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主従

教育の中身

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「次に御橋の家で玲君に何をするのかだが、これもさっき話してしまったね。玲君には外の常識を知ってもらうと同時に、学校教育を受けてもらう。実際に学校に通ってもらうのは難しいから、御橋の家の中で同等の教育を受けさせることにはなるけどね。しかし玲君が望むのであれば、実際に大学には通うことはできるかな」
「玲が、大学に……?」
「いつになるかはわからない。すぐに授業を始めたとして、大学受験に合格できるようになるまでどれくらいかかるのか……。それでも、大学には何歳になっても入ることができるからね。玲君次第ではそういう可能性もある」

 今の俺と同じように、玲が大学へと通っている姿。
 とてもではないが、想像できそうにない。

「しかし、今はそこまで気にする必要は無いよ。大学受験なんて、それこそ玲君が完全に自立できるようになった後の話だからね。私が言いたいのは、そう酷いことはしないということさ。あまりゆっくりしていると、それだけ宗田の呪縛から解放されるまでの時間が長くなってしまうから、ある程度は合宿らしく詰め込むことにはなるけどね」

 普通の学生と同じように進めたとしたら、小学校の6年、中学校で3年、高校で3年の計12年かかる。

 しかし玲は普通の子供のように、何も知らない頭に教養を詰め込むわけではない。
 宗田の教育に汚染された脳を、新しい教育で洗浄するのだ。
 更に数年はかかってもおかしくない。

「そう暗い顔をする必要は無いよ。ゆっくりすることはできないけれど、玲君を勉強漬けにするつもりも無いからね。学校だってそうだろう。あそこは勉強だけをする場所ではない」

 それは例えば、クラスメイトとの交友だったり。
 あるいは、部活などの集団活動だったり。
 時には、校則を破る悪いことだったり。

 どれも、子供が成長するのに重要な要素なのだろう。

「特に、玲君に必要なのは自分の楽しみを見つけることだ。主に仕える以外の幸福を見つけることは、玲君が自発的に宗田から離れるのにとても重要だからね」

 今の玲にとっての最優先は俺に仕えることだ。
 俺の命令に従い、俺に尽くすことが生きがいだ。

 俺の為なら美味しいお菓子を我慢することも苦ではなく。
 外に出たいという願望を持つこともない。

 しかしもしも、それ以上の喜びを見つけることができたのなら。
 俺への奉仕よりも優先したいと思える何かを玲が見つけたのなら。

 その時、宗田の洗脳に亀裂が入るのだろう。

「それにね、教育が終わらないと人になれないわけじゃないんだ。玲君は徐々に人になっていくんだよ。少しずつ外の事を知って……徐々に一般教養を身に着けていって……こちらで用意する形にはなるが、同年代の子と交流もする。もしかしたら、そこで友達もできるかもしれないね」
「玲に、友達が……」

 玲が俺以外の人間と、親し気に話す未来。

 敬語ではなく、タメ口で。
 男性と親友と呼べるような間柄になったり。
 女性に恋をしたりするのだろうか。

「まだ間に合うんだよ。玲君にはまだ、若い体で自由を謳歌できるチャンスが残っているんだ。そのチャンスを無駄にしない為に、玲君を御橋の家へ連れていくんだ。スケジュール的に辛いこともあるかもしれないが、非道なことはしない。勉強だけでなく部活や課外授業、放課後に相当することもたくさん経験してもらうつもりさ。……どうかな? これで、一宏君の質問には答えられたと思うのだけれど」
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