100 / 198
100話 養生と思案の末②
しおりを挟む
「どうでしょう、動けそうですか?」
ナナノハのその言葉を確かめるため、立ち上がり軽く体を動かしてみる。
まだ少しだるさは残ってる。けど活動するのに問題にはならない程度。
「大丈夫、だと思う。」
「なら、話を進められそうですね。」
部屋の隅に置かれていた布袋を、ナナノハが拾い上げる。
「こちらの世界の一般的な服です。その服のままでは目立つので。」
「…なんか悪いな、こんなに色々してもらって。」
「まぁ、その…『向こうの世界の協力者』と伝えたら、媚びを売っておけと言う人も少数ながら居まして……。」
…あまり関わりたくないところだな、その辺は。
「それはそれとして、ヴェリダール…ハルルさんの友人とあらば悪くする訳にはいきませんしね、個人的にも。」
「その、ハルルとは仕事仲間、って認識でいいのか?」
「形式上はそうですね。
でもその前にお世話になって、結構な借りがあって。
なのに今はボクの方が立場上は上で…そんな複雑な感じです。」
思考をそのまま形にしたかのように、流れ出るかのような言葉。
表情の変化が少なく感情が読み取りにくいナナノハだが、良い関係である事は伝わってくる。
受け取った布袋の中身をベッドに広げてみる。シンプルな布地の服の一式だ。
上着を脱ぎシャツに手をかけたところで、ふと思う。
「そういやナナノハって『どっち』なんだ?」
着替える上で、もしかしたらの問題。まだ部屋に居合わせている人の事。
雰囲気で勝手に男と思っていたが、別に確かめた訳じゃない。
少年とも少女とも見える小柄な体躯、ボディラインの隠れる余裕のある服、幼さがあるが故に判断の難しい声。
どっちなんだ…?
「『どっち』って…あっ!」
深く言及する前に察してくれたようで、すぐに言葉を続けられる。
「ごめんなさい、外で待ってますね!」
そう言い慌ててドアに向かうナナノハ。という事は…?
…いや、昨日ナナノハに触れた時の、生気を感じないどころじゃない異様な冷たさ。そもそも自分の常識で測れる存在なのだろうか…?
ナナノハのその言葉を確かめるため、立ち上がり軽く体を動かしてみる。
まだ少しだるさは残ってる。けど活動するのに問題にはならない程度。
「大丈夫、だと思う。」
「なら、話を進められそうですね。」
部屋の隅に置かれていた布袋を、ナナノハが拾い上げる。
「こちらの世界の一般的な服です。その服のままでは目立つので。」
「…なんか悪いな、こんなに色々してもらって。」
「まぁ、その…『向こうの世界の協力者』と伝えたら、媚びを売っておけと言う人も少数ながら居まして……。」
…あまり関わりたくないところだな、その辺は。
「それはそれとして、ヴェリダール…ハルルさんの友人とあらば悪くする訳にはいきませんしね、個人的にも。」
「その、ハルルとは仕事仲間、って認識でいいのか?」
「形式上はそうですね。
でもその前にお世話になって、結構な借りがあって。
なのに今はボクの方が立場上は上で…そんな複雑な感じです。」
思考をそのまま形にしたかのように、流れ出るかのような言葉。
表情の変化が少なく感情が読み取りにくいナナノハだが、良い関係である事は伝わってくる。
受け取った布袋の中身をベッドに広げてみる。シンプルな布地の服の一式だ。
上着を脱ぎシャツに手をかけたところで、ふと思う。
「そういやナナノハって『どっち』なんだ?」
着替える上で、もしかしたらの問題。まだ部屋に居合わせている人の事。
雰囲気で勝手に男と思っていたが、別に確かめた訳じゃない。
少年とも少女とも見える小柄な体躯、ボディラインの隠れる余裕のある服、幼さがあるが故に判断の難しい声。
どっちなんだ…?
「『どっち』って…あっ!」
深く言及する前に察してくれたようで、すぐに言葉を続けられる。
「ごめんなさい、外で待ってますね!」
そう言い慌ててドアに向かうナナノハ。という事は…?
…いや、昨日ナナノハに触れた時の、生気を感じないどころじゃない異様な冷たさ。そもそも自分の常識で測れる存在なのだろうか…?
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる