そして俺は召喚士に

イル

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64話 活動時間①

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 翌活動日、学校からそれなりに離れた場所。
 移動の合間に、例のアプリ「ゴーストファインダー」にあるの目的地の簡易解説を。
 ソウクロウに伝える意も併せ、読み上げる。
「くくり蔦、またの名を首絞め蔦とも言う。
 その森に踏み入ったが最後、辺りの蔦にからめとられ、たちまち吊るされてしまうだろう。
 …だって。」
「なるほど、一般に知られるのはそこまでか。
 …伝承の発端はまだ文化の発達がしてなかった頃、不用意に迷い込まぬよう過剰に恐ろしく伝えた事からだそうだ。」
「知ってるのか?」
「あぁ、だが文献で見知っただけだ。
 昔に『鎮圧完了』となり、監視対象から外されている。」
「…なら、何で向かってるんだよ。」
「今こうしてその地図に載ってるという事は、それだけの関心が集まるという事。
 怪異として蘇ってる可能性は十分にある。それを確認しにゆくのだ。」

 歩き進めていくにつれ、次第に周囲の人工物は減っていく。
 緑の生い茂る廃屋の並びなんか、もうそれだけで「何かが出そう」と思わせる風格を放っている。
 更に深く踏み込む前に、ソウクロウが立ち止まり振り返りながら言う。
「して、この周辺なのだが…なにぶん広域かつ古い文献故に中枢の特定が困難だ。
 その地図に、指し示す場所はあるか?」
「えーと…もうちょっと進んだ先だ。」
 実際の風景を照らし合わせると、正面にある森の奥の方にピンが立っている。
「そうか、ならば先導を頼む。」
「…分かった。」

 目的地のピンは、近くの道路からも触れる位置に設定されている。
 けど今回用があるのはその根元だろう。道を外れ、森の中へと踏み込んでいく。
「…大丈夫なのか? 怪異とか以前に、普通に危険地帯な気がするんだけど……。」
「案ずるな、そこらの野生動物などの遅れは取らぬ。」
 そう言うソウクロウの声は、ちょっと遠くから聞こえた気がした。
「とか言いつつ入ってこないのか?」
 振り向いた時、ソウクロウは何かをして…札持ちの紙人形?
「こういうのは実戦の中で覚醒する。そういうものだろう?」
 ソウクロウとの間に、光沢ある透明な壁が立つ。まさかこっちが内側?
「なっ、ちょっとまっ──」
「さぁ、貴様の秘めたる力、見せてもらおうか。」
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