そして俺は召喚士に

イル

文字の大きさ
上 下
131 / 198

131話 密集地①

しおりを挟む
 ナナノハに丁度いいかもしれない相手として紹介した相手、ショウヤ。
 ちょっとした巻き込まれで怪異とか魔界の事をちょっと知っただけで別に術とか使えない、自分以上に普通の「こっちの世界の一般人」。
 だからよりフラットな目線で、ナナノハの要求に応えられるだろう。そういう目論見だった。

 その事について聞いた結果、返ってきたのは洪水のような早口だった。
「まず『平穏に暮らしたいAI兵器』って属性が強いよね。昔からよくあるネタらしいけど、それだけ扱われるだけの良さっていうか。
 見た目は完全に人間なのも、本来なら異質な存在が『わざわざ人間に寄せてくれてる』って考え方でむしろアリ派。
 で、そんだけ似せてる中で、たまに会話の中でも時折生物としての基準を欠く少しズレた視点が垣間見える、無自覚なやつだよね、あれ。」
「つまり好印象だった、って事でいいんだよな…?」
「そういう擬態相手である人間に寄せようとしてくれるのが『良さ』なんだよ。」


「えっ、そんな勝手に取っていいものなんですか!?」
 一方、テーブルの向かい側。
 流れる皿を取るキリを見て、ハルルが驚く。
「そういうもんなんだよ、回転寿司ってのは。」

 話のついでに折角だしと、4人で回転寿司。
 実家付近のは回転レーン撤廃されたが、ここは今も存続してる店だ。
「あ、その味噌ラーメン取って。」
「おっけ。」
 レーン側席の役目、ショウヤに一品目を受け渡す。
 初手でラーメン?とは思ったが、なるほど、そういうのもアリか。
 キリもえび天握りから入ってるし、早くもかなりフリーダムな卓上になってる。

「で、ハルルはいつも通り俺と同じでいいか?」
「はい、選定お願いします!」
 さてどうしようか、と思ったところで。
「そうだ、ハルルって生魚は行けるのか??」
「初挑戦です!」
「そっか、じゃあ……。」
 レーンの中から、2皿セットで流れてるのを探す。
 端末から注文してもいいが、最初くらいは待たずにいきたい。
 流れの上流の席だ、その条件を満たすものは多い。
 その中でぱっと目についた一品。美しいピンクの輝き、サーモンだ。
 なんかのサイトでの寿司人気投票でも1位だった見覚えもあるし、回転寿司といえば、と言ってもいいだろう。

 一皿をハルルに渡し、自分の見真似でハルルも醤油をかけ。
 ハルルの箸の扱いも慣れたもので、まだ慎重さは見受けられるが、危なげはなく口まで運ぶ。

 瞬間、神妙な表情。
 そしてしばらく味わったのちに、ぽつりと一言。
「なるほど、これが異国情緒……。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おっぱい編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート詰め合わせ♡

処理中です...