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男だらけの異世界転生〜恋編〜
俺の弟は悪い男…?※
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リリーとの会話が終わり、一体何だったんだと思いながら学園の寮の自室に戻る帰り道。曇りの薄暗さが充満する、人の居ない校舎の中をちんたら歩く。
「んっ…ァアッ! いいっ、あっ、」
えっ…?
「はぁっ、はぁっ、ぁあんっ!」
えぇ…??
ぱんっ、ぱちゅっ、ぱちゅんっ。
聞こえてくる水音と打つかるような音、それから高い声。今日が曇りだからという理由とは関係なく普段から薄暗い奥の武器庫。誰も近寄らない不気味な部屋から聞こえてくる、甘ったるい声。
「こっ、こんなところぉっ、誰か来ちゃうっ!んっああっ~!」
そして、俺はその武器庫の前を通って部屋に戻らねばならない。
なんて、最悪のタイミング…!!
ややしばらく忘れていたが、ここはBLエロゲ世界なのだ。そいうことが無い方がおかしい。これは、日常に過ぎないはずだ。うん、きっとそうだ。だから俺はほんの少し、彼らのプレイに巻き込まれるだけ。大丈夫、ただ通り過ぎるだけで俺の役目は終えることができる。俺は二人を盛り上げるための道具! BL漫画において、このような場面で誰かに見つかるなんてことはまずないからな! 絶対に見つかるであろう場所であっても彼らの行為は決して邪魔されない。ただの火付け役!
「よし、大丈夫だ。通り過ぎるだけ、通り過ぎるだけ…!」
俺は、なるべく早足に、そして抜き足差し足忍び足で武器庫の前を通り抜けることにした。
一瞬通るだけだ‼ 頑張れ、俺!
「はぁっ、ああっ! あ、あしゅるさまぁ!!」
何ィイ?!?!
「ぼ、くだけじゃだめなの?ぁっ、えっちの練習がしたいなら、ぼくを使ってよぉ。いつでも付き合うからぁっあ!」
「ちっ、お前だけ抱いて何になるんだ。穴がゆるくなっちゃ意味がないだろ。」
「そ、んなぁっ、ひっ!あっあぅ!」
う、うそだ……。
そんなわけない、そんなわけ…。
アシュルの声に似てるだけ、似てるだけだよな。
名前もきっと聞き間違えだ。
「あしゅ、るさまぁっ!!ああんっ、そこっ、もっと! いいっ!」
うわぁあ!!
このバカ野郎!はっきりと名前を言うな!
いや!
いやいや。
あれだ、同姓同名。
断じてアシュルではない!
「うるさい黙れ! 気が散る!! お前はただの肉の塊だと言っているだろう。」
「ひぅっ、ごめっ、ごめんなさぁいっ♡」
……通り過ぎよう。
とにかく今はここから離れるんだ。
考えるのは、後で良い。
俺は、一歩また一歩と歩みを進めた。
すると、なんということだろう。
武器庫の扉が、少しだけ、開いている。
「ぴゃぁ……っ。」
見るつもりは無かった。
でもその光景は、俺の目に飛び込んできたのだ。
思わず情けない悲鳴を上げた口を両手で抑え、震えた。
なに?なんなの…?
この雄々しい獣、ケダモノ、猛獣は…‼
「さ、さらさらの…、銀髪……。」
「へ…? に、兄さん⁉」
俺はショックのあまり気絶した。
▼
「うわぁあああ‼」
ガバっと起き上がった自分の視界に入り込んだのは、学園内の自室と宙を藻掻く血管の浮き出た俺の手。随分と力が入っていたその手を緩め、落ち着かせる。転生したあの日に比べ、この手も随分と凛々しくなったものだ。
「いつの間に部屋に戻ったんだ、俺。
うう、何だか、酷い悪夢を見たような…。」
少し、ズキズキとするこめかみを指で撫で付ける。
「具合はどう?兄さん。」
背後から聞こえた声に俺はびくりと肩を跳ねさせた。やば、変な夢見たせいで…。ぶんぶんと頭を振り、息を整える。そうかそうか、やっぱりを気を失ったりしたんだな。それで、優しくて可愛くて天使な弟、アシュルが俺を運んでくれたと。
「アシュル。俺、あんまり覚えてないんだけど…。」
振り向けば、ティーセットを持ったアシュルが小首をかしげて不思議そうに微笑んでいる。
はああっ♡やっぱ俺の弟、天使!
さっきのは、ただの悪夢かぁ…。
「兄さん、僕がセックスしてるのを見て倒れちゃったんだ。」
刺激強かった?ごめんね。
俺の頭に掌が乗っかりわしゃわしゃと撫でる。
ああ、いつの間にか大きくなったなぁ…。
「ごめん、聞こえなかった。どこで倒れたって?」
「ん?武器庫の前だよ。あそこあんまり人が通らないからヤリ部屋にしてたんだ。ごめんね、びっくりしたよね。」
気づかわしげなアシュルの声。
ああ、あんなところに、天井にシミがあるぅ…。
はは、ははははは。
俺、まだ夢見てるのかな。
「でも、残念だよ。」
「えっ」
「兄さん、処女じゃないんだね。」
「んっ…ァアッ! いいっ、あっ、」
えっ…?
「はぁっ、はぁっ、ぁあんっ!」
えぇ…??
ぱんっ、ぱちゅっ、ぱちゅんっ。
聞こえてくる水音と打つかるような音、それから高い声。今日が曇りだからという理由とは関係なく普段から薄暗い奥の武器庫。誰も近寄らない不気味な部屋から聞こえてくる、甘ったるい声。
「こっ、こんなところぉっ、誰か来ちゃうっ!んっああっ~!」
そして、俺はその武器庫の前を通って部屋に戻らねばならない。
なんて、最悪のタイミング…!!
ややしばらく忘れていたが、ここはBLエロゲ世界なのだ。そいうことが無い方がおかしい。これは、日常に過ぎないはずだ。うん、きっとそうだ。だから俺はほんの少し、彼らのプレイに巻き込まれるだけ。大丈夫、ただ通り過ぎるだけで俺の役目は終えることができる。俺は二人を盛り上げるための道具! BL漫画において、このような場面で誰かに見つかるなんてことはまずないからな! 絶対に見つかるであろう場所であっても彼らの行為は決して邪魔されない。ただの火付け役!
「よし、大丈夫だ。通り過ぎるだけ、通り過ぎるだけ…!」
俺は、なるべく早足に、そして抜き足差し足忍び足で武器庫の前を通り抜けることにした。
一瞬通るだけだ‼ 頑張れ、俺!
「はぁっ、ああっ! あ、あしゅるさまぁ!!」
何ィイ?!?!
「ぼ、くだけじゃだめなの?ぁっ、えっちの練習がしたいなら、ぼくを使ってよぉ。いつでも付き合うからぁっあ!」
「ちっ、お前だけ抱いて何になるんだ。穴がゆるくなっちゃ意味がないだろ。」
「そ、んなぁっ、ひっ!あっあぅ!」
う、うそだ……。
そんなわけない、そんなわけ…。
アシュルの声に似てるだけ、似てるだけだよな。
名前もきっと聞き間違えだ。
「あしゅ、るさまぁっ!!ああんっ、そこっ、もっと! いいっ!」
うわぁあ!!
このバカ野郎!はっきりと名前を言うな!
いや!
いやいや。
あれだ、同姓同名。
断じてアシュルではない!
「うるさい黙れ! 気が散る!! お前はただの肉の塊だと言っているだろう。」
「ひぅっ、ごめっ、ごめんなさぁいっ♡」
……通り過ぎよう。
とにかく今はここから離れるんだ。
考えるのは、後で良い。
俺は、一歩また一歩と歩みを進めた。
すると、なんということだろう。
武器庫の扉が、少しだけ、開いている。
「ぴゃぁ……っ。」
見るつもりは無かった。
でもその光景は、俺の目に飛び込んできたのだ。
思わず情けない悲鳴を上げた口を両手で抑え、震えた。
なに?なんなの…?
この雄々しい獣、ケダモノ、猛獣は…‼
「さ、さらさらの…、銀髪……。」
「へ…? に、兄さん⁉」
俺はショックのあまり気絶した。
▼
「うわぁあああ‼」
ガバっと起き上がった自分の視界に入り込んだのは、学園内の自室と宙を藻掻く血管の浮き出た俺の手。随分と力が入っていたその手を緩め、落ち着かせる。転生したあの日に比べ、この手も随分と凛々しくなったものだ。
「いつの間に部屋に戻ったんだ、俺。
うう、何だか、酷い悪夢を見たような…。」
少し、ズキズキとするこめかみを指で撫で付ける。
「具合はどう?兄さん。」
背後から聞こえた声に俺はびくりと肩を跳ねさせた。やば、変な夢見たせいで…。ぶんぶんと頭を振り、息を整える。そうかそうか、やっぱりを気を失ったりしたんだな。それで、優しくて可愛くて天使な弟、アシュルが俺を運んでくれたと。
「アシュル。俺、あんまり覚えてないんだけど…。」
振り向けば、ティーセットを持ったアシュルが小首をかしげて不思議そうに微笑んでいる。
はああっ♡やっぱ俺の弟、天使!
さっきのは、ただの悪夢かぁ…。
「兄さん、僕がセックスしてるのを見て倒れちゃったんだ。」
刺激強かった?ごめんね。
俺の頭に掌が乗っかりわしゃわしゃと撫でる。
ああ、いつの間にか大きくなったなぁ…。
「ごめん、聞こえなかった。どこで倒れたって?」
「ん?武器庫の前だよ。あそこあんまり人が通らないからヤリ部屋にしてたんだ。ごめんね、びっくりしたよね。」
気づかわしげなアシュルの声。
ああ、あんなところに、天井にシミがあるぅ…。
はは、ははははは。
俺、まだ夢見てるのかな。
「でも、残念だよ。」
「えっ」
「兄さん、処女じゃないんだね。」
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