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マイヤー卿
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「『月曜市の街』に町長の次男として生まれたマイヤー卿は、剣術学校を優秀な成績で卒業され、クラウディウス侯爵家に騎兵として仕え、盗賊団から侯爵夫妻を守りました。後日、クラウディウス侯爵率いる討伐隊は盗賊団を制圧し、若きマイヤー卿は一番多くの盗賊を逮捕するという武勲を立てられました。その功績を称えられ、侯爵から騎士として叙任され準貴族となったお方です」
本物の騎士だ! かっこいい……。
「かつてクラウディウス侯爵が平民女性との間に設けた令嬢を妻として与えられたマイヤー卿は、侯爵の敷地内にある屋敷に移り住み二人のご子息に恵まれました。ご子息のお二人は我が国の騎兵隊に入隊して腕を磨き、それぞれ騎士として叙任されました」
お嬢さまと結婚してお屋敷に住んで息子たちは騎士に……。すごいなぁ。マイヤー卿本人の口からその後が語られる。
「息子たちが巣立ち、同居していた妻の母親も亡くなり、若いころの体力を失った私は、騎兵隊長を引退しました。『夫婦二人では広すぎるこの屋敷を引き払い、どこか住み込みで働ける貴族のお屋敷はないものでしょうか』と侯爵に相談すると、私たち夫婦を少年男爵家の執事と教育係として、国王さまに推薦してくれたのです」
「ですが、せっかくのお屋敷がもったいないのでは?」
レオンは素朴な疑問を口にした。
「家督を継いだ侯爵の長男の子息が結婚するので、新居として私たちの屋敷に移り住みたいと打診があり、立ち退き料としてまとまったお金を用意してもらえるということで話がまとまっているのです。ちょうど双方にとってのタイミングが合いましてね。後は私たちの住み込み先さえ決まれば、すぐに引っ越せます」
「そうですか。でも、うちは侯爵家とは違って小貴族の男爵家ですから、十分なお手当をお支払いすることなんてできません」
レオンはこの話を辞退するつもりで正直に打ち明けた。
「そうです。大きな屋敷には引っ越したものの、貴族になったのは息子のレオンだけで、私たち家族は準貴族ですから、以前とほとんど変わらない慎ましい暮らしをしています」
後見人の父も辞退するつもりで正直に打ち明けた。
本物の騎士だ! かっこいい……。
「かつてクラウディウス侯爵が平民女性との間に設けた令嬢を妻として与えられたマイヤー卿は、侯爵の敷地内にある屋敷に移り住み二人のご子息に恵まれました。ご子息のお二人は我が国の騎兵隊に入隊して腕を磨き、それぞれ騎士として叙任されました」
お嬢さまと結婚してお屋敷に住んで息子たちは騎士に……。すごいなぁ。マイヤー卿本人の口からその後が語られる。
「息子たちが巣立ち、同居していた妻の母親も亡くなり、若いころの体力を失った私は、騎兵隊長を引退しました。『夫婦二人では広すぎるこの屋敷を引き払い、どこか住み込みで働ける貴族のお屋敷はないものでしょうか』と侯爵に相談すると、私たち夫婦を少年男爵家の執事と教育係として、国王さまに推薦してくれたのです」
「ですが、せっかくのお屋敷がもったいないのでは?」
レオンは素朴な疑問を口にした。
「家督を継いだ侯爵の長男の子息が結婚するので、新居として私たちの屋敷に移り住みたいと打診があり、立ち退き料としてまとまったお金を用意してもらえるということで話がまとまっているのです。ちょうど双方にとってのタイミングが合いましてね。後は私たちの住み込み先さえ決まれば、すぐに引っ越せます」
「そうですか。でも、うちは侯爵家とは違って小貴族の男爵家ですから、十分なお手当をお支払いすることなんてできません」
レオンはこの話を辞退するつもりで正直に打ち明けた。
「そうです。大きな屋敷には引っ越したものの、貴族になったのは息子のレオンだけで、私たち家族は準貴族ですから、以前とほとんど変わらない慎ましい暮らしをしています」
後見人の父も辞退するつもりで正直に打ち明けた。
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