上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

親睦偏

脱がされました

「……終わらせるって？」
「言葉通りの意味ですよ……わからないなんてこと、ないですよね？」

　ツキがそう言うのなら、本当に言葉通りの意味なのだろう。
　ツキは翠の童貞をさっさと奪って、次のターゲットに移りたがっているらしい。

　どうやら、よほど嫌われてしまったようだ。

「それは……困るな……」
「……どうしてですか？」
「いや……だって……できることなら、ツキとは絶縁したくはないし……」
「……ふーん。それなら、今からでもツキちゃんのことを可愛がって、愛してくれるなら、許してあげなくもないですよ？　童貞さんじゃなくなった後でもアキラさんなら特別に、懇願して求めてくれたら優先して会ってあげなくもないですから……」
「いや、ツキを抱くのも嫌なんだけど……」
「っ、なんなんですか、もう～～っ！」

　ツキの握りこぶしが胸を叩く。
　あくまでも男性であるが故に、割と痛い。

「ほんと嫌い！　アキラさんのそういうところマジで嫌いですから！」
「えっ……ごめん……」

　ツキの迫力に気圧されている自覚はあった。

　気持ちをちゃんと伝えようと覚悟はして。
　そのためにツキを傷つける話題を蒸し返して。

　それでも、まさかここまで取り乱されるとは思っていなかった。

「ただ可愛いって言ってくれればいいじゃないですか！　キスされるのが平気なら、キスしてくれたっていいじゃないですか！　私のこと、好きなんですよね！？」
「嫌いではないけど……」
「それなら好きって言ってくださいよ！」
「だから、それでツキは本当に満足なのかって――っ！」

　言いかけた言葉はツキの唇で塞がれてしまった。
　喉まで出かけた言葉を拭い去ろうとでもするように、ツキの舌が奥まで入り込んでくる。

「んっ……ちゅっ……れろっ、はむっ……」

　激しく、情熱的な、童貞には刺激が強すぎる絡み合い。

　恥も無く。
　照れも無く。
　躊躇も無く。

　ツキは舌を絡めてきて――

「――っ、私のこと……好きですか……？」

　互いの唇に糸を引きながら――

　――今にも泣きそうなくらいに潤んだ瞳で、ツキは訊ねてきた。

「……わからない」

　ツキに好意を持っていることは間違いない。
　これからも付き合いを続けていきたいと、面と向かって本人に言えるくらいなのだから。
　短い付き合いだけれども、もうツキは翠の中で最重要人物にカテゴライズされている。

　しかし、この感情はきっとツキの求める好きではない。
　もしかしたら、ツキと出会ったあの日に抱いていた思いであれば、ツキの望むものであったのかもしれないけれど。

　今となっては、ツキに単純な恋心と性欲なんて抱けそうにない。

「～～っ、だったらっ、もう大人しくして黙っててください！　全部私が終わらせちゃいますから！」
「あっ、ちょっ……！」

　まだ風呂にも入っていないのに。
　ツキの手がズボンへと伸びて、あっという間に下半身を露出させられてしまった。