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第四夜
義弟は一人で性欲を処理できた
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「ただいまー」
家の中に帰宅の挨拶が虚しく空振りする。カオルは勉強に集中しているのか、それとも二度寝でもしてしまっているのか。
「カオルー?」
リビングに入るがカオルの姿はない。となるとカオルの部屋にいるのだろうか。二度寝の確率が高そうだ。
お土産を冷蔵庫の中にしまい込んで、手洗いうがいを済ませる。脱衣所にも、トイレにも、カオルの姿はなかった。
「まさかいないなんてことないよな……」
あれだけ外に出るのを嫌がっていたカオルが一人で外出するとは考えづらい。家の中にいるだろう。
「カオル、開けるぞ?」
ノックから十分に時間を取って、カオルの部屋の扉を開ける。そこにもカオルの姿はない。
残りは俺の部屋だけだ。扉に鍵はないから出入りは自由にできるが、何をしているのだろうか。
「カオル、ここか?」
「っ⁉」
カオルは居た。下半身を露出させた状態で、俺のベッドの上に座り込んでいた。
「カオル、何やって……」
「あっ、こ、これは、ち、違くて……っ」
俺のベッドには黒い染みが出来ていて、その染みの上にはとろりとした白濁液が乗っていた。
どうやら、カオルは俺のベッドの上で射精をしたらしい。
「ご、ごめっ、なさいっ……!」
カオルはいつになく慌て、そして怯えている。いつもはイタズラをしても楽しそうにはしゃいでいるのに。肩を震わせ、瞳を揺らしている。
「カオル……」
「っ……!」
近づくとカオルがびくっと後ずさった。カオルと出会ったばかりの頃は、よくこうやって怯えられていた。
「カオル、落ち着け。俺は怒ってない」
「で、でも……」
「わざとじゃないんだろ? だったらいいって。シーツなんて洗えばいいだろ」
「で、でも……でも……っ」
怒らないと優しい口調で言い聞かせてもカオルの様子は変わらない。どうやら、カオルは怒られる以外にも不安なことがあるようだ。
「何をそんなに気にしているんだ。話してみろ」
「……っ」
「カオル……?」
「ひ、ひとりで、できちゃったから……!」
絞りだすように、カオルはそう言った。一人で射精できたことを、俺に知られたくなかったのだと。
カオルは、もう俺に性欲処理をしてもらえないと思っているのだろう。カオルが一人でできるのであれば、俺がする必要性は無くなるから。
「バカだな……。この状況を見て、どうしてそうなるんだよ」
「え……?」
「確かにカオルは一人で射精できた。多分、床オナをしたんだよな。柔らかいベッドに性器を擦りつける方法なら、カオル一人でもできるもんな。でも、後片付けまでは一人じゃ難しいだろ?」
「そ、それは……」
「現にこうして俺に見つかってるし、後片付けだって必要だ。性欲の処理ってのはイケればそれでいいってわけじゃないのは、俺もわかってるから。だから、そんな不安そうな顔するなって。カオルが望むなら、これからも付き合うからさ」
「ほんと……?」
カオルの頭を撫でてやる。すると、カオルはいつものように微笑みながら甘えてきた。
「えへへっ、よかった……」
カオルは安堵の吐息交じりに、そう呟いた。
家の中に帰宅の挨拶が虚しく空振りする。カオルは勉強に集中しているのか、それとも二度寝でもしてしまっているのか。
「カオルー?」
リビングに入るがカオルの姿はない。となるとカオルの部屋にいるのだろうか。二度寝の確率が高そうだ。
お土産を冷蔵庫の中にしまい込んで、手洗いうがいを済ませる。脱衣所にも、トイレにも、カオルの姿はなかった。
「まさかいないなんてことないよな……」
あれだけ外に出るのを嫌がっていたカオルが一人で外出するとは考えづらい。家の中にいるだろう。
「カオル、開けるぞ?」
ノックから十分に時間を取って、カオルの部屋の扉を開ける。そこにもカオルの姿はない。
残りは俺の部屋だけだ。扉に鍵はないから出入りは自由にできるが、何をしているのだろうか。
「カオル、ここか?」
「っ⁉」
カオルは居た。下半身を露出させた状態で、俺のベッドの上に座り込んでいた。
「カオル、何やって……」
「あっ、こ、これは、ち、違くて……っ」
俺のベッドには黒い染みが出来ていて、その染みの上にはとろりとした白濁液が乗っていた。
どうやら、カオルは俺のベッドの上で射精をしたらしい。
「ご、ごめっ、なさいっ……!」
カオルはいつになく慌て、そして怯えている。いつもはイタズラをしても楽しそうにはしゃいでいるのに。肩を震わせ、瞳を揺らしている。
「カオル……」
「っ……!」
近づくとカオルがびくっと後ずさった。カオルと出会ったばかりの頃は、よくこうやって怯えられていた。
「カオル、落ち着け。俺は怒ってない」
「で、でも……」
「わざとじゃないんだろ? だったらいいって。シーツなんて洗えばいいだろ」
「で、でも……でも……っ」
怒らないと優しい口調で言い聞かせてもカオルの様子は変わらない。どうやら、カオルは怒られる以外にも不安なことがあるようだ。
「何をそんなに気にしているんだ。話してみろ」
「……っ」
「カオル……?」
「ひ、ひとりで、できちゃったから……!」
絞りだすように、カオルはそう言った。一人で射精できたことを、俺に知られたくなかったのだと。
カオルは、もう俺に性欲処理をしてもらえないと思っているのだろう。カオルが一人でできるのであれば、俺がする必要性は無くなるから。
「バカだな……。この状況を見て、どうしてそうなるんだよ」
「え……?」
「確かにカオルは一人で射精できた。多分、床オナをしたんだよな。柔らかいベッドに性器を擦りつける方法なら、カオル一人でもできるもんな。でも、後片付けまでは一人じゃ難しいだろ?」
「そ、それは……」
「現にこうして俺に見つかってるし、後片付けだって必要だ。性欲の処理ってのはイケればそれでいいってわけじゃないのは、俺もわかってるから。だから、そんな不安そうな顔するなって。カオルが望むなら、これからも付き合うからさ」
「ほんと……?」
カオルの頭を撫でてやる。すると、カオルはいつものように微笑みながら甘えてきた。
「えへへっ、よかった……」
カオルは安堵の吐息交じりに、そう呟いた。
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