そして俺は召喚士に

イル

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29話 救援①

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「あれ、キリは?」
 休み明けの教室、チャイムに駆け込みふと気付く。
 キリの席が空いている。
「キリ、夏風邪だってさ。」
 とショウヤがジェスチャーでスマホを示しながら。急いでいて気付かなかったが、メッセージ通知が来ていた。


『助けいるか?』
 とショウヤのメッセージがグループに送られる。それに対し、キリが返信。キツそうなのが文面からも伝わってくる。
『手元飯あんまないから手助け助かる』
『キリの家知ってんのか?』
 直に聞こうかとも思ったが、ここでキリを外すのは違うと思いFINEの方でショウヤに。
『前にコントローラー借りに行った事があってな。けどオレから言うのもあれだし、本人通してくれ。』
『どこ住みなんだ?』
 とキリに向けて改めてメッセージを送る。
『麗辺だ』
 なんか耳に覚えのある名前…なんてもんじゃなかった。こっちに引っ越す時に、電車を降りたあの駅だ。
『うちからバスで近いところだ』
『じゃあユートに頼んでいいか? オレの方は遠いし。』
『頼む』


 現地に着き、インターホンを鳴らす。
 ここまでのバス道中でFINEでやりとりして、必要な物品を携えて。
 少ししてスマホの方に通知。キリからのメッセージだ。
『鍵は開けてある』
 招きの文言と受け取り、部屋の中へ。
 キッチンと部屋の間は、扉が閉められている。その向こうからキリの声が。
「いくらかかった?」
「レシート入れてある。元気になってからでいいよ。」
「…助かる。そこに置いておいてくれ、うつしたら悪い。」
 ドアの隙間から茶色い被毛の手が、ビニール袋を部屋の中へと引き込む。

「調子はどうだ?」
「丁度今、楽な波が来てる。
 けど、やっぱり術の制御が整わなくてな。
「術って?」
「認識をずらす術だよ。
 だから今外に出る訳にもいかなくてさ……。」
 物理的に隠す、というのは無理な話か。見た目が不審者まっしぐらにしかならないし、鼻先が輪郭に出るし。
「…ショウヤにも正体の事、言ってないのか?」
「あぁ。別にショウヤなら別に問題ねぇとは思うけど、わざわざ言うって機会もねぇし。」


 話題が途切れ、訪れる静寂。
 ある程度覚悟はしてたけど、思った以上に居づらい状況。
 だからこそ、考えていた案を切り出す。
「1人助っ人に心当たりあるけど、交代しようか?」
「…上利田か?」
「もしかして気づいてたのか?」
「正体までは認識できんが、同じような術使えるからかぼんやりと『何か隠してる』のは分かんだよ。
 隠してるなら触れない方がいいと思って触れなかったが、知ってるおめーから聞いてくれる分には助かる。」
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