そして俺は召喚士に

イル

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111話 出会った存在③

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 ナナノハの後を追い、入り組んだ地形をどんどん奥へと進んでいき。
 それなりに人通りはあるが、とりあえずナナノハを見失う事は無さそうだ。
 フォーマルな服装の人ばかりのこの場所では、青くひらひらしたナナノハの服はかなり目立つ。
 それに、時折十字路で地図を確認している。ナナノハにとっても、ここは不慣れの地らしい。

 子供ドラゴンは、相変わらず布袋の中で大人しくしている。
 気を許してる…なんて訳は無いよな。見つけた時の様子からしても、単に抵抗できる体力が無いだけだろう。
「こいつ、大丈夫かな…?」
「大丈夫、と思うしかないでしょう、今は。」
 ナナノハでも確証は持てない、か。

 話のついでに、さっき気になった事を今の内に聞いてみる。
「今更だけどさ。
 助けるのって色々とこう、大丈夫なのか? というかさっき言ってた『盟約』って一体?」
 少しの思案ののち、ナナノハが答える。
「では『盟約』の話から。
 その昔、人族と竜たちとの間に交わされた不干渉条約だそうです。
 要約すると『互いに相手の領地に踏み込んだら殺されても文句は言えない』といった内容の。」
「…随分と物騒だな。」
「実際にはそれ以降、友好的に接触してくる竜も現れ始めて、すぐに形骸化したと記録にありますけどね。
 とはいえその盟約に則るなら、生かすも殺すもこちらの裁量次第、となります。形式上は。」
「その盟約の前は、どうだったんだ?」
「ボクも文献で見た程度の話ですが……。
 竜の気を損ねての村の焼失は珍しい話でもなく、不可避の災害のひとつに数えられてたらしいです。」
「だとしたらまだ子供とはいえ、もしこいつが暴れたらそれなりの被害の可能性はあるんだろ?
 思い付きで発案しちゃっておいてアレだけど、何で助けるって選択に乗ってくれたんだ?」
「そうですね…『これから会う人の縁で竜という存在に恩義を感じてる』、程度のものです。
 確証と言えるものが無いのはボクも同じです。でも、そういうもんでしょう。」
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