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第1話
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アルファポリスでは、初めて執筆いたします。
流儀などまだまだ分かっておりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
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リ・シャール魔法学園の卒業パーティーの席で、わたくしの婚約者であるレオナルド王太子殿下は涙ぐむピンク色の髪の女を抱きしめながらこう叫び出した。
「マリアンナ=ラ・トゥール、よくも我が愛しのアイリをマナー違反だ、なんだと苛めたな。
その非道な仕打ちは国母にふさわしくはない。
貴様との婚約を破棄する!」
わたくしはあまりのテンプレに吹き出しそうになったのをグッとこらえた。
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール。公爵家の長女で、転生者です。
今まさにラノベでよくある婚約破棄の真っ只中だ。
わたくしが記憶を取り戻したのは5歳の時、レオナルド殿下との婚約の顔合わせの時だ。
でも倒れたりはしなかったよ。
なんだか見覚えのある子だなぁ程度だった。
婚約後すぐにわたくしの大好きなお母さまが急病で亡くなった。
葬儀が終わり、気がつけば王家に嫁ぐわたくししか後継ぎがいないのはダメだということで、父の愛人が夫人に昇格することになった。
なんと父は前から愛人を囲っていたのだ。
その時にこの展開を知っていると感じた。
ここはわたくしの死亡フラグが乱立する乙女ゲームの世界だということにと気が付いたのだ。
ゲームでの父は愛人とその娘を溺愛し、昔からの使用人を追い出して3人でわたくしを虐待し始める。
そしてその後は義母の選んだ使用人たちからも虐待を受ける。
わたくしが悪役令嬢になるのはここからなのだ。
だが腐ってもわたくしはレオナルド殿下の婚約者。
義妹を婚約者にするにはわたくしは邪魔者だ。
それでも母が死んだばかりで娘を殺すというわけはいかない。
5歳で自殺なんかしないしね。
それで身分以外のすべてを奪い、教育も受けさせず離れに軟禁される。
そんなわたくしの唯一のよりどころは身分と魔力で、ストレス解消が動物と使用人いじめだ。
わたくしは両親から受け継いだ強い魔力で周りの人をいたぶる。
こんなストーリーだったと思う。
だがちょっと待ってほしい。
ありえないのって父と継母になった愛人とその娘じゃないか?
それでわたくしはまだ父が完璧に継母の言いなりになる前に、自分の権利を主張することにした。
まずは衣食住と貴族令嬢としての教育の確保だ。
これは祖父母である前ラ・トゥール公爵夫妻に手紙を書いた。
父と新しい義母義妹が新生活に慣れるまで離れで暮らしたいことと、本館の使用人の一部を離れに移すこと、よい家庭教師の手配などだ。
新婚生活で大変な父の手を煩わせたくないと書くと祖父母は喜んで手配してくれた。
初めから離れで生活することにしたことで、義母義妹からわたくしの財産、とりわけお母さまが嫁入りの際にもってきた宝石類などを守ることが出来た。
これは祖母が手配してくれた。
「母親から受け継いだものを娘が持つのは当然の権利です」
そういって銀行に預けて、わたくしが結婚か成人する15歳まで持ち出せないようにしてくださったのだ。
どうやら祖母は男爵令嬢だった義母の性質が悪いことをご存じだったようだ。
使用人たちも初めは移りたくないようだが、義母義妹の質の悪さに嫌気がさして率先して離れに勤務してくれるようになった。
自分で手配したから、追い出されたと彼らを苛めるなんてことはしない。
ましてや当時のわたくしは5歳。
となると身近な使用人たちと適切な関係でいることこそが、安全かつ気持ちよく過ごすコツだ。
優しく美しい令嬢でいるだけでいいから簡単だ。
ただし、舐められちゃダメだけどね。
家庭教師をつけたのは、モノやお金など物質は奪うことが出来る。
だが思い出や知識、身に付いたものを他人が奪うことは、余程の精神魔法の使い手しか出来ないからだ。
ラノベでよくあるように家から抜け出して、ギルドや街で金策したり、外に人脈を作ったりすることは容易ではない。
だから家で出来ることは必死で教養を身に着けることだけ。
必要以上の能力を見せて、父や義母義妹に利用されるのも嫌だし。
こうして第一のフラグ、わたくしへの虐待は防ぐことができた。
流儀などまだまだ分かっておりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
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リ・シャール魔法学園の卒業パーティーの席で、わたくしの婚約者であるレオナルド王太子殿下は涙ぐむピンク色の髪の女を抱きしめながらこう叫び出した。
「マリアンナ=ラ・トゥール、よくも我が愛しのアイリをマナー違反だ、なんだと苛めたな。
その非道な仕打ちは国母にふさわしくはない。
貴様との婚約を破棄する!」
わたくしはあまりのテンプレに吹き出しそうになったのをグッとこらえた。
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール。公爵家の長女で、転生者です。
今まさにラノベでよくある婚約破棄の真っ只中だ。
わたくしが記憶を取り戻したのは5歳の時、レオナルド殿下との婚約の顔合わせの時だ。
でも倒れたりはしなかったよ。
なんだか見覚えのある子だなぁ程度だった。
婚約後すぐにわたくしの大好きなお母さまが急病で亡くなった。
葬儀が終わり、気がつけば王家に嫁ぐわたくししか後継ぎがいないのはダメだということで、父の愛人が夫人に昇格することになった。
なんと父は前から愛人を囲っていたのだ。
その時にこの展開を知っていると感じた。
ここはわたくしの死亡フラグが乱立する乙女ゲームの世界だということにと気が付いたのだ。
ゲームでの父は愛人とその娘を溺愛し、昔からの使用人を追い出して3人でわたくしを虐待し始める。
そしてその後は義母の選んだ使用人たちからも虐待を受ける。
わたくしが悪役令嬢になるのはここからなのだ。
だが腐ってもわたくしはレオナルド殿下の婚約者。
義妹を婚約者にするにはわたくしは邪魔者だ。
それでも母が死んだばかりで娘を殺すというわけはいかない。
5歳で自殺なんかしないしね。
それで身分以外のすべてを奪い、教育も受けさせず離れに軟禁される。
そんなわたくしの唯一のよりどころは身分と魔力で、ストレス解消が動物と使用人いじめだ。
わたくしは両親から受け継いだ強い魔力で周りの人をいたぶる。
こんなストーリーだったと思う。
だがちょっと待ってほしい。
ありえないのって父と継母になった愛人とその娘じゃないか?
それでわたくしはまだ父が完璧に継母の言いなりになる前に、自分の権利を主張することにした。
まずは衣食住と貴族令嬢としての教育の確保だ。
これは祖父母である前ラ・トゥール公爵夫妻に手紙を書いた。
父と新しい義母義妹が新生活に慣れるまで離れで暮らしたいことと、本館の使用人の一部を離れに移すこと、よい家庭教師の手配などだ。
新婚生活で大変な父の手を煩わせたくないと書くと祖父母は喜んで手配してくれた。
初めから離れで生活することにしたことで、義母義妹からわたくしの財産、とりわけお母さまが嫁入りの際にもってきた宝石類などを守ることが出来た。
これは祖母が手配してくれた。
「母親から受け継いだものを娘が持つのは当然の権利です」
そういって銀行に預けて、わたくしが結婚か成人する15歳まで持ち出せないようにしてくださったのだ。
どうやら祖母は男爵令嬢だった義母の性質が悪いことをご存じだったようだ。
使用人たちも初めは移りたくないようだが、義母義妹の質の悪さに嫌気がさして率先して離れに勤務してくれるようになった。
自分で手配したから、追い出されたと彼らを苛めるなんてことはしない。
ましてや当時のわたくしは5歳。
となると身近な使用人たちと適切な関係でいることこそが、安全かつ気持ちよく過ごすコツだ。
優しく美しい令嬢でいるだけでいいから簡単だ。
ただし、舐められちゃダメだけどね。
家庭教師をつけたのは、モノやお金など物質は奪うことが出来る。
だが思い出や知識、身に付いたものを他人が奪うことは、余程の精神魔法の使い手しか出来ないからだ。
ラノベでよくあるように家から抜け出して、ギルドや街で金策したり、外に人脈を作ったりすることは容易ではない。
だから家で出来ることは必死で教養を身に着けることだけ。
必要以上の能力を見せて、父や義母義妹に利用されるのも嫌だし。
こうして第一のフラグ、わたくしへの虐待は防ぐことができた。
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