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波乱の舞踏会4

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踊るために中央に行く際、ヴィヴィお嬢様とヒロインちゃんに凄い顔で睨まれた

いくら何でも怖すぎる…


「驚いたよ
まさかあんな風にドレスを改良するなんて…」

「あれはドンフリーさんって方のデザインを見て参考にしただけです」


王子様は凄く褒めてくれたけど、そうこうしている内にダンスが始まる


「そう言えば、サミュエルにダンスも教えてもらったんだよね?」

「はい!」
 

自主練習もしてて良かった!
なんとか王子様のステップについていけてる


「本当腹立たしいね」

「へ…?」


な、なんだか王子様の笑みが黒い気がする


そのまま優雅にターンを決めていると…


え…!?

シャルさんが抑えているけど、今にも乗り込んできそうな勢いのアルディス様が目に入った


「アルディスにはサミュエルとの事は言ったの?」

「それが急な話だったので…」

「まぁ、あの様子だとそうだよね」


しまった…
さっきは遠目からだけど、ヒロインちゃんと良い感じだと思ってアルディス様に何も話してなかったけど…
一応今は私のご主人様なわけだし、後でちゃんと説明しないと駄目だよね


そろそろダンスも終わりかと思っていると、突然曲調の早い曲に変わった


「え!?」


な、なんで急に…!?
こんな早い曲踊れない…


何かの間違いかと思い、チラッと音楽隊の人達の方を見ると、ヴィヴィお嬢様が何かを指示しているように見えた


全然踊れなくなってアワアワしていると…


「仕方ない
マナは私に合わせるだけでいいから」

「きゃっ!?」


いきなり腰を強くもたれ、必死に王子様のステップについていく

もう最後は全然ダンスなんか関係なくて、クルクルと王子様に身体を持ち上げられて回っているだけだった

終わった後は周りの人達から拍手喝采がおきたけど、私は目が回って吐きそうだった


「ちょっと無理をさせたね
シャルに案内させるから私の控室を使って休むといいよ」

「あ、ありがとうございます」


お辞儀をして行こうとすると…


「マナ!!」

「あ、アルディス様…」

「アルディスちょうど良かった、話があるんだ
シャル、マナを控室に頼む」

「はいはぁ~い」

「な、俺はマナに話が…」


アルディス様の肩を王子様が掴み
なにやらそのまま話はじめた


「マナちゃん行こ!」

「は、はい…」


何故か途中、色んな人に話かけらてダンスを申し込まれたけど、シャルさんが庇いながら案内してくれて、かなり豪華な控室に通された


ふぅ…
色々とハプニングがあったけどやっと落ち着ける


しばらくソファの上で1人でだらけていると…


カチャッー・・・


小さく扉が開く音がした


「シャルさん…?」


また戻ってきたのかな…?

パッと扉の方を見ると、まさかのヒロインちゃんがいた


「ここにいたのね…
なんでブスの癖にあんたばっかり…」

「へ…?」


プルプルと身体を震わせながら話すヒロインちゃん


「私がラブマジの主人公ヒロインなのよ!?
なのに何であんたみたいな邪魔なモブがいるの!?」

「なっ…!?」


い、今このヒロインちゃんラブマジのこと…


「まだ会ってない奴もいるけど、メインヒーロー達は馬鹿の一つ覚えみたいにマナ、マナって、まるで私なんて眼中にないように言ってくるし、悪役令嬢はやる事が生温い事ばっかり…」

「な、なんでラブマジの事もメインヒーロー達の事も知って…きゃっ!?」


いきなりソファーに押し倒してくるヒロインちゃん


「おかしいと思った!
やっぱりあんたも転生者かなんかなのね」

「転生者ってじゃあヒロインちゃんも…」


性格があまりにも違いすぎるとは思ったけど、まさかヒロインちゃんも転生者だなんて…


「よく分からないけど、私の場合は起きたらこの身体だったの」

「起きたらってどう言う…っ!?」


何処から持ち出したのか、突然私の真横にケーキナイフを突き立てるヒロインちゃん


あまりにも怖くて喉がヒュッと鳴る…


「あんたがメインヒーロー達に関わるせいで私のイケメンハーレムライフが崩れようとしてんの…
でも主人公ヒロインは優しいし、同じ転生者の誼でブスなあんたにもチャンスをあげる
ラブマジとは全く関係ない国に行って、この国から今すぐ黙って出て行くなら何もしない
でもそうじゃないなら…」


ドスッとまた私の真横にケーキナイフを突き刺すヒロインちゃん


「っ……!」


少しだけ頬を掠めたのか、ヒリヒリする


「この意味が分かるでしょ…?」


もはやラブマジのヒロインとは思えないほど目が血走り本気だった


涙で視界は滲み
コクコクと黙って頷くしかない


「ふふっ…
あぁ、もちろんメインヒーロー達にも誰にも言っちゃ駄目だし、会う事も許さないから
このまま黙って消えるの、出口まで見張ってるから、いいわね!」


まだ震えて動けない身体を無理矢理起こされ、近くにあったローブを被らされた

ヒロインちゃんもローブを着ている


そして目立たない端をヒロインちゃんに連れられ歩いていると、一瞬チラッと見えたアルディス様達の顔


まさかこんな事になるなんて…


ポロポロと涙が溢れ落ちる


「ここは私の世界でみーんな私の物なんだから、邪魔なモブが1人消えた所でお話は勝手に進むはずよ
だから2度と戻って来ないでよね!」


ケラケラと笑いながら出口で手を振るヒロインちゃん


私は馬車に乗る事も忘れ、フラフラとおぼつかない足でお城の長い道のりを歩きはじめた





































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