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「………………………おれ、なのか?」
友達の恋人と浮気していた同居人から告白されるなんて誰が予想できるだろうか。
告白された事よりも、その相手が『俺』である事に混乱していた。
俺が好きなのに、猿渡と……触りっこ?したのか?
あんな…ベッド軋ませて、あられもない声出して、わざと聞かせてたのか?
「そうだよ。俺は、小さい頃からずっと陽斗の事が好きだったんだ」
「え、だって…翠…女の子と付き合って…」
「男なのに同じ男……それも従兄弟が1番可愛く見えるなんておかしいと思ってたから。
それで何度も女の子と付き合ってみたけど、やっぱり駄目だった」
嘘だろ。
全然……気付かなかった。
翠が俺をそういう目で見ていたなんて
そりゃあ『鈍い』って言われる訳だ。
それに関しては本当に申し訳ないと思う。
思うのだが……どうしても納得できない事が1つだけあった。
「俺が好きなのに、何で他の奴とデキんの?」
翠はずっと俺を想ってくれていたらしいが、それなら何故こんなクズと触れ合うなんて真似ができるのか。
無意識に表情が険しくなっていたのか、向き合っていた翠が泣きそうに目尻を下げていた。
「陽斗に俺の事を意識して欲しくて。
それに……たまに家に鬼頭君が来てくれる時の陽斗が、俺が見た事がない顔をしてるから不安で、焦ってたんだ」
「だからって……よりにもよって猿渡なんかとあんな…」
俺が翠を恋愛対象として意識する為の手段にしたってアレはないと思う。
そのせいで鬼頭は傷付いたし、猿渡と別れる事になってしまった。
正直、別れた方がいいと思っていたから複雑な所ではあるんだけど。
友達が傷付いた事に変わりはない。
俺が言葉を紡げずに黙っていると、隣から冷めた声が聞こえた。
「明楽、お前、先輩に余計な事吹き込んだだろう?」
「え?」
「いくら雉羽先輩が思い詰めてたとしても、浮気の片棒を担ぐような真似を自分からする訳ないんだよね……誰かに唆されたとしか思えない」
「え………それって」
俺と鬼頭の視線を受けた猿渡はその綺麗な顔に満面の笑みを浮かべていた。
友達の恋人と浮気していた同居人から告白されるなんて誰が予想できるだろうか。
告白された事よりも、その相手が『俺』である事に混乱していた。
俺が好きなのに、猿渡と……触りっこ?したのか?
あんな…ベッド軋ませて、あられもない声出して、わざと聞かせてたのか?
「そうだよ。俺は、小さい頃からずっと陽斗の事が好きだったんだ」
「え、だって…翠…女の子と付き合って…」
「男なのに同じ男……それも従兄弟が1番可愛く見えるなんておかしいと思ってたから。
それで何度も女の子と付き合ってみたけど、やっぱり駄目だった」
嘘だろ。
全然……気付かなかった。
翠が俺をそういう目で見ていたなんて
そりゃあ『鈍い』って言われる訳だ。
それに関しては本当に申し訳ないと思う。
思うのだが……どうしても納得できない事が1つだけあった。
「俺が好きなのに、何で他の奴とデキんの?」
翠はずっと俺を想ってくれていたらしいが、それなら何故こんなクズと触れ合うなんて真似ができるのか。
無意識に表情が険しくなっていたのか、向き合っていた翠が泣きそうに目尻を下げていた。
「陽斗に俺の事を意識して欲しくて。
それに……たまに家に鬼頭君が来てくれる時の陽斗が、俺が見た事がない顔をしてるから不安で、焦ってたんだ」
「だからって……よりにもよって猿渡なんかとあんな…」
俺が翠を恋愛対象として意識する為の手段にしたってアレはないと思う。
そのせいで鬼頭は傷付いたし、猿渡と別れる事になってしまった。
正直、別れた方がいいと思っていたから複雑な所ではあるんだけど。
友達が傷付いた事に変わりはない。
俺が言葉を紡げずに黙っていると、隣から冷めた声が聞こえた。
「明楽、お前、先輩に余計な事吹き込んだだろう?」
「え?」
「いくら雉羽先輩が思い詰めてたとしても、浮気の片棒を担ぐような真似を自分からする訳ないんだよね……誰かに唆されたとしか思えない」
「え………それって」
俺と鬼頭の視線を受けた猿渡はその綺麗な顔に満面の笑みを浮かべていた。
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