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第一章 世界の果てに咲く花
生命の花 8
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翌日、夜明けと共に兵が展開していくのが見えたので、彼女は翼手竜に乗って収容所の門を超え、門の前に降り立つ。
『収容所を攻めようとしている兵に告ぐ。命が惜しければ、この場から逃げ去れ。私は、私に武器を向ける者の命を保証するつもりはない。武器を捨て逃げ去る者を追う事はしないが、武器を持ち戦うつもりであればその命を奪う事に躊躇いはない』
彼女は収容所にも展開する兵士達にも聞こえるように、魔力によって拡声した声で宣言する。
これは降伏勧告と言うより挑発行為と受け取られたのか、兵士達にはさほど動揺は広がらなかった。
兵士達は彼女の戦闘能力を正しく認識していなかったのだ。
彼女の『ナインテイル』は魔術による攻撃であり、対魔術装備に固めていると言う事で安心感があったのだろう。『ナインテイル』を主とした魔術攻撃が無力化されてしまえば、そこに残るのはただの小柄な亜人の少女である。
とでも思ったのだろう。
それが大きな勘違いである事すら気付かず、その可能性すら考えていなかった。
展開された兵士達が前進した時、彼女は左手に持つ銀の柄を振る。
輝く程に高密度な魔力によって造られた九つの触手じみた鞭は、その長さも太さも物理的に振り回す事の出来るものではない。その上、その鞭は自らの意思を持っているかのような動きを見せる。
それに対し対魔術装備の兵士達は、盾を構えて鞭を防ごうとする。
『警告はした。受け入れられず、残念だ』
彼女はそう言うと、銀の柄を振る。
その直後、兵士達の甘過ぎる幻想と前進の為の陣形は打ち砕かれた。
考え方は間違ってはいなかった。確かに彼女の持つ銀の柄から繰り出される鞭は魔力の結晶なので、対魔術装備であれば威力を軽減する事もできる。その上で物理攻撃として防ぐために盾で身を守るという行為は、対策としては万全と言える。
問題は、防ぐ対策は間違っていなかったのだが、防げる規模の攻撃ではなかった事だ。
彼女の振る魔力の鞭は、常識の範囲に収まらない。確かに兵士達の身につけている対魔術装備であれば、亜人収容所で使われる攻撃魔術のほとんどを遮断出来たはずだが、彼女の鞭の威力はその十倍でも収まらない。
さらに盾で防ごうにも、長さや重さが防げるようなモノではない。その上、鞭の数本は上から振り下ろされたのに対し、別の数本は地面を這い回り、兵士の足に絡むとその兵士を持ち上げて振り回している。
その最初の一撃以降は、戦闘と呼べるものでは無かった。
伝説の『ナインテイル』の如く、武器を持つ兵士達などまるで無意味であると言わんばかりに蹂躙し、周囲は悲鳴と怒号、金属や鞭による打撃による衝撃音が響く。
小柄な黒いとんがり帽子の少女は、阿鼻叫喚の地獄を演出しながらも本人は眉一つ動かさず、無造作に歩を進める。
そこは戦場ではなくなっていた。
実質的な被害は全体の一割にも満たないだろうが、もう戦意を保つ事など出来ていない。集まった兵数はただ恐怖を伝染させるだけであり、こうなってはいかに指揮官が優秀であったとしても、もう意味が無い。
兵士達は悲鳴を上げて武器を捨てて逃げ出し、隊長クラスと思われる一般の兵士を叱責している者は、『ナインテイル』に捉えられ上空に放り投げられるか、その場で引き千切られていく。
彼女は宣言通り、その場から逃げ出していく者へ追撃する事は無く逃げるに任せているが、武器を手に彼女に攻撃を仕掛けようという素振りを見せる者へは容赦無く攻撃を仕掛け、その命を奪う事に躊躇いを見せない。
数千の兵団は僅か数分で霧散していき、その兵数は半数以下に減っている。
彼女はそのまま収容所から離れ、主要人物達が高みの見物を決め込んでいる野営地へ歩いていく。
彼女の歩みを止めようと試みる勇敢な兵士もいるにはいたが、その兵士達はその数秒後には犬死にする事になった。
「待て! その歩みを止めよ!」
ようやく彼女に言葉をかけてくる者が現れ、一時的に彼女は歩みを止める。
その隙を狙おうとした兵士もいたが、槍や弓を構えようとした時には彼女の『ナインテイル』の餌食になった。
彼女の前に立ちはだかったのは、大柄の男だった。
「私からの要求は伝えたはず。今さら話す事など無い」
「亜人の小娘が人間に歯向かう事など許されているとでも思っているのか!」
大男は怒りに任せて、彼女に怒鳴る。
「許されなければ、どうなるの?」
彼女はそう言うと、左手の鞭を振る素振りを見せる。それだけで凄みをきかせようとしていた大男は、恐怖に身を竦ませる。
「話にならないな。見逃してやるから、泣いて逃げ回れ」
彼女は蔑みながら言う。
大男はカッとなって怒鳴ろうとしたようだが、彼女が金色の瞳を向けるだけで喉元まで出かかっていた言葉は飲み込まれる。
「道を開けろ。言葉をかけるのはこれが最後だ」
彼女が左手を上げようとした時、大男は道を開ける。
「命も賭けられない者が、私を止められるとでも思ったのか?」
「では、命を賭ければ歩みを止める事が出来るのですかな?」
大男の後ろから姿を現したのは、初老の騎士だった。
「亜人蜂起の規模を調べる為に派遣された、東のクデベルから来た騎士、ボウディーと申します。その武器は収めていただけますか?」
「貴方に兵を退ける権限があるの?」
「いえ、自国の兵なら命じる事も出来ますが、全体にはソレを命じる事は出来ません」
「なら、私が武器を収める理由にはならないでしょう? 貴方はふらりとやって来た客人から自国の武装解除を一方的に勧告されて、それを受け入れるの?」
彼女は呆れた様に、初老の騎士に言う。
「なるほど、それはその通りでしょう。では、貴女は何のためにその武力を振るうのですか? 余りにも一方的な暴力だと思いますが」
「私達は貴方達と同じ生活を求めている。それを暴力で押さえつけようとしているのはソチラでしょう。この集団は暴力では無いと? 私は昨日も要求を伝えたはず。全面降伏か、徹底抗戦か。貴方達は武器を持って残った。それは徹底抗戦の意思表示ではないのか? それに先ほども逃げるか戦うか問うのは聞かなかったのか? 私は代表として来たのだから、貴方の問はここの代表からの問で無ければ、私が答える義理は無い」
「なるほど、これは困りましたね。貴方は戦士ではありませんでしたか」
ボウディーと名乗る騎士は苦笑いするが、彼女の前から動こうとしない。
「では貴女はここで敵対する者全てを死に至らしめると? その後、人間と亜人との共存の道を一人で閉ざすと言うつもりですか?」
彼女は鼻で笑うと、ボウディーを見る。
「私は道を示したはず。それを理解出来ない者にこれ以上話す事など無い」
「死か服従か、ですか。横暴な二択ですね」
「貴方達は、ここで蜂起した亜人にそれ以外の選択肢を与えてるつもりか? 私は貴方達と同じ選択肢を選ばせているに過ぎない」
彼女はそう言うと、ボウディーを睨む。
「対等に立つつもりも無い奴が、軽い言葉を積み重ねる事に何の意味がある。本当に命懸けで説得しようとするなら、私に軽い言葉を積み重ねるより、不況を買ってでも代表者を出す事が、部下の命を守る行為では無いのか? その程度の覚悟も無い者が、よく騎士を名乗れたものだな」
「弁舌は無意味ですよ。貴女を説得出来る人など、ここにはいないでしょう」
まだ振り続ける雨より冷たい声が、戦場に響く。
それは特に大きな声では無かったが、それでも周りに響く悲鳴や怒号を一瞬で凍りつかせる冷気を含んでいた。
「私の客です。これ以上の出血は必要無いでしょう。解散して下さい」
雨の中歩いてくるのは、収容所の制服に身を包むギリクであり、彼は兵士達を見る。
『収容所を攻めようとしている兵に告ぐ。命が惜しければ、この場から逃げ去れ。私は、私に武器を向ける者の命を保証するつもりはない。武器を捨て逃げ去る者を追う事はしないが、武器を持ち戦うつもりであればその命を奪う事に躊躇いはない』
彼女は収容所にも展開する兵士達にも聞こえるように、魔力によって拡声した声で宣言する。
これは降伏勧告と言うより挑発行為と受け取られたのか、兵士達にはさほど動揺は広がらなかった。
兵士達は彼女の戦闘能力を正しく認識していなかったのだ。
彼女の『ナインテイル』は魔術による攻撃であり、対魔術装備に固めていると言う事で安心感があったのだろう。『ナインテイル』を主とした魔術攻撃が無力化されてしまえば、そこに残るのはただの小柄な亜人の少女である。
とでも思ったのだろう。
それが大きな勘違いである事すら気付かず、その可能性すら考えていなかった。
展開された兵士達が前進した時、彼女は左手に持つ銀の柄を振る。
輝く程に高密度な魔力によって造られた九つの触手じみた鞭は、その長さも太さも物理的に振り回す事の出来るものではない。その上、その鞭は自らの意思を持っているかのような動きを見せる。
それに対し対魔術装備の兵士達は、盾を構えて鞭を防ごうとする。
『警告はした。受け入れられず、残念だ』
彼女はそう言うと、銀の柄を振る。
その直後、兵士達の甘過ぎる幻想と前進の為の陣形は打ち砕かれた。
考え方は間違ってはいなかった。確かに彼女の持つ銀の柄から繰り出される鞭は魔力の結晶なので、対魔術装備であれば威力を軽減する事もできる。その上で物理攻撃として防ぐために盾で身を守るという行為は、対策としては万全と言える。
問題は、防ぐ対策は間違っていなかったのだが、防げる規模の攻撃ではなかった事だ。
彼女の振る魔力の鞭は、常識の範囲に収まらない。確かに兵士達の身につけている対魔術装備であれば、亜人収容所で使われる攻撃魔術のほとんどを遮断出来たはずだが、彼女の鞭の威力はその十倍でも収まらない。
さらに盾で防ごうにも、長さや重さが防げるようなモノではない。その上、鞭の数本は上から振り下ろされたのに対し、別の数本は地面を這い回り、兵士の足に絡むとその兵士を持ち上げて振り回している。
その最初の一撃以降は、戦闘と呼べるものでは無かった。
伝説の『ナインテイル』の如く、武器を持つ兵士達などまるで無意味であると言わんばかりに蹂躙し、周囲は悲鳴と怒号、金属や鞭による打撃による衝撃音が響く。
小柄な黒いとんがり帽子の少女は、阿鼻叫喚の地獄を演出しながらも本人は眉一つ動かさず、無造作に歩を進める。
そこは戦場ではなくなっていた。
実質的な被害は全体の一割にも満たないだろうが、もう戦意を保つ事など出来ていない。集まった兵数はただ恐怖を伝染させるだけであり、こうなってはいかに指揮官が優秀であったとしても、もう意味が無い。
兵士達は悲鳴を上げて武器を捨てて逃げ出し、隊長クラスと思われる一般の兵士を叱責している者は、『ナインテイル』に捉えられ上空に放り投げられるか、その場で引き千切られていく。
彼女は宣言通り、その場から逃げ出していく者へ追撃する事は無く逃げるに任せているが、武器を手に彼女に攻撃を仕掛けようという素振りを見せる者へは容赦無く攻撃を仕掛け、その命を奪う事に躊躇いを見せない。
数千の兵団は僅か数分で霧散していき、その兵数は半数以下に減っている。
彼女はそのまま収容所から離れ、主要人物達が高みの見物を決め込んでいる野営地へ歩いていく。
彼女の歩みを止めようと試みる勇敢な兵士もいるにはいたが、その兵士達はその数秒後には犬死にする事になった。
「待て! その歩みを止めよ!」
ようやく彼女に言葉をかけてくる者が現れ、一時的に彼女は歩みを止める。
その隙を狙おうとした兵士もいたが、槍や弓を構えようとした時には彼女の『ナインテイル』の餌食になった。
彼女の前に立ちはだかったのは、大柄の男だった。
「私からの要求は伝えたはず。今さら話す事など無い」
「亜人の小娘が人間に歯向かう事など許されているとでも思っているのか!」
大男は怒りに任せて、彼女に怒鳴る。
「許されなければ、どうなるの?」
彼女はそう言うと、左手の鞭を振る素振りを見せる。それだけで凄みをきかせようとしていた大男は、恐怖に身を竦ませる。
「話にならないな。見逃してやるから、泣いて逃げ回れ」
彼女は蔑みながら言う。
大男はカッとなって怒鳴ろうとしたようだが、彼女が金色の瞳を向けるだけで喉元まで出かかっていた言葉は飲み込まれる。
「道を開けろ。言葉をかけるのはこれが最後だ」
彼女が左手を上げようとした時、大男は道を開ける。
「命も賭けられない者が、私を止められるとでも思ったのか?」
「では、命を賭ければ歩みを止める事が出来るのですかな?」
大男の後ろから姿を現したのは、初老の騎士だった。
「亜人蜂起の規模を調べる為に派遣された、東のクデベルから来た騎士、ボウディーと申します。その武器は収めていただけますか?」
「貴方に兵を退ける権限があるの?」
「いえ、自国の兵なら命じる事も出来ますが、全体にはソレを命じる事は出来ません」
「なら、私が武器を収める理由にはならないでしょう? 貴方はふらりとやって来た客人から自国の武装解除を一方的に勧告されて、それを受け入れるの?」
彼女は呆れた様に、初老の騎士に言う。
「なるほど、それはその通りでしょう。では、貴女は何のためにその武力を振るうのですか? 余りにも一方的な暴力だと思いますが」
「私達は貴方達と同じ生活を求めている。それを暴力で押さえつけようとしているのはソチラでしょう。この集団は暴力では無いと? 私は昨日も要求を伝えたはず。全面降伏か、徹底抗戦か。貴方達は武器を持って残った。それは徹底抗戦の意思表示ではないのか? それに先ほども逃げるか戦うか問うのは聞かなかったのか? 私は代表として来たのだから、貴方の問はここの代表からの問で無ければ、私が答える義理は無い」
「なるほど、これは困りましたね。貴方は戦士ではありませんでしたか」
ボウディーと名乗る騎士は苦笑いするが、彼女の前から動こうとしない。
「では貴女はここで敵対する者全てを死に至らしめると? その後、人間と亜人との共存の道を一人で閉ざすと言うつもりですか?」
彼女は鼻で笑うと、ボウディーを見る。
「私は道を示したはず。それを理解出来ない者にこれ以上話す事など無い」
「死か服従か、ですか。横暴な二択ですね」
「貴方達は、ここで蜂起した亜人にそれ以外の選択肢を与えてるつもりか? 私は貴方達と同じ選択肢を選ばせているに過ぎない」
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「弁舌は無意味ですよ。貴女を説得出来る人など、ここにはいないでしょう」
まだ振り続ける雨より冷たい声が、戦場に響く。
それは特に大きな声では無かったが、それでも周りに響く悲鳴や怒号を一瞬で凍りつかせる冷気を含んでいた。
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