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男だらけの異世界転生〜幼少期編〜

10歳、俺の日常

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 痛い……。

 痛くて、眠れない。
 骨が軋むように痛い…。
 足が重くズキズキと痛くて吐きそうだ。
 痛みで動けない。

「痛ぇ…痛ぇよぉ…。」

 突然だが、成長痛というものを経験したことはあるだろうか?『成長痛』と聞けば、成長時に伴う痛みだと誤解をする人も多いだろうが、そうではない。一説によると、子どもは足の筋肉や骨が未発達であるにも関わらず、活発に動くので炎症を起こすというものらしい。しかし、確かな原因は判明していない。

 前世の俺も成長痛に悩まされた。
 成長痛、ならぬ神経痛は苦痛だ。
 悟りそうになるほどに、痛い。
 まさか、この痛みをまた感じる日が来るとは…。
 最近、あの広い庭を覚えて走り回っている。
 毎日、子どもらしく鬼ごっこや水泳で基礎体力向上を目指して頑張っていたのだが…。
 運動し過ぎか?

「うううう、痛くて眠れない…。」

 こんな時は熱い湯に浸かりたいのだが、残念ながらこの世界には湯に浸かる文化がない。以前、叱られたのを思い出して、俺は一人苦い表情をする。

 そういえば、この世界に転生して数週間、背がグングン伸びている。あくまで成長痛は関係ないらしい…、あくまで。やはり、不摂生な生活と運動不足で成長が滞っていたみたいだ。考えてみれば、父も母も背が高い。よくよく見れば、父よりも母ルルーシュの方が背が高いことには驚いた。そんなこんなで俺の背はベェルシードことベェルちゃんにそろそろ追い付きそう。

 しかし、どうしようか、何度も言うが痛すぎる。

「痛い~っ! ベェルちゃあーん!」

 叫んだところで、ベェルちゃんもこんな時間には寝ている。
 
「あっ、待てよ…? 治癒魔法ヒールで痛み治まる?」

 俺は最近、家庭教師を付けてもらっている。
 父上にお願いして付けてもらった。

 そろそろ、例の王子様とのお茶会があるのもあって礼儀作法や魔法を少し教えてもらっている。俺は貴族にしては魔力が少ないらしく、魔法は微妙らしい。それでも、とりあえず一般的で使いやすい治癒魔法ヒールを教えてもらった。あとは水とか火とか日常で使えるものだけで、攻撃魔法は習っていない。まだまだ勉強中、魔法初級くらい。

「痛いの痛いの飛んでいけ~っ。」

 足にポワンと暖かさのが広がる。ちなみに、この世界の魔法に呪文とかは必要ない。今のは、ついつい言ってしまっただけです。

 うん、痛みが引いてきた。
 これでぐっすり眠れそうだ…。



 チュチュンがチュン

 おはようございます。
 最近習った治癒魔法ヒールのおかげでぐっすり眠れた。
 俺は顔を洗い、この間、街で買った服を着る。
 これから朝の運動とストレッチをする。
 最近、グングン伸びている俺の身長。
 この間、買ったばかりの服も心なしか袖が短い。
 やはり、あまり枚数を買わなくて正解だった。

 以前まで着ていたフリフリでキュートな服もサイズが合わなくなったことを理由に手放すことにした。と言っても、捨てるのは流石にもったいない。もったいないは日本人精神、俺の前世が影響している。なので着れなくなった服は孤児院に贈り、派手すぎるものは再加工してもらうために街の需要のあるお店に渡した。父上と母上が取っておこうときかなかったので、お気に入りの服をそれぞれ一着ずつ選んでもらいそれだけを手元に残しておいた。装飾品に関しては、代々受け継ぐ重要なもの貴重なものプレゼントは大切に保管。フランドールの趣味のものは質屋にもっていき、お小遣いに替えた。これらの資金は後々使う予定。こうしてクローゼットの中はスッキリした。

 ちなみに捨てにくい自画像と鏡だらけの部屋に悩んでいたが、前世の記憶で機転を利かせることで上手く隠した。

 それは…、保健室のカーテン作戦だ。

 部屋の天井にカーテンレールを引き、カーテンを付ける。まるで、保健室のベッドのようにぐるりと壁を白い布で覆ったのだ。そうすることで、必要時には鏡を見れる。俺が鏡を取っておきたいのは、これから鍛える未来の筋肉のため。それから自画像は貴族の嗜みなので来客のある際は見せるべきものらしい。若干、いや結構、恥ずかしいが…。部屋も大分、落ち着きのある空間になった。

 朝食を終えると家庭教師がやってきて、礼儀作法をビシバシ俺に叩き込む。もうすぐ王子様とのお茶会があるので、しっかり覚えなければならない。

 午前中にそれを終えると、ベェルちゃんと鬼ごっこをしたりゲームをして遊ぶ。昼食を取ったあとは、別の家庭教師に魔法学や歴史、文字などを習う。夕方にはそれが終わり、あとは自由に過ごす。ちなみに最近、3時のお菓子はやめました。実はそんなに甘いものが得意じゃないんだ。夕飯を食べ、風呂に入る。相変わらず、ベェルちゃんが全身を綺麗に洗ってくれる。石鹸とかは無くて洗浄クリアという魔法を使いながら綺麗にしているらしい。

 そんなこんなで俺の一日は過ぎていく。

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