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仕立て屋さんですか?2
しおりを挟むえ……?
この美少女、ラブマジのヒロインちゃんの挿絵にそっくり
というより、ヒロインちゃんなんじゃ…
私がガン見していると、ドンフリーさんがスッと美少女達の前に出て行く
「お嬢さん、悪いけどうちは予約してない方は入れないのよ」
「何このオカマ野郎…」
「だめだって!
この方はオーナーのドンフリーさんだぞ!」
一緒にいる男の人が焦ったように小突いている
「げっ…
こんな奴がオーナーなの!?」
「何よあんた、私に文句あるわけ?」
ひぃいい、ドンフリーさんの額に血管が浮き出てるし、めちゃくちゃ迫力のある顔をしている
ヒロインちゃんに似てると思ったけど、みんなが好きになっちゃうぐらい可愛いくて、性格も良い子のはずだ
言葉遣いもだけど、こんな失礼な事言うわけないし、ただ似てるだけかな…?
「連れがすまない、ドンフリーさん…
急で無理を言ってるのは分かってるんだが、この子は今年初めての舞踏会でデビュタントなんだ
最近知り合ったんだが、可哀想に着て行くドレスやアクセサリーが無いみたいでね
お金ならいくらでも出すし、ここのドレスのデザインや質は最高だ
どうかお願いできないだろうか?」
「はぁ…
公爵家のヒースちゃんの頼みだから聞いてあげたいけど…
あいにく舞踏会シーズンもあって予約がいっぱいだし、うちも人手が足りないから作れる量がもうギリギリなのよ
今もあちらに接客中のお客様がいるし、残念だけど…」
…と、ドンフリーさんが断ると
「なによ…」
美少女にあるまじき目つきで、ドンフリーさんを睨んでいる
そして突然、私の方を指差してきて…
「こんなブスに似合うドレスなんかないし、何でも似合う私に作った方が仕事が捗るでしょ!?
あんなのに着られるドレスも可哀想よ!!」
「へ…?」
ぶ、ブスって…
いやまぁその通りなんだけど、流石に本人の前で大声で指差してまで言うなんて酷すぎじゃ…
「何なんですか、あなたは!?
いきなりマナさんを侮辱するなんて、失礼にも程がある!!」
突然サミュエルさんが怖い顔して美少女に怒鳴り始めた
「マナだかなんだか知らないけど、本当の事でしょ!
って、貴方……凄くかっこいいわね!名前は!?」
「はぁ……?」
いきなりの美少女の変わりように、その場にいた全員が唖然とする
「さ、サミュエル様!?
つ、連れが失礼な事を言ってしまい、申し訳ありません!!」
サミュエルさんの事を知っているらしい男の人が、美少女の代わりに平謝りしている
「サミュエル…って、サミュエル・バートラー!?」
「そうですが、初対面の貴女に呼び捨てにされるのは不愉快です!」
「呼び捨ては流石にまずいよ!?
サミュエル様は陛下の側近をしている偉い方なんだぞ!」
「本物……
ちょい役の奴でもこんなかっこいいの…」
最後はボソボソと小さい声でよく聞こえなかったけど、どうやら美少女はサミュエルさんの事を知ってるみたいだ
まぁ、王様の側近ともなれば有名だし、美形だから知ってる女性も多いもんね
「ヒースちゃんには悪いけど、お客様の迷惑だから出て行ってちょうだい!!」
とうとう怒りが頂点に達したドンフリーさんが、美少女と男の人を追い出そうとしている
「な…ちょ、ちょっと離してよ!?
私のドレスは!?」
「仕方ないじゃないか
諦めて他の仕立て屋さんに行こう」
「嫌よ!人気のここがいいの!!
サミュエル、貴方からもなんとか言って!!」
いきなりサミュエルさんの右腕に掴まりながら、豊満な胸を押し付ける美少女
「私に馴れ馴れしく触らないで下さい!
それに、呼び捨ては不愉快だと言ったはずですが!?」
美少女の腕をすぐさま振り払って、何故か私の隣に逃げてくるサミュエルさん
「なによ、私よりそんなマナとか言う女の所に行くなんて……
サミュエルってB専だったわけ…!?」
思いっきり睨まれてるけど…
この美少女、顔は可愛いのに口が悪すぎる
これならヴィヴィお嬢様の方が全然マシだ
「本当に失礼な女ね!
ヒースちゃん、この子出禁にするから
2度とうちの店に連れてこないでちょうだい!!」
「な、なにすんのよ!?」
美少女は最後までわーわー言ってたけど、ドンフリーさんによって完全に追い出された
もう1人の一緒にいたヒースさんという男の人は、最後まで私達に謝りながら出て行った
ピンク髪の美少女だったし、一瞬でもヒロインちゃんに似てるとか思っちゃったけど、性格があんまりにも違いすぎてありえないかな…
あれでもし、ラブマジのヒロインちゃんだったら…
あんな人とメインヒーロー達が恋愛する想像がつかないし、なんだかちょっとモヤモヤしちゃう…
「もう、あったまきちゃった!
なんであんたもブスなんて言われて言い返さないの!?」
「へ…?」
肩を掴まれて我にかえると、何故かドンフリーさんが凄く怒っていた
「はぁ…
まぁいいわ、私、決めたから!」
「な、何をですか?」
「サミュエルちゃんに聞いたけど、あんたも今年が初舞踏会でデビュタントなんでしょ?
あんなクソ女に負けないくらい、この私が腕によりをかけてあんたを綺麗にしてあげるわ!」
「それは素敵な事です!
良かったですね、マナさん!!」
「え???」
なんだかドンフリーさんは凄く闘志を燃やしているけど…
わ、私は普通で良いんですが!?
乗り気じゃない私を他所に、サミュエルさんとドンフリーさんはドレスのデザイン等、どんどん勝手に話を進めて行った
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