き出そうした健太郎の背中に巨大な炎の塊、いわゆるファイアーボールが放たれた。
火球は健太郎の背中に当たると爆発し彼を中心に炎を撒き散らした。
「やった!?」
明かりの灯った杖を掲げ、火球を放った女は爆発が生み出した煙の中の標的に目を凝らす。
その濛々と上がる煙の中、まるで宇宙から狩りを楽しむ為にやって来た宇宙人の様なシルエットと、緑に光る目が浮かんでいた。
「コホー」
「ひぃッ!? やっぱりファイヤーボールじゃ倒せないぃ!?」
ジャリッ、岩の地面を踏みしめる音が聞こえ人影が女ににじり寄る。
フフフッ、お姉さん、随分と手荒い挨拶じゃないか? ……そうか、怯えていたんだね? 怖くない。うん、怖くないよ。お姉さん……俺は悪いロボットじゃないよ。
「コホーッ」
青き衣の少女と青い頭と黄色い触手を持ったモンスターを想像しつつ、そう心の中で語り掛けながら健太郎は女性に歩み寄った。
「ひぇええ!! こっちに来ないでおくれよ!! 攻撃した事は謝るからさ!! そうだ!! お金も、見つけた素材もやるからさ!! だから後生だ、命だけは取らないでおくれよぉぉ!!」
……いや、追剥じゃないんだから……大丈夫、何もしないよ……。
「コホー」
そう心の中で言いつつ、健太郎は左手を差し出しながら女に歩み寄った。
女は尻もちを突き、嫌々と首を振り後退りしながら瞳に大粒の涙を溜めている。
「た、頼むよぉ……勘弁しておくれぇぇ……」
はぁ……だから何もしないって言ってるでしょうがッ!!
「コホーーーッ!!」
「ひぅ……」
一際大きく呼吸音に似た音が響くと赤い髪の女は限界を迎えたのか、クルリと白目を剥きそのまま仰向けに倒れた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~
クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。
ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。
下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。
幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない!
「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」
「兵士の武器の質を向上させる!」
「まだ勝てません!」
「ならば兵士に薬物投与するしか」
「いけません! 他の案を!」
くっ、貴族には制約が多すぎる!
貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ!
「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」
「勝てば正義。死ななきゃ安い」
これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。
問い・その極悪令嬢は本当に有罪だったのか。
風和ふわ
ファンタジー
三日前、とある女子生徒が通称「極悪令嬢」のアース・クリスタに毒殺されようとした。
噂によると、極悪令嬢アースはその女生徒の美貌と才能を妬んで毒殺を企んだらしい。
そこで、極悪令嬢を退学させるか否か、生徒会で決定することになった。
生徒会のほぼ全員が極悪令嬢の有罪を疑わなかった。しかし──
「ちょっといいかな。これらの証拠にはどれも矛盾があるように見えるんだけど」
一人だけ。生徒会長のウラヌスだけが、そう主張した。
そこで生徒会は改めて証拠を見直し、今回の毒殺事件についてウラヌスを中心として話し合っていく──。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる