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出会い編

後悔?

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とまあなんでそんな過去の話まで遡ったかというと、目の前にいる英雄様こそがその男の子だからである。ということを今語ってくれた。なんかやけに私が美化されていた気がしたが。


(いや、幼い私何しでかしてくれてるんだろう?)

助けたことに後悔はしていない。
していないけれど昔助けた男の子が英雄で私に会いにきましたとかそんな偶然あるのだろうか。

(やっぱおかしいよねこの状況ぅ!)

そんなことを私が一人心の中で思いながらガクガク震えていると、王太子様が話しかけてきた。


「どうかなアリス。クロードはこれまでどんな美女に求婚されようがいつもバッサリ断っていて、理由を聞いたらずっとアリスっていう好きな人がいるからっていうんだよ。
子供の頃のしかも一度あったっきりの女の子への初恋もここまでくるとちょっと気持ちわ…一途ないい男だよクロードは。」


爽やかな笑顔で爆弾を投下してきたなこの人。
というか最後絶対ちょっと気持ち悪いって言おうとしてたよ!性格悪いよこの人!

(というかこれ返答しなくちゃいけないやつですか!)

「た、た、たた助けてリーシェさんんんんん!」

迷った挙句私はリーシェさんを盾にすることを選んだ。人壁である。
後この人は恋のお話が大好物なようで、過去の話から顔がニヤけてたのでその腹いせに少し目立ってもらおう。

リーシェさんは「私ぃ?!」というような驚いた顔をした後、一度大きく深呼吸をしてからこう告げた。


「…とりあえず今日はお開きに致しませんか?
王太子様達も数日はこちらに滞在するでしょうし魔女様は極度の人見知りなので、この場で求婚うんぬんの答えを返すのは無理です。
それにお互いを知る時間も必要でしょうしね。」

完璧な受付嬢の営業スマイルである。


「それなら今日は一旦解散にしようか。
あとアリスにリーシェ。いちいち王太子様、英雄様って呼ぶのも大変だろうし普通にカインとクロードって呼んでよ」

呼んだら彼らのことが好きな多くの女性の方に殺されそうである。

「…流石に恐れ多いので滞在されてる期間の間カイン様、クロード様とお呼びしてよろしいでしょうか。」

「ああ、構わないよ。クロードもそれでいいよね。」


(そういえばこれクロード様の意思ガン無視で決められたなぁ。私の意思もだけれど。)

そう思いながらクロード様の方を見ると、

「殿下のご命令とあらば。」

と言いながらキラッキラした瞳でカイン様のことを見ていた。心なしか尻尾が見えなくもない。


そして、今日の一件で持つべきものはコミュ力最強の受付嬢(職業柄)リーシェ様だなと私がリーシェさんのことを崇めたのだが、帰りに「また明日会いましょう魔女様!」
と言われたことによってしばらく毎日ギルドに来るようにと嵌められたことに気づいて悲鳴を上げたのは別の話。

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