29 / 228
レミレニア編
29話 合間の休息⑥
しおりを挟む
「そういえば、自己紹介がまだであったな。
私は『銀剣』ハルドレーン・ロンドラーレ。略してハルドと呼んでくれても構わない。
位は金板、今後ともよろしくだ。」
「きんっ…」
驚きの声を飲み込み、深呼吸で心を静める。
「僕はセイル、通り名は…まだ決めてないです。
それでこっちは『青袖』のラディ。」
「どうもです。」
「む、まだ通り名を決めあぐねているのか。」
うまい事流してくれないかなとも思ったが、さすがに無理な話だった。
「アスレィ伝記に憧れての冒険者なので、特徴的なのにしようと思ったら、中々決まらなくて……。」
「なるほど、憧れか。いい動機ではないか。
近頃はさほど不自由しないかもしれないが、冒険者としての大成を志すなら、必要な時も来よう。大いに悩んで決めるといい。」
「ところで、だ。先ほどは濁されたようだが、わざわざそちらからのコンタクトだ。
何か悩みや迷いでもあるのではないか?」
最初はラディの事は相談できないなと思っていたが、ちょっと心が揺れる。
金板級ほどの人なら…いや、やはり慎重を貫こう。
「えーと…今は大丈夫、かな。
ただ今後困る事があった時に、助けてくれる人がいたらいいなって。」
「なるほど、コネクション作りか。」
「まぁ、平たく言えば。浅はかですかね。」
「いいではないか。きっかけなど、些細なものでも。
それに本来、こちらから情報支援をもちかけるべきだったのだ。手間をかけさせてすまない。」
上も上で色々あるんだなと流し皿から取った肉をひとかじり。
「今後で困る事があったら、遠慮なく相談しに来てくれ。よいな?」
「心得ておきます。」
「時に、そっちの嬢さんは食べなくてよいのか?」
「いえ、いいのです。しょーしょく、というやつなので。」
私は『銀剣』ハルドレーン・ロンドラーレ。略してハルドと呼んでくれても構わない。
位は金板、今後ともよろしくだ。」
「きんっ…」
驚きの声を飲み込み、深呼吸で心を静める。
「僕はセイル、通り名は…まだ決めてないです。
それでこっちは『青袖』のラディ。」
「どうもです。」
「む、まだ通り名を決めあぐねているのか。」
うまい事流してくれないかなとも思ったが、さすがに無理な話だった。
「アスレィ伝記に憧れての冒険者なので、特徴的なのにしようと思ったら、中々決まらなくて……。」
「なるほど、憧れか。いい動機ではないか。
近頃はさほど不自由しないかもしれないが、冒険者としての大成を志すなら、必要な時も来よう。大いに悩んで決めるといい。」
「ところで、だ。先ほどは濁されたようだが、わざわざそちらからのコンタクトだ。
何か悩みや迷いでもあるのではないか?」
最初はラディの事は相談できないなと思っていたが、ちょっと心が揺れる。
金板級ほどの人なら…いや、やはり慎重を貫こう。
「えーと…今は大丈夫、かな。
ただ今後困る事があった時に、助けてくれる人がいたらいいなって。」
「なるほど、コネクション作りか。」
「まぁ、平たく言えば。浅はかですかね。」
「いいではないか。きっかけなど、些細なものでも。
それに本来、こちらから情報支援をもちかけるべきだったのだ。手間をかけさせてすまない。」
上も上で色々あるんだなと流し皿から取った肉をひとかじり。
「今後で困る事があったら、遠慮なく相談しに来てくれ。よいな?」
「心得ておきます。」
「時に、そっちの嬢さんは食べなくてよいのか?」
「いえ、いいのです。しょーしょく、というやつなので。」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
「聖女に丸投げ、いい加減やめません?」というと、それが発動条件でした。※シファルルート
ハル*
ファンタジー
コミュ障気味で、中学校では友達なんか出来なくて。
胸が苦しくなるようなこともあったけれど、今度こそ友達を作りたい! って思ってた。
いよいよ明日は高校の入学式だ! と校則がゆるめの高校ということで、思いきって金髪にカラコンデビューを果たしたばかりだったのに。
――――気づけば異世界?
金髪&淡いピンクの瞳が、聖女の色だなんて知らないよ……。
自前じゃない髪の色に、カラコンゆえの瞳の色。
本当は聖女の色じゃないってバレたら、どうなるの?
勝手に聖女だからって持ち上げておいて、聖女のあたしを護ってくれる誰かはいないの?
どこにも誰にも甘えられない環境で、くじけてしまいそうだよ。
まだ、たった15才なんだから。
ここに来てから支えてくれようとしているのか、困らせようとしているのかわかりにくい男の子もいるけれど、ひとまず聖女としてやれることやりつつ、髪色とカラコンについては後で……(ごにょごにょ)。
――なんて思っていたら、頭頂部の髪が黒くなってきたのは、脱色後の髪が伸びたから…が理由じゃなくて、問題は別にあったなんて。
浄化の瞬間は、そう遠くはない。その時あたしは、どんな表情でどんな気持ちで浄化が出来るだろう。
召喚から浄化までの約3か月のこと。
見た目はニセモノな聖女と5人の(彼女に王子だと伝えられない)王子や王子じゃない彼らのお話です。
※残酷と思われるシーンには、タイトルに※をつけてあります。
29話以降が、シファルルートの分岐になります。
29話までは、本編・ジークムントと同じ内容になりますことをご了承ください。
本編・ジークムントルートも連載中です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
プロミネンス~~獣人だらけの世界にいるけどやっぱり炎が最強です~~
笹原うずら
ファンタジー
獣人ばかりの世界の主人公は、炎を使う人間の姿をした少年だった。
鳥人族の国、スカイルの孤児の施設で育てられた主人公、サン。彼は陽天流という剣術の師範であるハヤブサの獣人ファルに預けられ、剣術の修行に明け暮れていた。しかしある日、ライバルであるツバメの獣人スアロと手合わせをした際、獣の力を持たないサンは、敗北してしまう。
自信の才能のなさに落ち込みながらも、様々な人の励ましを経て、立ち直るサン。しかしそんなサンが施設に戻ったとき、獣人の獣の部位を売買するパーツ商人に、サンは施設の仲間を奪われてしまう。さらに、サンの事を待ち構えていたパーツ商人の一人、ハイエナのイエナに死にかけの重傷を負わされる。
傷だらけの身体を抱えながらも、みんなを守るために立ち上がり、母の形見のペンダントを握り締めるサン。するとその時、死んだはずの母がサンの前に現れ、彼の炎の力を呼び覚ますのだった。
炎の力で獣人だらけの世界を切り開く、痛快大長編異世界ファンタジーが、今ここに開幕する!!!
蒼星伝 ~マッチ売りの男の娘はチート改造され、片翼の天使と成り果て、地上に舞い降りる剣と化す~
ももちく
ファンタジー
|神代《かみよ》の時代から、創造主:Y.O.N.Nと悪魔の統括者であるハイヨル混沌は激しい戦いを繰り返してきた。
その両者の戦いの余波を受けて、惑星:ジ・アースは4つに分かたれてしまう。
それから、さらに途方もない年月が経つ。
復活を果たしたハイヨル混沌は今度こそ、創造主;Y.O.N.Nとの決着をつけるためにも、惑星:ジ・アースを完全に暗黒の世界へと変えようとする。
ハイヨル混沌の支配を跳ね返すためにも、創造主:Y.O.N.Nのパートナーとも呼べる天界の主である星皇が天使軍団を率い、ハイヨル混沌軍団との戦いを始める。
しかし、ハイヨル混沌軍団は地上界を闇の世界に堕とすだけでなく、星皇の妻の命を狙う。
その計画を妨害するためにも星皇は自分の妾(男の娘)を妻の下へと派遣する。
幾星霜もの間、続いた創造主:Y.O.N.Nとハイヨル混沌との戦いに終止符を打つキーマンとなる星皇の妻と妾(男の娘)は互いの手を取り合う。
時にはぶつかり合い、地獄と化していく地上界で懸命に戦い、やがて、その命の炎を燃やし尽くす……。
彼女達の命の輝きを見た地上界の住人たちは、彼女たちの戦いの軌跡と生き様を『蒼星伝』として語り継ぐことになる。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる