平凡くんと【特別】だらけの王道学園

鬼ごっこと不良の王様

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皆鬼ごっこへのやる気に満ち溢れているのか、ガヤガヤとざわめいていた声が、一人の人物が用意された壇上に登壇した瞬間に一瞬で消えた。


【天官 右京あまくらい うきょう生徒会長】

こうして直接姿を見たのは入学式以来だけど、相変わらず桁違いの美形だ。


琥珀色の切れ長の瞳は、黒く長い睫毛に縁取られてより存在感が増していて、形の整った吊り上がり気味の眉と相俟って彼の意志の強さを強調している。

スッと通った鼻筋と形の良い高い鼻、薄いが形のいい唇。

こんなにも顔のパーツが左右対称の、完璧な造形の持ち主が兄以外にいるとは思わなかった。

唯一左右対称じゃないのは口元の右下にある黒子ぐらいだろうが……黒子さえ色っぽいって凄いな。


艶やかな黒髪を左寄りに分け目を作って前髪を流しているから、左側からだと会長の整った顔がよく見える。

反対に、右だけ顎辺りまで金色の横髪があるから、髪の隙間から目が合う感じなんだろうか‥…会長の瞳も綺麗な上に眼力凄いからな、髪越しでも目が合ったら緊張で固まりそう。

肩辺りまで伸ばした襟足の毛先を金色に染めているのがまた彼の顔立ちに合っている。


黒髪に金メッシュって……まるでヴィジュアル系のようだが、会長がやるとノーメイクであの完成度とか……つくづく美形は凄い。


学校指定の体操着とジャージをあんなに着こなす必要はあるんだろうか……意外に身体ガッシリしてるんだな。
そして脚クソ長い。


総括すると、やはり桁違いの美形過ぎて現実味がない。


そんな会長がマイクにその形のいい唇を寄せた。

こうして会長の声を聞くのも入学式以来だ。


「今日は新入生の歓迎会と、俺達上級生との交流を兼ねた、毎年恒例の鬼ごっこだ！
頑張った奴には美味しいご褒美も用意してるからよ、てめぇら、問題を起こさず、ルールを守って全力で楽しめ！」


至極当然の事しか言ってないのに、あちこちで腰が抜けたり謎の前屈みになっている人が多発している。

確かに低くて甘ったるくて腰に響く声だとは思うけど、腰が抜けたりは流石にない。



改めて、俺はとんでもない人の親衛隊に入っているんだなぁと思った。