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第六章
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「置いておくか、今日は」
「由里はどうするんだい?」
「それは由里次第だよ」
自分の姪についてもだ、真一は放任することにしていた。やはり応援はしないが邪魔もしないという態度だ。
「あいつさえよかったらな」
「いいんだね」
「人の恋路には、相手が屑でもない限りな」
「やばい人でもない限りだね」
「いいさ」
それだけで、というのだ。
「だから後はあの二人次第だよ」
「そういうことだね」
「お袋はどうなんだ?」
真一は自分の返答を済ませてから母に尋ねた。
「どう思ってるんだい?」
「あの娘もいい歳だからね」
このことからだ、母は息子に答えた。
「だからね」
「いいっていうのか?」
「あんたと同じだよ、それこそやばい人じゃないと」
「いいんだな」
「ああ、いいよ」
これが息子への返答だった。
「見守っておくよ」
「それじゃあな」
真一も母の言葉に頷いた、そしてだった。
二人を見守ることにした、すると。
智樹はその日は由里と二人でじっくりと話した。それが終わってからだった。
彼は真一と共に帰る時にだ、こう彼に言った。
「いい娘ですね」
「そう言うと思ってたよ」
真一は自分の横でうきうきとしている智樹にやはり憮然とした顔で返した。
「このタイミングでな」
「あっ、予想通りでしたか」
「ああ」
全く以てという口調で返したのだった。
「そうだよ、それで由里は何て言ってる?」
「また来て下さいって言ってくれました」
「客としてか?」
「いえ、今度はデートしようって」
「そうか、あいつもまんざらじゃないか」
「そうみたいですね」
「仕方ないな」
やはり憮然として返す由里だった。
「あいつもそう言うのなら」
「じゃあデートしてきますね」
「また言うが勝手にしろ」
ここでもだ、真一は智樹に苦い顔で返した。
「御前等も子供じゃないからな」
「そういうことで」
「それで店のもの買ったのか?」
「そっちが主題ですか」
「それで連れて来たんだぞ」
「でしたね、もうそれは」
そのことはと言う智樹だった、その辺りはだった。
「幾つか買わせてもらいました」
「ならいいがな」
「ええ、由里ちゃんにアドバイスしてもらって」
それでいい品を買ったというのだ。
「そうしました」
「そうか、しかしもうちゃん付けか」
真一はこのことに気付いてその目を鋭くさせた、そこにもう見るべきものを見ているのである。それがわからない彼ではない。
「随分仲良くなったな」
「そうですか?」
「今日で初対面だぞ。まあいいか」
今度はこう言った真一だった。
「デートは好きにしろ」
「じゃあお言葉に甘えて」
「それでか」
「デート行って来ますね」
「俺は何もしないし言わないからな」
真一はデートについても放任を決めた、そして。
智樹は由里とデートもしてそれからもだった、会うことを続け。
遂にだ、智樹は真一に由里と一緒ににこにことしてこう言った。それも彼にわざわざ喫茶店に来てもらって。
「俺達実は」
「結婚しようかって思ってるの」
二人で言うのだった。
「そう二人で話してますけれど」
「どうかしら」
「あの、課長は」
「叔父さんはどう思うの?」
「俺達が結婚するとしたら」
「そうなったら」
「勝手にしろ」
真一は二人を嫌そうな顔を作りながらも答えた。
「由里はどうするんだい?」
「それは由里次第だよ」
自分の姪についてもだ、真一は放任することにしていた。やはり応援はしないが邪魔もしないという態度だ。
「あいつさえよかったらな」
「いいんだね」
「人の恋路には、相手が屑でもない限りな」
「やばい人でもない限りだね」
「いいさ」
それだけで、というのだ。
「だから後はあの二人次第だよ」
「そういうことだね」
「お袋はどうなんだ?」
真一は自分の返答を済ませてから母に尋ねた。
「どう思ってるんだい?」
「あの娘もいい歳だからね」
このことからだ、母は息子に答えた。
「だからね」
「いいっていうのか?」
「あんたと同じだよ、それこそやばい人じゃないと」
「いいんだな」
「ああ、いいよ」
これが息子への返答だった。
「見守っておくよ」
「それじゃあな」
真一も母の言葉に頷いた、そしてだった。
二人を見守ることにした、すると。
智樹はその日は由里と二人でじっくりと話した。それが終わってからだった。
彼は真一と共に帰る時にだ、こう彼に言った。
「いい娘ですね」
「そう言うと思ってたよ」
真一は自分の横でうきうきとしている智樹にやはり憮然とした顔で返した。
「このタイミングでな」
「あっ、予想通りでしたか」
「ああ」
全く以てという口調で返したのだった。
「そうだよ、それで由里は何て言ってる?」
「また来て下さいって言ってくれました」
「客としてか?」
「いえ、今度はデートしようって」
「そうか、あいつもまんざらじゃないか」
「そうみたいですね」
「仕方ないな」
やはり憮然として返す由里だった。
「あいつもそう言うのなら」
「じゃあデートしてきますね」
「また言うが勝手にしろ」
ここでもだ、真一は智樹に苦い顔で返した。
「御前等も子供じゃないからな」
「そういうことで」
「それで店のもの買ったのか?」
「そっちが主題ですか」
「それで連れて来たんだぞ」
「でしたね、もうそれは」
そのことはと言う智樹だった、その辺りはだった。
「幾つか買わせてもらいました」
「ならいいがな」
「ええ、由里ちゃんにアドバイスしてもらって」
それでいい品を買ったというのだ。
「そうしました」
「そうか、しかしもうちゃん付けか」
真一はこのことに気付いてその目を鋭くさせた、そこにもう見るべきものを見ているのである。それがわからない彼ではない。
「随分仲良くなったな」
「そうですか?」
「今日で初対面だぞ。まあいいか」
今度はこう言った真一だった。
「デートは好きにしろ」
「じゃあお言葉に甘えて」
「それでか」
「デート行って来ますね」
「俺は何もしないし言わないからな」
真一はデートについても放任を決めた、そして。
智樹は由里とデートもしてそれからもだった、会うことを続け。
遂にだ、智樹は真一に由里と一緒ににこにことしてこう言った。それも彼にわざわざ喫茶店に来てもらって。
「俺達実は」
「結婚しようかって思ってるの」
二人で言うのだった。
「そう二人で話してますけれど」
「どうかしら」
「あの、課長は」
「叔父さんはどう思うの?」
「俺達が結婚するとしたら」
「そうなったら」
「勝手にしろ」
真一は二人を嫌そうな顔を作りながらも答えた。
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