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親睦偏
ツキの未来について話しました
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「うるさいですね……。別に、私の勝手じゃないですか……私がどう生きたって、アキラさんには関係無いじゃないですか……」
「関係無いわけが無いだろ。ここまで関係を持っておいて、今さら無関係なんて言えるか。都合よく全てを忘れることなんてできない……ツキだって、そうなんじゃないのか? 本当に俺の事を忘れられるのか?」
「何ですか、それ……すっごい自惚れですね……! 自分の事、何だと思ってるんですか? 愛してもくれなかった人の事を、私が女々しく想い続けるとでも?」
「でも、俺は初めての失恋なんだろ」
「っ……それは、そうですけど……!」
図星を突かれたのか、ツキは唇を噛みながら悔し気に睨みつけてきた。
それはツキの中で翠が特別な存在だという事だ。
場違いな感情だとはわかっていても、それを少しだけ嬉しく思ってしまう。
「……俺にとってもそうだ。ツキは、俺の色んな初めての相手だ。童貞こそ捧げていないが、とっくに特別な人だ」
「私は、それが一番欲しいんですけど…………」
小さくぼやくツキの言葉を無視して、言葉を続ける。
「俺には、ここで簡単にさよならなんてできないんだよ。ツキの事が心配だから……ツキには幸せになって欲しいから……その将来を案じずにはいられないんだよ……」
可愛さを追い求め、依存し、愛に飢える。
ツキの生き方はあまりに刹那的だ。
もしもツキから可愛さが失われてしまったら――
――後には何も、ツキ自身すらも残っていないんじゃないかって――
――そんな不安に駆られるくらいに。
「余計なお世話ですよ。心配しなくても貯金は充分にありますし、まだまだ働き盛りですので。……仮に……万が一、ご主人様が見つからなくても、静かに余生を送るくらいはできますから……」
「独りでか……?」
「別に、私にだって友達くらいいますから……。アキラさんといっしょにしないでください」
翠にだって友人は居るが、今重要なのはそこではない。
「その未来のツキは、愛を諦められているのか? 愛されたいという未練無しに、孤独に余生を過ごせているのか?」
「……知るわけないじゃないですか、そんなことっ……!」
未来の事は誰にもわからない。
ツキがこの先も生き方を変えずに、幸せに暮らしている可能性もある。
しかし、もしも――
――重過ぎるくらいの愛を諦めきれないままに、理想とする可愛さを失ってしまっていたとしたら――
――可愛い以外の自分を肯定できないままに、年老いてしまったら――
――その時ツキは――
「そこまで言うのなら! ……っ……アキラさんが、愛してくださいよ……! 私の事、ずっと……!」
「だから、俺にはツキを性奴隷にするなんて――」
「だったら! もう……放っておいてくださいよ……」
そう言って、ツキはふさぎ込んでしまった。
膝を抱えて、顔を埋めてしまった。
翠の思いはツキに伝えた。
言いたい事は全部言った。
それでも、ツキの心は変えられなかった。
「っ……」
言葉で変えられないのなら、口先ではなく行動で示すしかないのかもしれない。
性奴隷として扱うのは、翠の中では酷いことだから。
それだけは、どうしたって認められないけれど。
その体に直接愛をぶつける覚悟は、もうできているのだから。
「関係無いわけが無いだろ。ここまで関係を持っておいて、今さら無関係なんて言えるか。都合よく全てを忘れることなんてできない……ツキだって、そうなんじゃないのか? 本当に俺の事を忘れられるのか?」
「何ですか、それ……すっごい自惚れですね……! 自分の事、何だと思ってるんですか? 愛してもくれなかった人の事を、私が女々しく想い続けるとでも?」
「でも、俺は初めての失恋なんだろ」
「っ……それは、そうですけど……!」
図星を突かれたのか、ツキは唇を噛みながら悔し気に睨みつけてきた。
それはツキの中で翠が特別な存在だという事だ。
場違いな感情だとはわかっていても、それを少しだけ嬉しく思ってしまう。
「……俺にとってもそうだ。ツキは、俺の色んな初めての相手だ。童貞こそ捧げていないが、とっくに特別な人だ」
「私は、それが一番欲しいんですけど…………」
小さくぼやくツキの言葉を無視して、言葉を続ける。
「俺には、ここで簡単にさよならなんてできないんだよ。ツキの事が心配だから……ツキには幸せになって欲しいから……その将来を案じずにはいられないんだよ……」
可愛さを追い求め、依存し、愛に飢える。
ツキの生き方はあまりに刹那的だ。
もしもツキから可愛さが失われてしまったら――
――後には何も、ツキ自身すらも残っていないんじゃないかって――
――そんな不安に駆られるくらいに。
「余計なお世話ですよ。心配しなくても貯金は充分にありますし、まだまだ働き盛りですので。……仮に……万が一、ご主人様が見つからなくても、静かに余生を送るくらいはできますから……」
「独りでか……?」
「別に、私にだって友達くらいいますから……。アキラさんといっしょにしないでください」
翠にだって友人は居るが、今重要なのはそこではない。
「その未来のツキは、愛を諦められているのか? 愛されたいという未練無しに、孤独に余生を過ごせているのか?」
「……知るわけないじゃないですか、そんなことっ……!」
未来の事は誰にもわからない。
ツキがこの先も生き方を変えずに、幸せに暮らしている可能性もある。
しかし、もしも――
――重過ぎるくらいの愛を諦めきれないままに、理想とする可愛さを失ってしまっていたとしたら――
――可愛い以外の自分を肯定できないままに、年老いてしまったら――
――その時ツキは――
「そこまで言うのなら! ……っ……アキラさんが、愛してくださいよ……! 私の事、ずっと……!」
「だから、俺にはツキを性奴隷にするなんて――」
「だったら! もう……放っておいてくださいよ……」
そう言って、ツキはふさぎ込んでしまった。
膝を抱えて、顔を埋めてしまった。
翠の思いはツキに伝えた。
言いたい事は全部言った。
それでも、ツキの心は変えられなかった。
「っ……」
言葉で変えられないのなら、口先ではなく行動で示すしかないのかもしれない。
性奴隷として扱うのは、翠の中では酷いことだから。
それだけは、どうしたって認められないけれど。
その体に直接愛をぶつける覚悟は、もうできているのだから。
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