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「だからね、キミに結月以上に大事な人ができれば結月から離れてくれるかなぁって」
だからって何だ。
何がどうなったらそういう発想になるんだよ。
「恋愛と友情は別物だっていうのを分かってくんねーかな。あと離れろ」
仮にコイツの目論見通りに誰かに恋をしたからといって、鬼頭が友達でなくなる訳ではない。
そして、俺に恋人ができたからといって、鬼頭の中で俺が友達でなくなる事もないのではないだろうか。
「俺にとっては大差ないよ。キミが結月の『特別』っていうのが問題なんだから」
「別に友達は特別じゃねーだろ。あと離れろ」
大事な話の最中だけど、未だにくっついたままの素肌の感触が生々しくて嫌でも意識してしまう。
「あれ、もしかして……桃クン、俺の事意識してる?えっちだなぁ」
「気持ち悪い事言ってんじゃねーよ。
全裸の男に抱き着かれたら誰だって意識すんだろ……当たってんだよ」
「あはは、当たってるねぇ。気になる?恥ずかしい?」
何が楽しいのか、更に当ててきやがった。
(ぎゃあぁあぁあああ!!!ぐにって!感触がぁあ!!!気持ちわりぃいい!!)
「ちょっ……気色悪い!!離れろ!ほんと…っ…無理!!」
そう、羞恥心ではなく嫌悪の方だ……冷汗どころか震えて来た。
ちょっと涙も出て来た気がする。
いやもう本当に、マジで勘弁して欲しい。
「震えてる……へぇ…うん…うん…イイかも」
全力で拒絶される事の何がお気に召したのか知らないが、舌舐めずりをした王子様が俺を見ている。
どんなホラーだこれ。
「桃クンの事、ただの邪魔者だとしか思ってなかったんだけど……今初めて可愛いと思っちゃった。
もっと怯えさせたいなぁ」
「…………………………………」
人って、あまりにも驚き過ぎると言葉が出なくなるんだな。
眼の前の宇宙人が発した言葉に開いた口が塞がらない。
今までの理解できない会話の中でもダントツで理解不能だ。
「泣きそうな顔で睨み付けてくるのって可愛いんだねぇ。初めて知ったよ」
「俺以外でその発見をしてくれ。もっ…いい加減に離せ!やだっ」
「桃クンだから可愛いんじゃない。
どうしたらもっと可愛い顔見れるかな……俺、痛くするのは好きじゃないんだよねぇ」
「俺だって嫌だよ。つーか、アンタに泣かされるとか絶対にごめんなんだけ……ひっ!?」
顎を掴んでいた手が頬に這わされる。
意外と硬くてごつい指にするりと撫でられるとぞわぞわとした感覚が身体を走った。
いやいやいや、無理無理無理!!!
「普通は俺にこうされたらみんな喜ぶのに……桃クンは気持ちいい事が嫌いなの?
俺はその顔好きだから大歓迎だけど」
「気持ちいい事は好きだよ。アンタを受付ないだけだ!!
ちょっ……どこ触って…!?…ほんとに…やめっ」
腰から下に手が這わされ撫で回され、嫌悪感と悪寒が限界を迎えようとしていた。
逃げようともがけばもがくほど、密着した身体が擦れて気持ち悪さが増すから下手に動けない。
逃げられずにいると更に際どい処を撫でられて、目尻に溜まった涙も限界になってきた。
(もうやだ、コイツ)
一番泣きたくない奴の前で泣くなんて最悪だ……
絶望感でいっぱいになるのと、脱衣所の扉が開けられたのは同時だった。
扉を開けたのが鬼頭でさえなければ、助かったと思えたかもしれないのに。
「なにを……しているのかな?」
最悪中の最悪だ
だからって何だ。
何がどうなったらそういう発想になるんだよ。
「恋愛と友情は別物だっていうのを分かってくんねーかな。あと離れろ」
仮にコイツの目論見通りに誰かに恋をしたからといって、鬼頭が友達でなくなる訳ではない。
そして、俺に恋人ができたからといって、鬼頭の中で俺が友達でなくなる事もないのではないだろうか。
「俺にとっては大差ないよ。キミが結月の『特別』っていうのが問題なんだから」
「別に友達は特別じゃねーだろ。あと離れろ」
大事な話の最中だけど、未だにくっついたままの素肌の感触が生々しくて嫌でも意識してしまう。
「あれ、もしかして……桃クン、俺の事意識してる?えっちだなぁ」
「気持ち悪い事言ってんじゃねーよ。
全裸の男に抱き着かれたら誰だって意識すんだろ……当たってんだよ」
「あはは、当たってるねぇ。気になる?恥ずかしい?」
何が楽しいのか、更に当ててきやがった。
(ぎゃあぁあぁあああ!!!ぐにって!感触がぁあ!!!気持ちわりぃいい!!)
「ちょっ……気色悪い!!離れろ!ほんと…っ…無理!!」
そう、羞恥心ではなく嫌悪の方だ……冷汗どころか震えて来た。
ちょっと涙も出て来た気がする。
いやもう本当に、マジで勘弁して欲しい。
「震えてる……へぇ…うん…うん…イイかも」
全力で拒絶される事の何がお気に召したのか知らないが、舌舐めずりをした王子様が俺を見ている。
どんなホラーだこれ。
「桃クンの事、ただの邪魔者だとしか思ってなかったんだけど……今初めて可愛いと思っちゃった。
もっと怯えさせたいなぁ」
「…………………………………」
人って、あまりにも驚き過ぎると言葉が出なくなるんだな。
眼の前の宇宙人が発した言葉に開いた口が塞がらない。
今までの理解できない会話の中でもダントツで理解不能だ。
「泣きそうな顔で睨み付けてくるのって可愛いんだねぇ。初めて知ったよ」
「俺以外でその発見をしてくれ。もっ…いい加減に離せ!やだっ」
「桃クンだから可愛いんじゃない。
どうしたらもっと可愛い顔見れるかな……俺、痛くするのは好きじゃないんだよねぇ」
「俺だって嫌だよ。つーか、アンタに泣かされるとか絶対にごめんなんだけ……ひっ!?」
顎を掴んでいた手が頬に這わされる。
意外と硬くてごつい指にするりと撫でられるとぞわぞわとした感覚が身体を走った。
いやいやいや、無理無理無理!!!
「普通は俺にこうされたらみんな喜ぶのに……桃クンは気持ちいい事が嫌いなの?
俺はその顔好きだから大歓迎だけど」
「気持ちいい事は好きだよ。アンタを受付ないだけだ!!
ちょっ……どこ触って…!?…ほんとに…やめっ」
腰から下に手が這わされ撫で回され、嫌悪感と悪寒が限界を迎えようとしていた。
逃げようともがけばもがくほど、密着した身体が擦れて気持ち悪さが増すから下手に動けない。
逃げられずにいると更に際どい処を撫でられて、目尻に溜まった涙も限界になってきた。
(もうやだ、コイツ)
一番泣きたくない奴の前で泣くなんて最悪だ……
絶望感でいっぱいになるのと、脱衣所の扉が開けられたのは同時だった。
扉を開けたのが鬼頭でさえなければ、助かったと思えたかもしれないのに。
「なにを……しているのかな?」
最悪中の最悪だ
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