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88話 季節イベント①
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あの後、戦果に進展は無かった。
距離を置いたままだと魔術で一方的に攻められる。だからといって攻め込めば、受け流しからの一撃でまた距離を空けられて。
多分ハルルが言ってた「ロンドラーレ流剣術」とやらの得意距離だったんだろう。完全にペースを持っていかれていた。
そのままこちらのスタミナ切れが先に来て。
攻撃が全てMissになる耐久戦でもしてるかのような感覚だった。
でも分かった事もある。
ウルフの追撃を挟んだ連続攻撃、特にそれの初見の時の反応。
武器の扱いはまだまだ勝手が掴みきれない。けど、召喚魔術の方は可能性の兆しが見える。
ゆくゆくは両方やるにしても、まず戦力になりそうな魔術を優先したい。
という事で、魔術の参考にしたオンラインゲーム、エンパイアハントに来ていた。
「パラライズ使う、次で麻痺る。」
ボイスチャットの向こうからのショウヤの合図に、こちらも返す。
「分かった、じゃあ回復撒く。」
「助かる。」
そう言い、キリが敵の麻痺に合わせてキリが近接コンボを叩き込む。
3人で季節イベントの大ボスに挑戦中だ。
標的は特大サイズのトナカイ型のモンスター、名はレーシュトン。
麻痺が切れ、攻撃モーションに入る。こちらも回復硬直開け、カウンターを構える。
しかし間が悪い事に想定外の大技。
周囲一帯ランダムに、大量のつららが降り注ぐ。
本来なら被弾で弾き飛ばされ、1・2発ほどで攻撃範囲外。だがアーマーで耐えて突破するつもりが裏目、通常以上の多段ヒット。
満タンまで回復していた体力が、一気に0まで削りきられる。
キリが反対側に攻撃を誘導し、ショウヤがアイテムで蘇生に来てくれる。
けどそもそもの攻撃範囲がかなり広い。キリへの攻撃の背後判定が、ここまで届く。
蘇生を中断して退避しようとしたが間に合わず、連鎖的に──
「…悪い、賭けに走った。」
安全を取るなら、敵の動きを見てから動くべきだった。それをせずに次の行動を決め、それが裏目となった。
「最悪の行動運を引いた」のではない。「最悪の場合のケアを捨てた」結果だ。
「いや、それでいい。上振れ狙ってかねーと、火力足りたもんじゃねぇし。」
キリの言う事も正しい。敵の残り体力の削りペースを見るに、制限時間内に倒せるペースに少し足りない。
それもそのはず。こうして戦って削った体力がサーバーで共有され、総合体力を削って倒す、といった形のレイドイベントだ。
「誰でも倒せる」といった事を想定されていない、討伐称号のあるやり込みコンテンツ。それも本来4人で挑戦するものを3人でやってるのだから尚更だ。
とにかく慣れて、火力出せるようになっていくしかない。
そう次へと行こうとしたところで、ショウヤの割り込み。
「わり、オレ、チケ切れだ。」
「おっと、そうか。ていうか、もう結構な時間だな……。」
そう言いながら時計に目をやる。18時過ぎ、丁度いい飯どきだ。
「そーな、じゃあ休憩挟んで21時集合、でいいか?」
「分かった。」
「おっけー。」
距離を置いたままだと魔術で一方的に攻められる。だからといって攻め込めば、受け流しからの一撃でまた距離を空けられて。
多分ハルルが言ってた「ロンドラーレ流剣術」とやらの得意距離だったんだろう。完全にペースを持っていかれていた。
そのままこちらのスタミナ切れが先に来て。
攻撃が全てMissになる耐久戦でもしてるかのような感覚だった。
でも分かった事もある。
ウルフの追撃を挟んだ連続攻撃、特にそれの初見の時の反応。
武器の扱いはまだまだ勝手が掴みきれない。けど、召喚魔術の方は可能性の兆しが見える。
ゆくゆくは両方やるにしても、まず戦力になりそうな魔術を優先したい。
という事で、魔術の参考にしたオンラインゲーム、エンパイアハントに来ていた。
「パラライズ使う、次で麻痺る。」
ボイスチャットの向こうからのショウヤの合図に、こちらも返す。
「分かった、じゃあ回復撒く。」
「助かる。」
そう言い、キリが敵の麻痺に合わせてキリが近接コンボを叩き込む。
3人で季節イベントの大ボスに挑戦中だ。
標的は特大サイズのトナカイ型のモンスター、名はレーシュトン。
麻痺が切れ、攻撃モーションに入る。こちらも回復硬直開け、カウンターを構える。
しかし間が悪い事に想定外の大技。
周囲一帯ランダムに、大量のつららが降り注ぐ。
本来なら被弾で弾き飛ばされ、1・2発ほどで攻撃範囲外。だがアーマーで耐えて突破するつもりが裏目、通常以上の多段ヒット。
満タンまで回復していた体力が、一気に0まで削りきられる。
キリが反対側に攻撃を誘導し、ショウヤがアイテムで蘇生に来てくれる。
けどそもそもの攻撃範囲がかなり広い。キリへの攻撃の背後判定が、ここまで届く。
蘇生を中断して退避しようとしたが間に合わず、連鎖的に──
「…悪い、賭けに走った。」
安全を取るなら、敵の動きを見てから動くべきだった。それをせずに次の行動を決め、それが裏目となった。
「最悪の行動運を引いた」のではない。「最悪の場合のケアを捨てた」結果だ。
「いや、それでいい。上振れ狙ってかねーと、火力足りたもんじゃねぇし。」
キリの言う事も正しい。敵の残り体力の削りペースを見るに、制限時間内に倒せるペースに少し足りない。
それもそのはず。こうして戦って削った体力がサーバーで共有され、総合体力を削って倒す、といった形のレイドイベントだ。
「誰でも倒せる」といった事を想定されていない、討伐称号のあるやり込みコンテンツ。それも本来4人で挑戦するものを3人でやってるのだから尚更だ。
とにかく慣れて、火力出せるようになっていくしかない。
そう次へと行こうとしたところで、ショウヤの割り込み。
「わり、オレ、チケ切れだ。」
「おっと、そうか。ていうか、もう結構な時間だな……。」
そう言いながら時計に目をやる。18時過ぎ、丁度いい飯どきだ。
「そーな、じゃあ休憩挟んで21時集合、でいいか?」
「分かった。」
「おっけー。」
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