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最終回 大団円
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都庁で撮影した母娘連弾動画は何と五百万の再生数を越した。これから、まだまだ増えていく。
真奈は自分のチャンネルは立ち上げなかったけれど、私と幸司さんの動画にたびたびゲスト出演し、私と連弾、幸司さんのバイオリンとセッションの動画を撮影して投稿。真奈は歌うまJKピアニストとして有名になっていった。
そんなある日、真奈と一緒に日本国内のストリートピアノ設置場所をネットで検索し、旅行がてら弾きに行こうという話をしていた。
「ママ、私は姫路がいいな」
「いいわね、西日本にはあまり遠征に行っていないし明石焼きも食べてみたいわ」
リビングで盛り上がっていると幸司さんが帰宅、真奈と出迎えに行くと幸司さんは『ただいま』のあと
「彩希、虹色ローレライからオファーなんだけど」
いきなり仕事の話を振られた。虹色ローレライは大人気アイドル五人組で、私と幸司さんは彼女たちの楽曲を複数制作させてもらっている。でも
「ああ~。いま私は厳しいかな。スマホRPGの音楽を依頼されているの知っているでしょ。RPGの音楽は初めての挑戦だし当分作曲はそっちに集中したくて」
「ああ、すまない。オファーを受けたのは真奈なんだよ」
「「えっ?」」
虹色ローレライは大人気アイドルグループなんだけど、他のアイドルグループと異なる大きな特徴がある。それは他のアイドルグループと同様に五人並んで歌う時もあるけれど、時にガールズバンドのように楽器も弾く。
それがまあ人気のロックバンド顔負けの演奏、歌は全員並外れて上手い。容貌が可愛いだけじゃない。メンバーすべてが血の滲むような努力をしているグループだ。
リビングに行き、幸司さんにお茶を出し、それを一口飲むと切り出した。
「実を言うと、虹色ローレライをプロデュースしている那由多プロの社長さんが真奈をスカウトしたいと言ってきた」
「「ええっ!?」」
「いや、僕もびっくりしたよ。今日の僕の現場に来て『君の娘さんを、うちの虹色ローレライに加入させたい』と、いきなりだったから」
「なんて返事したの?」
「娘と家内と話し合って答えます、と。僕の独断で決めていいことじゃないしな」
「そういえば虹色ローレライ…。キーボード担当のレオナちゃんが脱退するのよね?」
「ああ、頭のいい子でな。医者を志していたので元々長くアイドルやる気は無かったらしい。卒業公演は二月後、それまでレオナちゃんの後釜を探していたというわけだが、社長とプロデューサー、そしてメンバーまでが真奈の動画を見て『この子だ!』と満場一致だったとか」
突然の話に、ずっと無言の真奈だったけれど
「やる」
「「早いよ!」」
「ううん、こういうチャンスに戸惑って時間を要するようじゃダメだと思うんだ。それに選んでくれたのが社長さんだけじゃなくて、メンバーも私を『この子だ』と言ってくれたんでしょ。断るなんてありえないよ」
「真奈、少なからず私とパパは虹色ローレライと仕事をしているけれど、華やかだけじゃない。あの子たちはステージに立つまで血の滲むような努力をしている。ついていける?」
「ママ」
「ん?」
「なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬは人のなさぬなりけり」
米沢の誇りにて最たる偉人、上杉鷹山公の言葉だった。
「私たち米沢に生まれた者、すべてが幼少のころから叩き込まれていることじゃない」
ニコリと笑った真奈。それを言われちゃあ米沢の女として賛成するしかない。
「パパ、その話、お受けすること伝えて」
「分かった」
幸司さんはスマホを握り、先方に電話をかけた。
まさか、真奈がアイドルになる日が来るなんてね…。
しかし、それからが大変だった。先に言った通り虹色ローレライはガールズバンドのみならず、五人で並んで歌う時もある。その時に必要になるのがダンス。歌とキーボードなら、真奈は今すぐでもメンバーと合流できるだろうけどダンスはド素人だ。
事務所のダンスレッスンだけじゃ足らないと言う真奈のため、私たちはツテをフル活用して一流のダンストレーナーを探し、真奈にダンスを仕込んでもらった。
幸司さん曰く『僕なら逃げだしている』と言うほど過酷と言えたダンスレッスンの日々。
いや、私もたぶん逃げだすよ。真奈は高校二年の夏休み、一日も休まずにダンスレッスンに打ち込んだ。
水泳が良いと聞けばスイミングに通わせてコーチも付けた。
真奈は本当に熱心だった。真剣にアイドルやろうとしていることが伝わってくる。母親の私がしてあげられることは、お腹ペコペコで帰ってくる真奈に美味しい料理を食べてもらうことだけ。
そして真奈のダンスが事務所と虹色ローレライのメンバーに認められ、正式に加入が決まった。
私と幸司さんは万歳して大喜びだった。なせばなる!だね、真奈。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく時が経ち、国内最大級のアリーナ、東京グランドアリーナで虹色ローレライの大型ライブが開催された。虹色ローレライに真奈加入後、最初に行われるこのライブ。
真奈の芸名は上杉真亜奈、上杉鷹山の地米沢出身ということで姓は上杉、本名に少し変化を加えた真亜奈、ふふっ、いい名前よね。
ライブ前に一つの出来事がありました。それはコンサートにファンから贈られるフラワースタンドだった。
『上杉真亜奈様、デビューおめでとう!-山本秀晴-』
こう記されたボードがあった。真奈はそれを見るなり『今さら何だよ、あのクソガキ!』と、そのフラワースタンドを壊そうとした。それは真奈の弟から贈られたものだったから。幸司さんが『大事な指を』と止め、手段を変えて蹴ろうとしたところを私が止めて、一通の封筒を渡した。弟さんから真奈に宛てたものだった。怒りを何とか静めて、それを読みだした真奈。
『お姉ちゃん、久しぶり。お姉ちゃんが虹色ローレライに加入という大ニュースは米沢中で知らないものはいないよ。米沢の誇りだ!って。僕もそう思うよ。
でも、お父さんとお母さんは違うみたいだよ。悔しいのだろうね。自分たちが虐待した子供がトップアイドルのグループに加入するんだもの。お母さんなんて、むざむざ金の生る木を手放してしまったなんて言って、本当に終わっているよ。
お姉ちゃん、お父さんとお母さんの意地悪から助けられなくてごめんなさい。
入院している時にお見舞いに行けなくてごめんなさい。
お姉ちゃんは僕を嫌っていたけれど、僕は大好きだよ。だから今まで貯めていたお年玉を全部使って、お姉ちゃんのデビューを心からお祝いしたかったんだ。どうか受け取って下さい。
僕も高校を卒業したら、こんな家は出て行きお父さんとお母さんとは縁を切ろうと思っている。
僕はね、将来は警察官になりたいんだ。お姉ちゃんのように両親に虐待されて悲しんでる子供たちを助けられたらと思って。
これからもお姉ちゃんのアイドル活動を影ながら応援しています。
―追伸、次のフラワースタンドは僕が大人になるまで待っていて下さい。
-山本秀晴-』
「…………」
真奈は涙を堪えきれず、手紙の上にポタポタとそれが落ちて滲んでいく。
「秀晴…。謝るのは、むしろ私の方…。ううう…」
その手紙を私たち夫婦にも読ませてくれた。読み終えた幸司さんは秀晴くんが届けてくれたフラワースタンドを見つめ
「子供を差別して育てたら、その両方を傷つけ、そして成長した子供たちに見捨てられる…。何でこんな簡単なことも分からなかったのかね」
幸司さんは後に愛情を注いできた息子に縁を切られ、孫にも会わせてもらえないであろう秀夫さんと松美さんを憐れむように言った。
私の不倫が端を発して元夫秀夫さんを不幸にしたとは思うけれど、さすがにそこまで面倒は見切れない。私は真奈の肩を抱いて
「警察官、男の子らしい素晴らしい夢じゃない。叶えた時は私たちでお祝いしましょう」
「うん、そうだね、ママ!」
弟の秀晴くんとライブ前に分かり合えたこと、嬉しかったのだろうな。
ステージに立つ真奈の笑顔は、まるで日輪のよう。
周りの人たちに『あれ、私の娘なんです!あの子、私の大切な娘なんです!』と大声で自慢したい。
センターのアイドル村枝薫ちゃんが
「みんなーッ!私たちの新たなメンバーを紹介するよーッ!」
そう言った瞬間に
「「マアナーッ!マアナーッ!」」
と、大歓声。改めて紹介されずともファンはみな知っていた。歌うまJKピアニストの真奈が虹色ローレライ加入というのは大きく報じられていたし、ファンは正式メンバーになることを心待ちにしていた。ついにこの日が来たのだ。
私と幸司さんは招待席からそれを見守る。
「みんなーッ!私の虹色ローレライ初参加ライブに来てくれてありがとう!上杉真亜奈でーす!」
「「ワアアアアアアアアアッ!」」
見事なキーボードを弾いて自己紹介、そのまま最初の曲に入る。虹色ローレライの新曲だ。私が作曲したもの。それを真奈が奏で、歌う。
泣くしかないでしょ、こんなの…。
隣に座る幸司さんが私の肩を抱いて、ハンカチを差し出してくれた。
「嬉しいよな。僕も嬉しいよ、彩希」
「うん…。うん……」
不倫したうえ離婚、愛する娘と別れて逃げるように故郷を出た。慰謝料と養育費を払うためデリヘル嬢になった。好きでもない男たちの欲望のはけ口となって生きてきた。
もう幸せなんて自分には訪れないと思っていた。幸せになってもいけないのだと。
でも、今はすごく幸せだ。私ほど幸せ者はいない。
ありがとう、幸司さん…。ありがとう、真奈…。貴女は私の自慢の娘です。
真奈は自分のチャンネルは立ち上げなかったけれど、私と幸司さんの動画にたびたびゲスト出演し、私と連弾、幸司さんのバイオリンとセッションの動画を撮影して投稿。真奈は歌うまJKピアニストとして有名になっていった。
そんなある日、真奈と一緒に日本国内のストリートピアノ設置場所をネットで検索し、旅行がてら弾きに行こうという話をしていた。
「ママ、私は姫路がいいな」
「いいわね、西日本にはあまり遠征に行っていないし明石焼きも食べてみたいわ」
リビングで盛り上がっていると幸司さんが帰宅、真奈と出迎えに行くと幸司さんは『ただいま』のあと
「彩希、虹色ローレライからオファーなんだけど」
いきなり仕事の話を振られた。虹色ローレライは大人気アイドル五人組で、私と幸司さんは彼女たちの楽曲を複数制作させてもらっている。でも
「ああ~。いま私は厳しいかな。スマホRPGの音楽を依頼されているの知っているでしょ。RPGの音楽は初めての挑戦だし当分作曲はそっちに集中したくて」
「ああ、すまない。オファーを受けたのは真奈なんだよ」
「「えっ?」」
虹色ローレライは大人気アイドルグループなんだけど、他のアイドルグループと異なる大きな特徴がある。それは他のアイドルグループと同様に五人並んで歌う時もあるけれど、時にガールズバンドのように楽器も弾く。
それがまあ人気のロックバンド顔負けの演奏、歌は全員並外れて上手い。容貌が可愛いだけじゃない。メンバーすべてが血の滲むような努力をしているグループだ。
リビングに行き、幸司さんにお茶を出し、それを一口飲むと切り出した。
「実を言うと、虹色ローレライをプロデュースしている那由多プロの社長さんが真奈をスカウトしたいと言ってきた」
「「ええっ!?」」
「いや、僕もびっくりしたよ。今日の僕の現場に来て『君の娘さんを、うちの虹色ローレライに加入させたい』と、いきなりだったから」
「なんて返事したの?」
「娘と家内と話し合って答えます、と。僕の独断で決めていいことじゃないしな」
「そういえば虹色ローレライ…。キーボード担当のレオナちゃんが脱退するのよね?」
「ああ、頭のいい子でな。医者を志していたので元々長くアイドルやる気は無かったらしい。卒業公演は二月後、それまでレオナちゃんの後釜を探していたというわけだが、社長とプロデューサー、そしてメンバーまでが真奈の動画を見て『この子だ!』と満場一致だったとか」
突然の話に、ずっと無言の真奈だったけれど
「やる」
「「早いよ!」」
「ううん、こういうチャンスに戸惑って時間を要するようじゃダメだと思うんだ。それに選んでくれたのが社長さんだけじゃなくて、メンバーも私を『この子だ』と言ってくれたんでしょ。断るなんてありえないよ」
「真奈、少なからず私とパパは虹色ローレライと仕事をしているけれど、華やかだけじゃない。あの子たちはステージに立つまで血の滲むような努力をしている。ついていける?」
「ママ」
「ん?」
「なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬは人のなさぬなりけり」
米沢の誇りにて最たる偉人、上杉鷹山公の言葉だった。
「私たち米沢に生まれた者、すべてが幼少のころから叩き込まれていることじゃない」
ニコリと笑った真奈。それを言われちゃあ米沢の女として賛成するしかない。
「パパ、その話、お受けすること伝えて」
「分かった」
幸司さんはスマホを握り、先方に電話をかけた。
まさか、真奈がアイドルになる日が来るなんてね…。
しかし、それからが大変だった。先に言った通り虹色ローレライはガールズバンドのみならず、五人で並んで歌う時もある。その時に必要になるのがダンス。歌とキーボードなら、真奈は今すぐでもメンバーと合流できるだろうけどダンスはド素人だ。
事務所のダンスレッスンだけじゃ足らないと言う真奈のため、私たちはツテをフル活用して一流のダンストレーナーを探し、真奈にダンスを仕込んでもらった。
幸司さん曰く『僕なら逃げだしている』と言うほど過酷と言えたダンスレッスンの日々。
いや、私もたぶん逃げだすよ。真奈は高校二年の夏休み、一日も休まずにダンスレッスンに打ち込んだ。
水泳が良いと聞けばスイミングに通わせてコーチも付けた。
真奈は本当に熱心だった。真剣にアイドルやろうとしていることが伝わってくる。母親の私がしてあげられることは、お腹ペコペコで帰ってくる真奈に美味しい料理を食べてもらうことだけ。
そして真奈のダンスが事務所と虹色ローレライのメンバーに認められ、正式に加入が決まった。
私と幸司さんは万歳して大喜びだった。なせばなる!だね、真奈。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく時が経ち、国内最大級のアリーナ、東京グランドアリーナで虹色ローレライの大型ライブが開催された。虹色ローレライに真奈加入後、最初に行われるこのライブ。
真奈の芸名は上杉真亜奈、上杉鷹山の地米沢出身ということで姓は上杉、本名に少し変化を加えた真亜奈、ふふっ、いい名前よね。
ライブ前に一つの出来事がありました。それはコンサートにファンから贈られるフラワースタンドだった。
『上杉真亜奈様、デビューおめでとう!-山本秀晴-』
こう記されたボードがあった。真奈はそれを見るなり『今さら何だよ、あのクソガキ!』と、そのフラワースタンドを壊そうとした。それは真奈の弟から贈られたものだったから。幸司さんが『大事な指を』と止め、手段を変えて蹴ろうとしたところを私が止めて、一通の封筒を渡した。弟さんから真奈に宛てたものだった。怒りを何とか静めて、それを読みだした真奈。
『お姉ちゃん、久しぶり。お姉ちゃんが虹色ローレライに加入という大ニュースは米沢中で知らないものはいないよ。米沢の誇りだ!って。僕もそう思うよ。
でも、お父さんとお母さんは違うみたいだよ。悔しいのだろうね。自分たちが虐待した子供がトップアイドルのグループに加入するんだもの。お母さんなんて、むざむざ金の生る木を手放してしまったなんて言って、本当に終わっているよ。
お姉ちゃん、お父さんとお母さんの意地悪から助けられなくてごめんなさい。
入院している時にお見舞いに行けなくてごめんなさい。
お姉ちゃんは僕を嫌っていたけれど、僕は大好きだよ。だから今まで貯めていたお年玉を全部使って、お姉ちゃんのデビューを心からお祝いしたかったんだ。どうか受け取って下さい。
僕も高校を卒業したら、こんな家は出て行きお父さんとお母さんとは縁を切ろうと思っている。
僕はね、将来は警察官になりたいんだ。お姉ちゃんのように両親に虐待されて悲しんでる子供たちを助けられたらと思って。
これからもお姉ちゃんのアイドル活動を影ながら応援しています。
―追伸、次のフラワースタンドは僕が大人になるまで待っていて下さい。
-山本秀晴-』
「…………」
真奈は涙を堪えきれず、手紙の上にポタポタとそれが落ちて滲んでいく。
「秀晴…。謝るのは、むしろ私の方…。ううう…」
その手紙を私たち夫婦にも読ませてくれた。読み終えた幸司さんは秀晴くんが届けてくれたフラワースタンドを見つめ
「子供を差別して育てたら、その両方を傷つけ、そして成長した子供たちに見捨てられる…。何でこんな簡単なことも分からなかったのかね」
幸司さんは後に愛情を注いできた息子に縁を切られ、孫にも会わせてもらえないであろう秀夫さんと松美さんを憐れむように言った。
私の不倫が端を発して元夫秀夫さんを不幸にしたとは思うけれど、さすがにそこまで面倒は見切れない。私は真奈の肩を抱いて
「警察官、男の子らしい素晴らしい夢じゃない。叶えた時は私たちでお祝いしましょう」
「うん、そうだね、ママ!」
弟の秀晴くんとライブ前に分かり合えたこと、嬉しかったのだろうな。
ステージに立つ真奈の笑顔は、まるで日輪のよう。
周りの人たちに『あれ、私の娘なんです!あの子、私の大切な娘なんです!』と大声で自慢したい。
センターのアイドル村枝薫ちゃんが
「みんなーッ!私たちの新たなメンバーを紹介するよーッ!」
そう言った瞬間に
「「マアナーッ!マアナーッ!」」
と、大歓声。改めて紹介されずともファンはみな知っていた。歌うまJKピアニストの真奈が虹色ローレライ加入というのは大きく報じられていたし、ファンは正式メンバーになることを心待ちにしていた。ついにこの日が来たのだ。
私と幸司さんは招待席からそれを見守る。
「みんなーッ!私の虹色ローレライ初参加ライブに来てくれてありがとう!上杉真亜奈でーす!」
「「ワアアアアアアアアアッ!」」
見事なキーボードを弾いて自己紹介、そのまま最初の曲に入る。虹色ローレライの新曲だ。私が作曲したもの。それを真奈が奏で、歌う。
泣くしかないでしょ、こんなの…。
隣に座る幸司さんが私の肩を抱いて、ハンカチを差し出してくれた。
「嬉しいよな。僕も嬉しいよ、彩希」
「うん…。うん……」
不倫したうえ離婚、愛する娘と別れて逃げるように故郷を出た。慰謝料と養育費を払うためデリヘル嬢になった。好きでもない男たちの欲望のはけ口となって生きてきた。
もう幸せなんて自分には訪れないと思っていた。幸せになってもいけないのだと。
でも、今はすごく幸せだ。私ほど幸せ者はいない。
ありがとう、幸司さん…。ありがとう、真奈…。貴女は私の自慢の娘です。
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