平凡くんと【特別】だらけの王道学園

親衛隊隊長と風紀委員長

6

確かに容姿は派手ではないし、後ろ盾になるような家柄ではないし、一芸に秀でている訳ではないから、ここの生徒や教師のルールに則れば園宮は底辺もいい所だろう。


でもあの子、1年S組だよ？それも【特待生】


薔薇ノ宮は単なる金持ち学校ではない。

将来、様々な企業や家業を担うであろう資産家の子息を育てているのだから、生徒には相応の教養や知識を求められている。

当然、偏差値はかなり高い。

本来は中等部の頃から積上げていく物だが、薔薇ノ宮は外部生の受入れを高等部しかしていない為、結果的に外部生に求める知識も相当高い。


今年は特待生なしなんて良くある事だと先輩に聞いた事があるし、実際、僕の学年に特待生はいない。


それを知っている僕からしたら既に園宮は凄い子なんだけど……


『中学生の時めちゃくちゃ勉強しましたから、それはもう死ぬ気で。一生分の勉強をしたと言っても過言じゃないです』


僕が褒めたら、無表情のままそう返された。
今も授業に追い付く為に毎晩必死に勉強しているらしい。

謙遜している訳でもなかったから、頭の出来もそこそこなんだろう……僕は追い付く努力を惜しまないのはいい事だと思うんだけどね。


あと、園宮は仕種がとても綺麗。


姿勢とか、ペンの持ち方とか、カップを口に運んだり、首を傾げるなんていう些細な動作の一つ一つがそれはもう綺麗。

凛とした雰囲気になって、園宮が本来持っている透明感とぴったりだと思う。


何か習っているのかと聞いたら

『何も。父がそういった事に厳しくて…日常的に注意されて躾られた感じです。
俺だけじゃなくて、家族全員がこんな感じですよ』


何その家族、ちょっと見てみたいと思っちゃった。



最大の魅力は、あの瞳だよね。

射抜くように見つめてくるものだから、堪らなくぞくぞくする。


まぁ、全部僕だけが知っていればいい事なんだけれど。