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鬼ごっこと不良の王様
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楽しくて堪らないと言った顔で笑う鷲杜は、多分この中でそれはもう浮いている。
もう演技をするのを止めたらしく、眉を吊り上げ、口角をこれでもかと上げながら見下した笑みを俺に向けて来た。
うーん、いっそ清々しい。
「どうして俺が制裁を受けなければならないんだ?」
「十条様のご機嫌を損ねたからだよ。ねぇ、そうだよね?」
この様子だとここにいる親衛隊は全員同学年らしい。
隊長を引っ張って来ない辺りに鷲杜の小狡さを感じる。
「俺、副会長とは会った事もないんだけど?」
「永遠を利用して十条様に近付こうとしてるんでしょう?」
それはお前だろう。
喉元まで出かかった言葉を辛うじて飲み込む。
鷲杜が何を望もうが勝手だ。
それに俺を巻き込んだり、他者をわざと貶めたりしなければ好きにしたらいいと思う。
今回は、俺を貶めた上に巻き込んで来たからこうして自己防衛をしているだけだ。
「会った事もない人にどうして近付きたいと思うんだ?」
俺の言葉に副会長の親衛隊は『確かに』と納得してくれた。
やっぱりいい人達かもしれない。
「園宮は、今まで会った事もなかった百鬼様と西園寺様に永遠を利用して近付いているじゃない。
十条様にも、同じ事をしようとしているんでしょう?」
何でそうなるのか
百鬼先輩達との事は結果的にそうなっただけで、俺が意図してそうした訳じゃないんだが。
まぁ、過程を知らない人からしたら結果が全てだもんなぁ。
それでも、今俺が受けているこれは理不尽極まりないけど。
「なっ……お前やっぱり十条様に近付こうとしているのか!?」
「回りくどい事して!それも十条様の気を引こうとしてた訳?」
「大して美しくもない癖に身の程を弁えろよ!」
鷲杜の言葉で激昂した親衛隊の一人が俺の胸倉を掴んで来た。
俺より背が高いから、掴み上げられると踵が浮いて爪先立ちになるし、気道が塞がって苦しい。
息苦しさから解放されようと、無意識に胸倉を掴んでいる手を外そうと藻掻いてしまう。
「っ……んなわけ…っ…ないだろ…!」
どうやら、純粋な親衛隊達は副会長の事になると冷静ではいられなくなるらしい。
普通に考えたら、アンタ達が散々貶した【平凡】に副会長が興味を持つ訳がないと分かるだろうに。
副会長が俺の事を探るのは、好意じゃなくて警戒心からだと思う。
それが好意に変わる事なんかあり得ない。
【特別】が【平凡】に好意を抱くなんて…そんな非日常がそう簡単に起きる訳がない
本当に……冷静にならなくたってちょっと考えれば分かる事なのに。
もう演技をするのを止めたらしく、眉を吊り上げ、口角をこれでもかと上げながら見下した笑みを俺に向けて来た。
うーん、いっそ清々しい。
「どうして俺が制裁を受けなければならないんだ?」
「十条様のご機嫌を損ねたからだよ。ねぇ、そうだよね?」
この様子だとここにいる親衛隊は全員同学年らしい。
隊長を引っ張って来ない辺りに鷲杜の小狡さを感じる。
「俺、副会長とは会った事もないんだけど?」
「永遠を利用して十条様に近付こうとしてるんでしょう?」
それはお前だろう。
喉元まで出かかった言葉を辛うじて飲み込む。
鷲杜が何を望もうが勝手だ。
それに俺を巻き込んだり、他者をわざと貶めたりしなければ好きにしたらいいと思う。
今回は、俺を貶めた上に巻き込んで来たからこうして自己防衛をしているだけだ。
「会った事もない人にどうして近付きたいと思うんだ?」
俺の言葉に副会長の親衛隊は『確かに』と納得してくれた。
やっぱりいい人達かもしれない。
「園宮は、今まで会った事もなかった百鬼様と西園寺様に永遠を利用して近付いているじゃない。
十条様にも、同じ事をしようとしているんでしょう?」
何でそうなるのか
百鬼先輩達との事は結果的にそうなっただけで、俺が意図してそうした訳じゃないんだが。
まぁ、過程を知らない人からしたら結果が全てだもんなぁ。
それでも、今俺が受けているこれは理不尽極まりないけど。
「なっ……お前やっぱり十条様に近付こうとしているのか!?」
「回りくどい事して!それも十条様の気を引こうとしてた訳?」
「大して美しくもない癖に身の程を弁えろよ!」
鷲杜の言葉で激昂した親衛隊の一人が俺の胸倉を掴んで来た。
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「っ……んなわけ…っ…ないだろ…!」
どうやら、純粋な親衛隊達は副会長の事になると冷静ではいられなくなるらしい。
普通に考えたら、アンタ達が散々貶した【平凡】に副会長が興味を持つ訳がないと分かるだろうに。
副会長が俺の事を探るのは、好意じゃなくて警戒心からだと思う。
それが好意に変わる事なんかあり得ない。
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本当に……冷静にならなくたってちょっと考えれば分かる事なのに。
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