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第17話 部隊隊長2
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「その時に現れたのがあなただったのよ」
「あの時、僕が見回りに狂獣の森に行ってたら、何故か人間が倒れていて、それがルーカスだったわけ」
「えっ!? じゃあ倒れた俺を運んで行ったのって……」
「そう、僕さ!」
「じ、じゃあ初めてアンラを見た時に俺の横にいたのって……」
「僕とフィルだよ」
「ま、まじか……」
「わたしもいたわよ!」
「お前は見えないところにいただろ……」
「う、うるさいわね!」
「まぁまぁ……」
また始まると思っていたら、バカラが2人の間に入って止めに入ってくれた。
「あの時の魔王様の顔は今でも忘れられねぇよ……。初めて見た。あんな惚れた男を見るような、うっとりとした顔をしていたのは」
「本当だよ」
「わたし見たかったわよ……」
ディージャジャは肩をガックリと落としてめそめそ泣いていた。
そこまで見たかったのか……。
「で、俺がアンラの部屋に連れられた時に羨ましそうな顔してたのはどうして、だ?」
俺はばっとフィルの方を見た。
あの時は明らかに、俺も入りたいオーラが凄かった。
「い、良いじゃねえかよ別に……」
「抜け駆けしようとしたのかしら?」
「違うわ!」
ディージャジャの目がぎらりと光る。
思わずビクリとするフィルは、変な汗をかきながら反論した。
ははーん……こいつはさてはアンラのこと狙ってたな?
俺の口元がニヤつく。
「な、なんか気持ち悪い笑い方してるわよ……」
「そっかーそうだったのかー」
「なんで盆読みなんだ!?」
「悪かったな、俺が先に取っちゃって……」
「あああああああ!!!!!」
フィルはあまりの恥ずかしさのせいか、どこかに走って行ってしまった。
「本当に悪いな……うるさくて」
バカラは静かに謝罪した。
「 大丈夫だ。俺が少しからかいすぎてしまったよ……」
あとで謝っておこう。さすがにやりすぎた。
「さて、そろそろ時間みたいだし、魔王様起こしていったら?」
ディージャジャは立ち上がって背伸びをしながら言った。
「そうだな、これからフィーヒム山脈を越えるのか……。もう少しの辛抱だ。これからもお互い頑張ろうな!」
「えぇ! 頑張りましょう!」
ディージャジャと別れると、アンラが寝ているテントへと向かった。
「―――」
テントの中に入ると、起きたばかりなのか座ったまま、ぼーっとしているアンラがいた。
「そろそろ出発の時間だぞアンラ」
「ん……」
アンラは両手を広げてきた。
「な、なんだ?」
「起きてのチューちょーだい……」
少し寝ぼけたような声で俺には要求してくる。
は、反則だろそれ……。
可愛すぎて俺気を失いそうになったぞ……。
「分かったよ」
俺はアンラを抱きしめてあげると、そっと唇を重ねた。
するとアンラは俺の口の中に舌を入れてきた。
最初は驚いたが、婚約者だしこれも全然ありなのかなと思った。
「―――ん」
唾液が絡まる音、アンラから色っぽい声が俺の耳元に聞こえてくる。
嬉しいんだけど……いまは絶対だめだ。
暴走したい気持ちを抑えて、2人だけの僅かな時間を楽しんだ。
「あの時、僕が見回りに狂獣の森に行ってたら、何故か人間が倒れていて、それがルーカスだったわけ」
「えっ!? じゃあ倒れた俺を運んで行ったのって……」
「そう、僕さ!」
「じ、じゃあ初めてアンラを見た時に俺の横にいたのって……」
「僕とフィルだよ」
「ま、まじか……」
「わたしもいたわよ!」
「お前は見えないところにいただろ……」
「う、うるさいわね!」
「まぁまぁ……」
また始まると思っていたら、バカラが2人の間に入って止めに入ってくれた。
「あの時の魔王様の顔は今でも忘れられねぇよ……。初めて見た。あんな惚れた男を見るような、うっとりとした顔をしていたのは」
「本当だよ」
「わたし見たかったわよ……」
ディージャジャは肩をガックリと落としてめそめそ泣いていた。
そこまで見たかったのか……。
「で、俺がアンラの部屋に連れられた時に羨ましそうな顔してたのはどうして、だ?」
俺はばっとフィルの方を見た。
あの時は明らかに、俺も入りたいオーラが凄かった。
「い、良いじゃねえかよ別に……」
「抜け駆けしようとしたのかしら?」
「違うわ!」
ディージャジャの目がぎらりと光る。
思わずビクリとするフィルは、変な汗をかきながら反論した。
ははーん……こいつはさてはアンラのこと狙ってたな?
俺の口元がニヤつく。
「な、なんか気持ち悪い笑い方してるわよ……」
「そっかーそうだったのかー」
「なんで盆読みなんだ!?」
「悪かったな、俺が先に取っちゃって……」
「あああああああ!!!!!」
フィルはあまりの恥ずかしさのせいか、どこかに走って行ってしまった。
「本当に悪いな……うるさくて」
バカラは静かに謝罪した。
「 大丈夫だ。俺が少しからかいすぎてしまったよ……」
あとで謝っておこう。さすがにやりすぎた。
「さて、そろそろ時間みたいだし、魔王様起こしていったら?」
ディージャジャは立ち上がって背伸びをしながら言った。
「そうだな、これからフィーヒム山脈を越えるのか……。もう少しの辛抱だ。これからもお互い頑張ろうな!」
「えぇ! 頑張りましょう!」
ディージャジャと別れると、アンラが寝ているテントへと向かった。
「―――」
テントの中に入ると、起きたばかりなのか座ったまま、ぼーっとしているアンラがいた。
「そろそろ出発の時間だぞアンラ」
「ん……」
アンラは両手を広げてきた。
「な、なんだ?」
「起きてのチューちょーだい……」
少し寝ぼけたような声で俺には要求してくる。
は、反則だろそれ……。
可愛すぎて俺気を失いそうになったぞ……。
「分かったよ」
俺はアンラを抱きしめてあげると、そっと唇を重ねた。
するとアンラは俺の口の中に舌を入れてきた。
最初は驚いたが、婚約者だしこれも全然ありなのかなと思った。
「―――ん」
唾液が絡まる音、アンラから色っぽい声が俺の耳元に聞こえてくる。
嬉しいんだけど……いまは絶対だめだ。
暴走したい気持ちを抑えて、2人だけの僅かな時間を楽しんだ。
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