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第二夜

義弟は舐められる

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「あむっ」
「っ!?」

 突然、カオルの肩を支えていた俺の左手にカオルが噛みついた。いや、正確には咥えたというのが正しいだろうか。唇で俺の指を挟み込んで、その小さな口に俺の指を頬張っている。

「んっ、ちゅっ……」

 そしてカオルは舌を動かし、俺の指をしゃぶり始めた。唾液を塗してくれているのだろう。俺の代わりに、という意識があるかはわからないが。

「ちゅ、ちゅる……あ、んむっ……」
「くっ……カオル……」

 カオルが爪の先から間接のしわまで丹念に舌を這わせていく。唇を窄めて指に吸い付き、たまに爪にコツコツと歯を当てて甘噛みしながら。

 指先を柔らかい粘膜が這いずる感覚が少しこそばゆい。反射的に指を引っ込めようとしたが、カオルが全身を使って魚のように食らいついてきた。

「はむっ……れろ……」

 カオルがちらちらと俺に視線を向ける。その意図はわからないが、俺がカオルを見ているかを確認しているようにも感じる。

「れろっ、ちゅっ、ぺろ……」

 指を離したカオルの口は、今度は舌を出してチロチロと指を舐め上げ始めた。時折軽く唇を触れさせるその姿は、恋人同士の愛撫を思わせる姿だ。

「カオル、もう十分だ」
「ちゅる、あむっ、れろ……」
「カオル、カオルっ」
「んっ……ぷはっ」

 ようやくカオルの唇が糸を引きながら指から離れた。そして、カオルはペロリと唇を舐めて糸を断ち切ると俺に向かってはにかんだ。

「これで、続きをしてくれる?」
「ああ、ありがとな……」
「えへへっ」

 ぽすっと、カオルが俺の胸に勢いよく寄り掛かってきた。嬉しそうに微笑む姿は無邪気で愛らしく、先ほどまでの行為が嘘のようだ。

 俺は今、安堵している。カオルが俺の指を舐めてくれたから、俺が決断をせずに済んだから。

 もしもカオルが俺の指を舐めなかったら、俺はどうしていたのだろうか。

「へへーっ」

 ご機嫌なカオルに報いてやりたいが、生憎と両手はどちらもカオルの頭を撫でられる状態ではない。それに今できる一番の奉仕は、カオルの望みを叶えることだ。

 左手を開くとねばっとした糸が指の間に橋をかける。これなら、カオルの包皮をむく痛みも緩和されるだろう。

「け、ケン君……そんなに見られると、ちょっと恥ずかしい」

 指を舐める姿を見られるのは恥ずかしくなかったのだろうか。
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