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追及偏
告白しました
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「それじゃあアキラさん……乾杯です♪」
「乾杯……」
ツキの言葉の真意も聞けないままに、軽くツキとグラスを打ち付ける。
グラスの中ではカルーアミルクが波を打って、そういえばツキの髪と少し色が似ているなと思った。
「んっ……んっ……ぷはっ……♡」
自分のグラスに口を付けながら、ツキの様子を観察する。
ツキは酒を飲んでいる。
両手でグラスを持って、唇をグラスにつけて、カルーアミルクを飲んでいる。
本当に未成年ではないようだ。
「アキラさん、美味しいですか?」
「ええ、昨日と変わらず美味しいですよ」
「えへへっ、良かったです……。やっぱりカルーアミルクって美味しいですよね♡」
「……?」
ツキの言葉に違和感を覚えた。
昨日はカルーアミルクが好きなのかと訊いたら違うと答えていたはずなのだけれど。
今の発言では、カルーアミルクが好きだと言っているように聞こえてしまう。
「ツキさん、カルーアミルク好きなんですか?」
「はい♡ とっても甘くて、美味しいですよね」
「でも確か昨日は、カルーアミルクは作るのは好きだけど、飲むのはそうじゃないと言っていたような……?」
「えっ……? あっ!」
「”やっぱり美味しい”ってことは、ツキさんはカルーアミルクを好んで飲んでいるんですか?」
カルーアミルクはレディキラーカクテルとも呼ばれる酔いやすい酒だったはずだ。
それを好んでいるとなると、ツキは酒には強いのだろうか。
「いやっ……えっと……違うんです! カルーアミルクが甘いってことは聞いて知っていたので、思っていた通り甘くて美味しいなって意味なんです!」
「ああ、そっちの意味のやっぱりですか」
「はい、そうなんです! えへへっ……日本語って難しいですね……」
「いえ、こちらこそ勘違いしてしまったようで……」
「そっ、それよりアキラさん。おつまみもありますから、食べてください。ほら、あーん♡」
「えっ……えっ?」
ツキはチョコを一つ掴むと、こちらの唇に向けて指を伸ばしてきた。
昨日失敗したばかりだというのに、あまりにも積極的すぎないだろうか。
「つっ、ツキさん? えっと、ここだと店長さんからも見えていますし……」
「大丈夫ですよ、アキラさん。あーんはマニュアルにもありますから。……それとも、昨日みたいにこっちがいいですか?」
「っ!?」
ツキはつまんでいたチョコを唇で咥えると、そのまま顔を近づけてきた。
昨日いったい何があったというのだろうか。
ただ一夜を共にしただけでは、口移しなんて経験しないのではないか。
「いっ、いやいや、ツキさん!? さすがに店長の目もありますから!」
「んー……♡」
ツキはこちらの言葉を聞く様子がない。
どんどんと顔を、唇を近づけてくる。
このまま拒まなければきっと触れてしまう。
昨日、ツキと何があったのかはわからない。
ツキの積極性は昨日のホテルでの出来事に起因しているはずだけれど、それがなんなのかはわからない。
ツキとの間には致命的な溝が合って、
このままではツキからの好意についていけそうにない。
だから、まずはその溝を埋める必要があって――
「っ……すっ、すみません! 私、昨日のこと何も憶えてないんです!!」
「……」
触れる寸前まで近づいていたツキの唇は、
言葉を聞いた瞬間にぴたりと止まった。
「乾杯……」
ツキの言葉の真意も聞けないままに、軽くツキとグラスを打ち付ける。
グラスの中ではカルーアミルクが波を打って、そういえばツキの髪と少し色が似ているなと思った。
「んっ……んっ……ぷはっ……♡」
自分のグラスに口を付けながら、ツキの様子を観察する。
ツキは酒を飲んでいる。
両手でグラスを持って、唇をグラスにつけて、カルーアミルクを飲んでいる。
本当に未成年ではないようだ。
「アキラさん、美味しいですか?」
「ええ、昨日と変わらず美味しいですよ」
「えへへっ、良かったです……。やっぱりカルーアミルクって美味しいですよね♡」
「……?」
ツキの言葉に違和感を覚えた。
昨日はカルーアミルクが好きなのかと訊いたら違うと答えていたはずなのだけれど。
今の発言では、カルーアミルクが好きだと言っているように聞こえてしまう。
「ツキさん、カルーアミルク好きなんですか?」
「はい♡ とっても甘くて、美味しいですよね」
「でも確か昨日は、カルーアミルクは作るのは好きだけど、飲むのはそうじゃないと言っていたような……?」
「えっ……? あっ!」
「”やっぱり美味しい”ってことは、ツキさんはカルーアミルクを好んで飲んでいるんですか?」
カルーアミルクはレディキラーカクテルとも呼ばれる酔いやすい酒だったはずだ。
それを好んでいるとなると、ツキは酒には強いのだろうか。
「いやっ……えっと……違うんです! カルーアミルクが甘いってことは聞いて知っていたので、思っていた通り甘くて美味しいなって意味なんです!」
「ああ、そっちの意味のやっぱりですか」
「はい、そうなんです! えへへっ……日本語って難しいですね……」
「いえ、こちらこそ勘違いしてしまったようで……」
「そっ、それよりアキラさん。おつまみもありますから、食べてください。ほら、あーん♡」
「えっ……えっ?」
ツキはチョコを一つ掴むと、こちらの唇に向けて指を伸ばしてきた。
昨日失敗したばかりだというのに、あまりにも積極的すぎないだろうか。
「つっ、ツキさん? えっと、ここだと店長さんからも見えていますし……」
「大丈夫ですよ、アキラさん。あーんはマニュアルにもありますから。……それとも、昨日みたいにこっちがいいですか?」
「っ!?」
ツキはつまんでいたチョコを唇で咥えると、そのまま顔を近づけてきた。
昨日いったい何があったというのだろうか。
ただ一夜を共にしただけでは、口移しなんて経験しないのではないか。
「いっ、いやいや、ツキさん!? さすがに店長の目もありますから!」
「んー……♡」
ツキはこちらの言葉を聞く様子がない。
どんどんと顔を、唇を近づけてくる。
このまま拒まなければきっと触れてしまう。
昨日、ツキと何があったのかはわからない。
ツキの積極性は昨日のホテルでの出来事に起因しているはずだけれど、それがなんなのかはわからない。
ツキとの間には致命的な溝が合って、
このままではツキからの好意についていけそうにない。
だから、まずはその溝を埋める必要があって――
「っ……すっ、すみません! 私、昨日のこと何も憶えてないんです!!」
「……」
触れる寸前まで近づいていたツキの唇は、
言葉を聞いた瞬間にぴたりと止まった。
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