転生したらモブ侍女のはずが…どうしてこうなった！？

ティファニーsaid2

「は、はぁ！？
マナって…あの店にいたブス！？」


ポロっと出た言葉に、リオお兄ちゃんがすぐさま謝れだとか煩く言ってきたけど、今はそれ所じゃなかった

ど、どうして…
この前見た時はただのもっさいブスだったくせに
いきなりこんな変わるなんて…

もちろん私が1番可愛い事は分かってるんだけど
なんだかオーラがキラキラしていて全くの別人というか…

いやいや、どうせ化粧の力でしょ
ちょっとまともになっただけじゃない


そしてまたサミュエルと口論になっていると、これ以上は無駄だと思ったのか、私を無視して舞踏会の会場へ入ろうとする2人


まだ話は終わってないのに私を無視なんて信じらんない！


急いで2人を追いかけて中に入ると、下から私を見る沢山の人達の視線があった

ちらほらとどこの御令嬢だろうとか、是非お話しがしたいとか、褒めたたえる声が聞こえる


ほらね、サミュエル達の態度がおかしいのよ

これよこれ
このちやほや感、やっぱり私がヒロインよね！

なんであのマナとか言う奴を見てあんなに焦ってたんだか

私が機嫌を良くしていると…


「マナ！！」


少し遠くから人混みをかき分けてくるイケメンが目に入った


あの銀髪…
あれってアルディスよね！？

うそ…
挿絵よりも実物の方がイケメン！

ん…？
でもさっきマナとか呼んでなかった！？

サミュエル達の方を見ると、さっきまで隣に居たはずなのにいつの間にか居なくなっていた


そして少し息を切らしながら階段を登ってきたアルディス


「マナ…
どこに行ったんだ？」


あたりを見回して探している


やっぱり聞き間違いじゃなかった

なんでアルディスがあのブスを探してるわけ！？

一体あの女とどう言う関係なの…？


「ちょっと、あなたアルディスよね？」

「悪いが俺は今人探しをしていて忙しい」


色々と気になって声をかけたら
こちらを見もせずにそんな事を言われた

忙しいって…
あんた私のメインヒーローでしょ！！


「マナって黒髪の子よね？」

「そうだが…知っているのか！？
さっきまでここにいた筈なんだがどこに行ったか分かるか！？」


突然肩を両手で持たれ、ガクガクと激しく揺さぶられる


「ちょ、ちょっと
髪が乱れるからそんなに揺らさないで！」

「あ、あぁ、悪かったな…」


ったく、アルディスって女の扱いが雑なの！？

ラブマジでは俺様クール枠で、氷結の貴公子ってあだ名がつくぐらいだったはずなんだけど…

なんか必死だし、こんなキャラだっけ？

しかもアルディスの方を見ると、謝りながらもさっさと教えてくれと言わんばかりの顔をしている

その態度に苛ついたけどせっかく会えたので抑えながら話す


「そのマナって子とはどう言う関係なの？」

「何故そんな事を聞く？」

「いいから、何処に行ったか知りたいんでしょ？」


まぁ本当は行き先なんて知らないんだけど…


「今の所は…
唯の主従関係だ」


主従関係って事はあの女が主人なわけはないし、アルディスのメイドか何かって事？

なにそれ…
マナなんて名前聞いた事ないし、もしかして原作には載ってなかった親戚か何かかと思ったけど、唯のモブじゃない

でも気になる発言があった


「今の所はってなに？」

「まぁ約束したからな…
今日が終わればそれも変わる」

「はぁ…？
どう言う意味！？」


全く答えになってない事を言いながら、何故か頬を赤く染めるアルディス

な、何なのその顔は…

えらく色っぽい表情で、一瞬ドキッとした


「ん…？
そう言えばその髪色といい、マナが言ってた奴の特徴と少し似てるな…」

「な、なに！？」


アルディスがボソボソと独り言を言いながら、いきなり眉を顰めてじっと私の方を見てきた

やだ、急にそんなに見つめてくるなんて…
やっと私の魅力に気づいたの！？

ドキドキしながらも、鏡の前で研究した私が1番可愛いく見える角度で、上目遣いで見上げる


「いやないな…」


フッと鼻で笑われた


な、何この反応…
普通ならこれでコロッと落ちるはずなのに…

なんか凄く馬鹿にされたみたいでムカつく！

キッとアルディスを睨んでいると、いつの間にかリオお兄ちゃんが隣にいて…


「すまない、話が聞こえたんで…
マナならサミュエル様とあっちの階段に降りて奥の方へ行きました」

「お前は確か殿下の護衛騎士…
何でマナはサミュエル様なんかといるんだ！？
悪いな、教えてくれて助かった！」

「あ、ちょっと！！」


私の呼び止める声も聞かずに、アルディスはさっさと行ってしまった


「何で教えちゃうの！！」


私が怒ると、リオお兄ちゃんは何が悪いんだって顔をしてた


まだアルディスと話たかったのに！！


ぐっと下唇を噛んでいると…

それよりも遅れたから陛下達にまだ挨拶もしてないし、私はデビュタントなんだから王太子殿下達のどちらと踊るのかも決めないとと言われた

そうよ…
第2王太子のディーンアデライト！！

アルディスにばかり気をとられてたけど、王太子もいるじゃない！

ラブマジでも最初はダンス中に遅れて来て注目される所からのスタートだっけ？

他の女とのダンスで嫉妬に狂った悪役令嬢が暴れてデビュタントが台無しになりそうな所に、可愛いすぎる私が現れて麗しの王太子の目にとまるのよね

もう既に中に入っちゃったけど…

ヒロインには変わりないし、多少出会いが違っても大丈夫でしょ

私は機嫌をなおし、意気揚々と挨拶へと向かった