真水のスライム

イル

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レミレニア編

33話 討伐依頼③

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「…囲まれてる。誘い出されたわね。
 二人で後方お願い。こっち側は抑えきる。」
「分かった。」
 強く張る警戒。背中を預け、ラディと共に後方へと向く。

 全方位警戒の基本陣形1つだ。
 より広範囲を見れる術士が半面を牽制し、相手の出方を制限。もう半面を2人で迎撃を目的とした立ち回り。
 待ちの陣形、退散されればそれまで。だが現状が緊急だ、それもまた好転。

 この一帯の対象リストは頭に入れてきた。念の為として濃度120エリアまでも、流し見ながら。
 その内、群れとあったのは5件。この時点で大体絞れてくる。
 リスト未登録の可能性も片隅に置きつつ、静かにラディに合図。
 隠密移動でラディが裏に回り挟み撃ち。獲物を逃さない為に取ってた立ち回りだが、膠着を崩すのにも有効だろう。

 水状態のラディが木の上を伝い、物音無く潜入。
 裏から追い立てこちらで返り討ち…という流れが綺麗に通用する気はしないが、出方を伺いつつ、構える。

 が、事は同時に動き始めた。

 しびれを切らし、飛び出す影ひとつ。
 咄嗟に剣で防御するが、響く金属音。剣だけでなく、右の手甲にも来る衝撃。
 リストにあった名前が、それに一致する。

 「銀鞭の狼」。確か情報によれば、6匹ほど狼系の群れ。体格はやや小さいが、その分瞬発力に長ける。
 にぶい銀色の毛並み、その一部が硬化しており武器とする。

 ラディと離れた以上、積極的に攻め込む事はできない。
 リーチの優位性は無く、しなやかな武器には崩しも難しい。距離も取られてしまった。
 先手を取るつもりが完全に裏目。だが流れを掴ませたままなのはまずい、、咄嗟に牽制の火球。
 銀鞭の手前の地面に着弾、見た目には派手に火柱を上げる。

 が、その隙を狙う第二の影。
 その背の鞭を剣で防ぐ、が絡まり引っ張られる。
 横から来る三体目に対応できない。

 しかしその一撃は届かなかった。
 何かが撃たれたのが辛うじて見えた。鈍い輝きの体躯にに赤が混じり、衝撃で吹き飛ぶ。
 地に落ちたその首には…深く刺さった短剣?
「ごめんなさい、てまどりすぎました。」
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