3 / 11
第1章 前書き…?
第3話 なんだこいつ
しおりを挟む(何とかって…まず何で倒れてるの。)
めんどくさいと思いつつ、倒れている人のところに足を進める。が、一定の距離を保って倒れているはずの人は移動していく。しばらく歩いて気づいた。
(結界で近づけない…!賢者)
〈はい〉
(これじゃ何もできない。結界なんとかして)
〈なんとかしてと言われましても…。私じゃどうにもできないですよ?〉
賢者に頼んでも万事解決とはいかない。これで一つ賢くなったのだった。
(じゃあ諦めよう)
くるりと踵を返した。すると賢者が慌てて引き止めた。
〈待ってください!倒れてる人放置ですか。〉
(どうしようもできない)
〈できますよ!私の話聞いてください!〉
若干キレて賢者が言う。若干キレて言い返す。これを何回か繰り返してやっと賢者が話し始める。
〈簡単なことです。あの人の侵入を許可すればいいんですよ。〉
(侵入を、許可?)
〈はい!この結界は色々おかしいですが、流石にそこは大丈夫だと思います〉
「…侵入、許可?」
〈あっ…〉
(え、なに)
賢者が声を上げる。…とほぼ同時に後ろからガサガサという音が聞こえ始めた。振り向くとキングスライムがゆっくりと接近していた。
(なんでこっち来てるの)
〈侵入を許可しちゃったからですね…〉
(賢者がしろって言った)
〈それはあの倒れてる人の侵入をってことですよ!〉
(先に言えばいいのに)
賢者との喧嘩大会が始まりそうになったところで、かなり危ない状況なのを思い出した。キングスライムとの距離はおよそ2m。後ずさりして木の後ろに回り込んだりして距離を離そうとするが、木々を溶かして一直線に向かってくる。だいたい距離は3mくらいになった。そして……倒れている人がいたことを思い出した。見渡してみると、キングスライムと1mも離れていないところにいる。
「…なんか、動くのめんどくさいな、」
助けに行こうとはしない。残酷である。さよなら、と心の中で呟いた。その時、その人が立ち上がり、キングスライムの前にある木を蹴って高く跳躍した。そして、キングスライムの額に剣を突き刺した。パキッと何かが砕けるような音がして、キングスライムは光の粒となって消えた。
(おお…倒した…?)
その人は、何かを拾い上げると振り返って、
「酷くない?!」
叫んだ。がっつりとこちらを向いて叫んだ。思わず俯いて、木の陰に隠れた。その人は、ダッシュしてきて、目の前で止まると、
「あの、危うく死ぬところだったのですが。」
にっこり怒りの笑顔を浮かべて、ゆっくり言った。
「助けようとした。」
俯いたまま答える。
「してなかったでしょう?!というか、まず、顔を上げたらどうなんですか。人と話すときは目を見て!常識でしょう。」
いきなり常識を説かれて、混乱しつつ顔を上げる。そしてこの時初めて目があった。その人は、目が合った瞬間、固まった。銅像並みにカチカチに固まった。賢者が〈イケメン…ですね〉と呟く。賢者のつぶやきを聞き、イケメンな顔をまじまじみて…
「チッ」
舌打ちをした。その人は、気づいているのか、全く気づかなかったのか、突然顔を真っ赤にして叫んだ。
「お、おおお俺の名前は、アレクシス・ベイクウェル!美しい方、俺と、ここ婚約してください!」
(…なんだこいつ)
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【書籍化決定】神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。
※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる