そして俺は召喚士に

イル

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161話 戦力として④

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 影が揺れる日差し、風になびく葉の音。
 畳のこの部屋は、そうか明穏寺院の一室か。
 まだ温まりきらない空気の平穏さの中、手足はしっかり縛られている。状況の確認が取れてない以上、それは当然の措置か。
「…誰かー?」
 と、ふすまに向けて呼びかけてはみるが、返ってくる返事は無い。
 まだ寝てる、なんてオチも考えられなくはないが、何らかの手が空かない事情があるとしたらハルルの負傷だろうか。見た目には軽傷でも、呪いから受けた傷を甘く見れないのは、体験済みだ。
 ロロに頼んで脱出できないだろうかとは思ったが、以前縄に退魔的な術が込められていたのを思い出す。同じ物だとしたらロロの牙は弾かれるだろうし、もし切れたとして作るのが大変とか言われたら責任は取れない。
 大人しく待つ事にしよう。

 その間に昨晩の事を思い返す。
 アクションゲームじみた自分の動き、漫画キャラじみた探知能力。
 今も部屋の外で何らかの揺らぎを感じる。けどぼんやりしててよく分からないし、感覚を閉ざす事もできない。揺れる船の上にでも居るような気持ち悪さ。
 この感覚にも慣れていくべきなんだろうけど、今はただただしんどい。縄のお陰で楽な体勢を取る事すらできない。


 どれくらい待っただろうか、部屋に近づく反応。近くに来てからソウクロウのものだとやっと分かった。
 ふすまが開けられるとほぼ同時に、何よりもまず気になってた事を思わず口にする。
「ハルルは無事なのか?」
「あぁ、念の為確かめたが、問題無い程度の軽傷だ。
 それより問題は貴様の方だ。聞かせてもらおうか、昨晩の仔細を。」
「…とりあえず縄ほどいてくれないかな……。」

「…屈服させずとも制御できた、か。
 それは再現性のあるものなのか?」
 縄を解いてもらい、一通りの状況説明を終え。
 その途中でロロを呼び出したが、やはりというか眠そうにしている。
「今回で分かったんだ、ロロの事。
 『制御する』ってのにこだわらなくて良かったんだ。ロロの行動指標を聞いて折り合いをつければ、それで十分だったんだ。」
 それに対しソウクロウは思う所はある様子だが、聞かれたのはその先の事だった。
「…戦線復帰可能、と見ていいのだな?」
「あぁ、行けると思う。」
「もしも再び呪いに飲まれる事があったら、その時は敵として『処理』する。いいな?」
「大丈夫、ロロはもうそんな事しないよ。な?」
 ロロの動きは少ないながら、それを認める合図の一瞥をくれた……気がした。
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