真水のスライム

イル

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レミレニア編

37話 物資調達①

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 翌日。
 待ち合わせののち、さくっと魔法道具屋現地。

 魔法道具の事が分からないといっても、流石に大まかな機能や用途くらいは流石に大方把握してる。
 しかし魔法戦闘の経験に乏しく、実戦投入したらどれほどのものか、自分には想像しがたい。
 どうにか取り入れらられればとは思っていたから、助言を貰うにはいい機会。

 …しかしやはり高い。消耗品の呪符ですら、5・6枚も使えば1日の稼ぎが消し飛ぶほど。保険として持つにはいいが、主力として使うには財布が耐えない値段。
 使い切りじゃない物は主に使用者の魔力を使う道具。自分が使うには、適さないもの。

 だが、エンが手に取ったのはその中の1つの腕輪だった。
 適性属性と別に炎魔法を使えるようになる腕輪、炎熱の腕輪ブレイズレットだ。
「エン、それは──」
「分かってる、普通に使うにはあなたには過ぎた代物ってくらい。
 けど本質的に見れば、これは魔力を特定属性に変換するフィルターみたいなもの。
 それは、使用者自身の魔力に限らない。」
 添えられた一言から、振りを察する。
「…森の魔力も?」
「そう。質を近付ける事で受ける影響を軽減はできる。
 ただし完全に防ぐ訳ではないし、割の悪い買い物にはなる。無理強いはできないから、あとの判断は任せるね。」
 言い終わるや否や、エンはラディの方のヘルプに向かっていった。

 そうは言われたが、気持ちはすぐに決まっていた。
 効力があるかもしれない、となれば多少高くても試してはみるべき。
 さくっと会計を済ませ、二人の方の様子を見に。


「…なるほど。それであのごーせーぞくせーを……。」
「そ。私本来の属性の光に、息吹の腕輪ブリーズレットを通して風属性になった魔力合わせて、雷にしてるの。
 無理矢理な分、制御は難しいけどね。」
 そう言いめくられたエンの左袖には、確かに同じ腕輪。
「…つかいこなせる、でしょうか。」
「努力次第、としか言いようがないわね。
 ただ使いこなせたら、大きな戦力になる。それは間違いない。」
「…なるほど。
 ほかにはどんなのが?」
「魔力を放つ場合に増大させたり、指向性を持たせたり…あなたとは縁が遠そうなものが多いわね。
 使い切りの道具は便利ではあるけど、主戦力としては組み込めないし。」
「…思ったより、せんたくしが無いのですね。」
「あなたが特殊すぎるのよ。
 実際には効果的な道具もあるかもしれないけど、私にはその判別は無理。」
「そう、ですか。」
 腕輪を見つめるラディの眼には、既に迷いは見られなかった。
「…即決、って感じね。」
「はい。…これで足りるでしょうか。」
 そう言いラディの懐だから取り出される巾着。…明らかに服の下に隠せるようなサイズではなかった。
「おまどこにしまっ…ていうかその金は?」
「こつこつかせいでた分です。セイルさんと会う前に。」
 なるほど、薬草売りでの貯金か。とはいえ随分と……。

 …確か会った日、銀2枚だったよな、あいつの儲け。飯一食分にも満たない少額。
 それをあの袋のサイズ、600か700枚って所か?
 ……。
 深く考えるのはやめておこう。薬類の相場は専門外だ。
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