64 / 198
64話 活動時間①
しおりを挟む
翌活動日、学校からそれなりに離れた場所。
移動の合間に、例のアプリ「ゴーストファインダー」にあるの目的地の簡易解説を。
ソウクロウに伝える意も併せ、読み上げる。
「くくり蔦、またの名を首絞め蔦とも言う。
その森に踏み入ったが最後、辺りの蔦にからめとられ、たちまち吊るされてしまうだろう。
…だって。」
「なるほど、一般に知られるのはそこまでか。
…伝承の発端はまだ文化の発達がしてなかった頃、不用意に迷い込まぬよう過剰に恐ろしく伝えた事からだそうだ。」
「知ってるのか?」
「あぁ、だが文献で見知っただけだ。
昔に『鎮圧完了』となり、監視対象から外されている。」
「…なら、何で向かってるんだよ。」
「今こうしてその地図に載ってるという事は、それだけの関心が集まるという事。
怪異として蘇ってる可能性は十分にある。それを確認しにゆくのだ。」
歩き進めていくにつれ、次第に周囲の人工物は減っていく。
緑の生い茂る廃屋の並びなんか、もうそれだけで「何かが出そう」と思わせる風格を放っている。
更に深く踏み込む前に、ソウクロウが立ち止まり振り返りながら言う。
「して、この周辺なのだが…なにぶん広域かつ古い文献故に中枢の特定が困難だ。
その地図に、指し示す場所はあるか?」
「えーと…もうちょっと進んだ先だ。」
実際の風景を照らし合わせると、正面にある森の奥の方にピンが立っている。
「そうか、ならば先導を頼む。」
「…分かった。」
目的地のピンは、近くの道路からも触れる位置に設定されている。
けど今回用があるのはその根元だろう。道を外れ、森の中へと踏み込んでいく。
「…大丈夫なのか? 怪異とか以前に、普通に危険地帯な気がするんだけど……。」
「案ずるな、そこらの野生動物などの遅れは取らぬ。」
そう言うソウクロウの声は、ちょっと遠くから聞こえた気がした。
「とか言いつつ入ってこないのか?」
振り向いた時、ソウクロウは何かをして…札持ちの紙人形?
「こういうのは実戦の中で覚醒する。そういうものだろう?」
ソウクロウとの間に、光沢ある透明な壁が立つ。まさかこっちが内側?
「なっ、ちょっとまっ──」
「さぁ、貴様の秘めたる力、見せてもらおうか。」
移動の合間に、例のアプリ「ゴーストファインダー」にあるの目的地の簡易解説を。
ソウクロウに伝える意も併せ、読み上げる。
「くくり蔦、またの名を首絞め蔦とも言う。
その森に踏み入ったが最後、辺りの蔦にからめとられ、たちまち吊るされてしまうだろう。
…だって。」
「なるほど、一般に知られるのはそこまでか。
…伝承の発端はまだ文化の発達がしてなかった頃、不用意に迷い込まぬよう過剰に恐ろしく伝えた事からだそうだ。」
「知ってるのか?」
「あぁ、だが文献で見知っただけだ。
昔に『鎮圧完了』となり、監視対象から外されている。」
「…なら、何で向かってるんだよ。」
「今こうしてその地図に載ってるという事は、それだけの関心が集まるという事。
怪異として蘇ってる可能性は十分にある。それを確認しにゆくのだ。」
歩き進めていくにつれ、次第に周囲の人工物は減っていく。
緑の生い茂る廃屋の並びなんか、もうそれだけで「何かが出そう」と思わせる風格を放っている。
更に深く踏み込む前に、ソウクロウが立ち止まり振り返りながら言う。
「して、この周辺なのだが…なにぶん広域かつ古い文献故に中枢の特定が困難だ。
その地図に、指し示す場所はあるか?」
「えーと…もうちょっと進んだ先だ。」
実際の風景を照らし合わせると、正面にある森の奥の方にピンが立っている。
「そうか、ならば先導を頼む。」
「…分かった。」
目的地のピンは、近くの道路からも触れる位置に設定されている。
けど今回用があるのはその根元だろう。道を外れ、森の中へと踏み込んでいく。
「…大丈夫なのか? 怪異とか以前に、普通に危険地帯な気がするんだけど……。」
「案ずるな、そこらの野生動物などの遅れは取らぬ。」
そう言うソウクロウの声は、ちょっと遠くから聞こえた気がした。
「とか言いつつ入ってこないのか?」
振り向いた時、ソウクロウは何かをして…札持ちの紙人形?
「こういうのは実戦の中で覚醒する。そういうものだろう?」
ソウクロウとの間に、光沢ある透明な壁が立つ。まさかこっちが内側?
「なっ、ちょっとまっ──」
「さぁ、貴様の秘めたる力、見せてもらおうか。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる