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勇者の苦悩

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「ミコ2人っきりだしなにかして遊ぶ?」


直人お兄ちゃんがそう聞いてきた。


「うーん…でも今何も持ってないし…。」


トランプも何も無い状況で二人で遊ぶって言ってもなぁ…。



「じゃあお話でもしよっかぁ。」



「うん!…と言っても私は騎士寮での話しかできないけれどね。」


「ミコって騎士寮に入るまでどんなことしてたのぉ?」


「全く分からないんだよね。
気づいたら森にいて、ハルと会って、ハルを追いかけたらリオお兄ちゃん達にあったって感じだから。」


嘘は言ってない、嘘は。
あの時は本当に訳が分からなかったから。


「あぁ、ミコは記憶喪失なんだっけ。」



「うん、森に来た記憶がまるっきりないの。」


…原因は何となくわかるけどね。
勇者としてこの世界に転移した時の場所だと思うから。


…そう思うと直人お兄ちゃんも1回死んでるんだよね。
じっと直人お兄ちゃんのことを見つめる。
流石に死因は何だったのとは…聞けないな。


「?どうしたの?」


「ううん、なんでもない。」


何か違うことを話そうっと。


「ミコは騎士寮で何してるのぉ?」


直人お兄ちゃんから質問された。



「料理と掃除と洗濯だよっ!」



「…ミコの作る料理かぁ…食べてみたいかも。」


そう言われ気づく。

…もしかして王城で日本食を食べれてないのでは。
直人お兄ちゃんがこの城に来て大体…2ヶ月とか?なのかな?

それまでずっとお米とかを食べれてないのか…きつくない?

「ならどこかで直人お兄ちゃんも騎士寮に来てみる?」


「…うん、封印に行く前に1回お邪魔したいかも。」


よし、その時は飛びっきり美味しい和食を作ろう。
白米は絶対炊こう。
大変だけど同じ日本人として米が食べられない気持ちがわかるから。



密かにそう決意していると部屋の扉が開いた。
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