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鬼ごっこと不良の王様
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俺には鷲杜が何を言っているのかさっぱり分からない。
分からない……が、これを放っておいたら俺にとって不味い事になると言う事は分かった。
百鬼先輩には申し訳ないが、俺の身の潔白を証明する為に巻き込まれて貰おう。
携帯を耳に当てて小声で要件だけを伝える。
「先輩すみません、このまま電話を切らないで、声を出さずに聞いていて下さい」
声が返って来なかったから、おかしな事になっているんだと気付いてくれたんだろう……顔が良くて察しも良いなんて流石、風紀委員長だなぁ。
携帯をポケットに戻してもう少しだけ彼等に近付く。
録音だと、万が一彼等に見つかって携帯を壊されてしまった時、証拠が無くなって詰んでしまう。
だから通話にした。
それなら、電話の向こうの百鬼先輩が証人になってくれるし、百鬼先輩がスピーカーに切替えてくれていた場合、更に証人が増える。
この学校だけではない。
俺のような何も持たない人間が、何か言い掛かりを付けられた時、俺一人が無実を訴えても誰も信じてなんてくれない。
身を以て知っている事だ。
何も知らないまま巻き込まれていたら完全に詰んでいただろうから、こうして事前に対処出来た事は不幸中の幸いだろう。
足音を消して近くの柱に隠れ、耳を澄ませる。
「確かに俺達は十条様から園宮って奴について探るよう言われたけど、陥れろとは言われてない」
副会長が俺を?何でだ?
「そうそう。十条様には申し訳ないけど、僕達としてはあのもさもさと園宮がデキてくれた方が助かるんだよね」
もさもさって夢咲の事かな?
副会長が俺の事を探るのと、俺と夢咲が恋人になる事に何の関係があるんだ?
そもそも、俺は夢咲と付き合うつもりは微塵もないんだが。
夢咲だってそうだろ。
俺は女の子が好きだし、今は恋人よりも友達が欲しい。
「本当に探るだけでいいと思ってる訳?このまま、園宮が夢咲とデキちゃったら十条様は悲しむよ?」
「それは……そうだろうけど」
「親衛隊ともあろう人達が、親衛対象である十条様を悲しませてもいい訳?」
「そんな事はない!!」
「なら、十条様の手を煩わせる園宮は、僕達で排除した方が良い……そうでしょう?」
「…………本当に…園宮ありすの指示だって言って上手くいくんだろうな」
「もちろん。貴方達と園宮なら、みんな貴方達の言う事を信じるよ。だって………」
アイツただの【平凡】じゃん?
分からない……が、これを放っておいたら俺にとって不味い事になると言う事は分かった。
百鬼先輩には申し訳ないが、俺の身の潔白を証明する為に巻き込まれて貰おう。
携帯を耳に当てて小声で要件だけを伝える。
「先輩すみません、このまま電話を切らないで、声を出さずに聞いていて下さい」
声が返って来なかったから、おかしな事になっているんだと気付いてくれたんだろう……顔が良くて察しも良いなんて流石、風紀委員長だなぁ。
携帯をポケットに戻してもう少しだけ彼等に近付く。
録音だと、万が一彼等に見つかって携帯を壊されてしまった時、証拠が無くなって詰んでしまう。
だから通話にした。
それなら、電話の向こうの百鬼先輩が証人になってくれるし、百鬼先輩がスピーカーに切替えてくれていた場合、更に証人が増える。
この学校だけではない。
俺のような何も持たない人間が、何か言い掛かりを付けられた時、俺一人が無実を訴えても誰も信じてなんてくれない。
身を以て知っている事だ。
何も知らないまま巻き込まれていたら完全に詰んでいただろうから、こうして事前に対処出来た事は不幸中の幸いだろう。
足音を消して近くの柱に隠れ、耳を澄ませる。
「確かに俺達は十条様から園宮って奴について探るよう言われたけど、陥れろとは言われてない」
副会長が俺を?何でだ?
「そうそう。十条様には申し訳ないけど、僕達としてはあのもさもさと園宮がデキてくれた方が助かるんだよね」
もさもさって夢咲の事かな?
副会長が俺の事を探るのと、俺と夢咲が恋人になる事に何の関係があるんだ?
そもそも、俺は夢咲と付き合うつもりは微塵もないんだが。
夢咲だってそうだろ。
俺は女の子が好きだし、今は恋人よりも友達が欲しい。
「本当に探るだけでいいと思ってる訳?このまま、園宮が夢咲とデキちゃったら十条様は悲しむよ?」
「それは……そうだろうけど」
「親衛隊ともあろう人達が、親衛対象である十条様を悲しませてもいい訳?」
「そんな事はない!!」
「なら、十条様の手を煩わせる園宮は、僕達で排除した方が良い……そうでしょう?」
「…………本当に…園宮ありすの指示だって言って上手くいくんだろうな」
「もちろん。貴方達と園宮なら、みんな貴方達の言う事を信じるよ。だって………」
アイツただの【平凡】じゃん?
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