そして俺は召喚士に

イル

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6話 実地調査①

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 翌日曜日。
 事前に上利田と待ち合わせしてたバス停へ。
 こういう時は早めに待っておくべきだと思い、10分程早めに到着し。

 そして定時ほぼ丁度、到着する上利田さん。
 私服で合うのは最初の時以来だが、今日は目的の都合か軽装だ。
 帽子は以前の物と同じだが、長い耳を内側に隠しこんでいなかったり、髪も首後ろで纏めていたりと大分印象は違う。
「おはようございます!
 では、早速現地に向かいましょう!」

 調査の目的地は、ここから少し歩いた所との事。
 その道すがら、前を歩く上利田さんに聞く。
「質問いいかな? 上利田…いや、ヴェリダールさん…?」
「こちらでの名前の『ハルル』でいいですよ、敬称もなしで。
 「上利田 春留うえりだ はるる」…そういう当て字の偽名か。
 急に下の名前でってのも抵抗あるけど、本人がそう言うなら。

「じゃあハルル、そっちの認識では『魔法』ってどういうものなんだ?」
 基礎的な所として、まずはそこからだ。
 教えてもらう側としてまず曖昧なままではいけない所だろうし、そもそもの「魔法」に対する認識が違う可能性もある。
「うーん、端的に言えば『魔力に思念を映し出す行為』ですかね。」
「魔力に…って、そもそも魔力って?」
「自然に存在し意思を映し出すエネルギー…というよりは、概念に近いですね。
 人が発せば魔術となり、生物の進化に関われば魔物となる。
 私のような亜人種も、その定義に則れば『人型の魔物』といったところでしょうか。」

「じゃあ、初登校日の時に追い払ったのって、その『魔物』とは別なのか?」
 あっちのバス停で会った時、ハルルが魔法で追い払った謎の存在の事だ。
「どうなんでしょう、私にもはっきりとは。
 魔術的な存在ではあったんでしょうけど、私達の言う魔物とは違う存在のようです。
 ああいうのって、こちらではよく居るものなのでしょうか?」
「いや、そもそもなんだけど、俺には『見えなかった』。漠然と何かの存在を感じたくらいで。
 …という事自体が、何かヒントにならないか?」
「こちらのものとなると、私よりユートの方が分かるはずです。
 何か『そういうもの』に心当たりはありませんか?」
「心当たりもなにも、俺だって初めてだったし。」
「先ほども言いましたが、魔力は意思を映し出すものなのです。それが意図されたものではなかったとしても。
 なので例えば、こちらの文化の昔話や神話、伝承といった何らかの要素。そういった集団の意思に魔力が反応し、形になったもの。
 僅かでもいい、共通する所のある話は無いでしょうか。」
 普通の人の目には見えず、でも身近な神秘的な存在……。
「…ありすぎるなぁ、そういうの。妖怪とか霊とか、神とかもそうか。」
「これから『調査』するものも、そういったものの可能性もあります。
 だからこその助力、お願いします。」
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