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「アンタはさ、いつまでこんな事続けるつもりなの」
今日ついに鬼頭本人に猿渡の裏切りが知られてしまった。
いくら鬼頭でも、今後も猿渡を信じられるか分からないんじゃないだろうか。
大事な友達をこれ以上傷付けて欲しくない……そんな思いを込めて聞く事にした。
「こんな事ってなぁに?」
「浮気してんだろーが。何で鬼頭を裏切る様な真似するワケ?」
俺を邪魔者扱いしたり、睨んだりするぐらい好きなのに何で浮気を繰り返すのか、全く理解できない。
俺からの問い掛けに、綺麗な顔を歪ませて睨んだまま首を傾げられる。
「桃クンには関係ないよね?」
久し振りに名前呼ばれたな。
気持ち悪い……まだ嫌味で『友達クン』って呼ばれる方がマシだわ。
名前を呼ばれる違和感と不快感に、こちらもこれでもかと眉間に皺を寄せて睨みながら反論をする。
「こんだけ巻き込んでおいて関係ないはねーだろ。
分かってんのか?ここは『俺の家』で、アンタが浮気した相手は『俺の従兄弟で同居人』なんだよ」
そう、コイツがやらかしたのは『俺の家』なのだ。
関係ないなんて言わせてたまるか。
「…………へぇ、てっきり結月の友達だからって言うのかと思った」
「俺の中で『友達だから』は人様の色恋沙汰に首を突っ込んでいい理由にはならねーの」
「冷たいんだねぇ、ちょっと意外」
よっぽど意外だったのか、つい今しがたまで俺を睨み付けていた目を驚きから見開いている。
俺としてはそこまで驚かれる方が意外だ。
友達だからといって、何でもかんでも干渉していい事にはならないと思う。
まぁ、この考え方が冷たいっつって離れて行った奴らも確かにいるけどな。
「誰だって踏み込まれたくない事ぐらいあんだろ。
相談されたり、見ていられない状況になってたりしたら俺だって口出すけど」
「ふぅん。で、見ていられなくなって結月に言ったの?俺が浮気してるって」
「忠告した事はあるけどな。
アンタを信じるって言われたから俺にはどうする事もできなかったの」
そう、結局は鬼頭の気持ち次第だから、ああ言われてしまえば当事者ではない俺はそれ以上踏込む事ができなかった。
しかし、今回は間接的にとはいえ巻き込まれて当事者になっている。
何より、友達きとうが泣く程傷付いたのだ。
黙ってなんかいられない。
「そっか、結月は俺が浮気してるって聞いてそう答えたんだ」
俺の言葉に、それまで睨むか小馬鹿にしたように口角だけ上げて嗤うかしかしなかった奴が、垂れた目尻を更に下げて柔らかく笑った。
あまりにも場違いな笑みを浮かべるその姿に、背筋に寒気が走る。
「何嬉しそうな顔してんだよ。
アンタ分かってる?そんな風に言ってくれた恋人を裏切ってんだぞ」
綺麗な笑みを浮かべたまま、王子様はキラキラしてさえ見えるその目を真っ直ぐに俺に向けて見つめている。
逸してはいけない
そう命じられたかのように逸らせない瞳を細め、形のいい唇から言葉が紡がれるのを待った。
「浮気ってさぁ、何を持ってして浮気って言うんだろうね?」
綺麗な顔のクズが何か言い出した。
今日ついに鬼頭本人に猿渡の裏切りが知られてしまった。
いくら鬼頭でも、今後も猿渡を信じられるか分からないんじゃないだろうか。
大事な友達をこれ以上傷付けて欲しくない……そんな思いを込めて聞く事にした。
「こんな事ってなぁに?」
「浮気してんだろーが。何で鬼頭を裏切る様な真似するワケ?」
俺を邪魔者扱いしたり、睨んだりするぐらい好きなのに何で浮気を繰り返すのか、全く理解できない。
俺からの問い掛けに、綺麗な顔を歪ませて睨んだまま首を傾げられる。
「桃クンには関係ないよね?」
久し振りに名前呼ばれたな。
気持ち悪い……まだ嫌味で『友達クン』って呼ばれる方がマシだわ。
名前を呼ばれる違和感と不快感に、こちらもこれでもかと眉間に皺を寄せて睨みながら反論をする。
「こんだけ巻き込んでおいて関係ないはねーだろ。
分かってんのか?ここは『俺の家』で、アンタが浮気した相手は『俺の従兄弟で同居人』なんだよ」
そう、コイツがやらかしたのは『俺の家』なのだ。
関係ないなんて言わせてたまるか。
「…………へぇ、てっきり結月の友達だからって言うのかと思った」
「俺の中で『友達だから』は人様の色恋沙汰に首を突っ込んでいい理由にはならねーの」
「冷たいんだねぇ、ちょっと意外」
よっぽど意外だったのか、つい今しがたまで俺を睨み付けていた目を驚きから見開いている。
俺としてはそこまで驚かれる方が意外だ。
友達だからといって、何でもかんでも干渉していい事にはならないと思う。
まぁ、この考え方が冷たいっつって離れて行った奴らも確かにいるけどな。
「誰だって踏み込まれたくない事ぐらいあんだろ。
相談されたり、見ていられない状況になってたりしたら俺だって口出すけど」
「ふぅん。で、見ていられなくなって結月に言ったの?俺が浮気してるって」
「忠告した事はあるけどな。
アンタを信じるって言われたから俺にはどうする事もできなかったの」
そう、結局は鬼頭の気持ち次第だから、ああ言われてしまえば当事者ではない俺はそれ以上踏込む事ができなかった。
しかし、今回は間接的にとはいえ巻き込まれて当事者になっている。
何より、友達きとうが泣く程傷付いたのだ。
黙ってなんかいられない。
「そっか、結月は俺が浮気してるって聞いてそう答えたんだ」
俺の言葉に、それまで睨むか小馬鹿にしたように口角だけ上げて嗤うかしかしなかった奴が、垂れた目尻を更に下げて柔らかく笑った。
あまりにも場違いな笑みを浮かべるその姿に、背筋に寒気が走る。
「何嬉しそうな顔してんだよ。
アンタ分かってる?そんな風に言ってくれた恋人を裏切ってんだぞ」
綺麗な笑みを浮かべたまま、王子様はキラキラしてさえ見えるその目を真っ直ぐに俺に向けて見つめている。
逸してはいけない
そう命じられたかのように逸らせない瞳を細め、形のいい唇から言葉が紡がれるのを待った。
「浮気ってさぁ、何を持ってして浮気って言うんだろうね?」
綺麗な顔のクズが何か言い出した。
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