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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国
ゴーレムさんに出会った!! 逃げる少女b
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この野卑た男達の中で今まさに『とてもよい場面』をぶしつけに邪魔される様な、突然の乱入者の気の抜けた声に少女も含めてその場の全員が一斉に顔を向けると、視線の先には少女と同じ歳くらいのひょろっとした全裸の少年が森の木々の中立っていた。男達は良い所を邪魔された挙句、期待とは裏腹に趣味にも無い見たくも無い貧相な少年の裸を見せられて顔が不快で歪む。
「ご歓談のところ申し訳ない。ここはどんな異世界で私はどんな姿をしていますか?」
「へ?」
一瞬男達はこの少年が何を言っているのか理解出来ず固まったが、直後に腹を抱えて笑い出した。
「な、なんだコイツ、頭がイカレてやがる! ここはワンダーランドかよ、いくら何でもこりゃリュフミュラン軍の者じゃねえな」
二番目の子分格の男が、頭の横で指先をくるくる回しながら大笑いし過ぎて言葉が途切れ途切れに言った。この軍服3人組は【ニナルティナ王国軍】の軍人で今まさに東隣の弱小国【リュフミュラン国】に侵攻中だが、少年と少女には全くあずかり知らぬ所でだった。
「ご歓談じゃないです! 助けて下さい襲われてるんです!」
「おいおい、あんな奴に助けを求めるか普通よお」
少女が哀願するように助けを求めて叫ぶが、大男は笑いながら両腕を掴みぶら下げている少女をぷらんぷらんと振った。
「……」
全裸の少年はこれでも状況がよく理解出来ないという感じで、眉間にシワを寄せキョロキョロ周囲を見渡すと唐突にシュッと昭和中年サラリーマンの様に手刀を切った。
「では、私はこの辺で失敬!」
こののち物語るがこの主人公の少年、【元々無機質・無感情の<今さっき少年に転生したばかり>の元大理石と鉄筋で出来たデパート建屋の九十九神】としては、過去見て学習した【従業員のニンゲン達】の行動を最大限自然にトレースしたつもりの物だった。
「あっっちょっと待って下さい! 助けて!!」
少女が絶叫するも全裸の少年は意に介さず、くるりと踵を返すとすたすたと何の余韻も無く森の奥に立ち去っていく。
「あれは……本物のアタマの故障だなほっとけ、こんな上物娘が一人でうろついている偶然もありゃ、あんな変なのも居合わせる偶然、二つの偶然がこの宇宙に同時に起こったって事だ」
ガラの悪い不良軍人の癖に、妙なまとめをして綺麗に収めようとする。
「よし仕切り直しだ、その前にこの袋はやっぱり邪魔だな捨てとけ!」
変に腰を折られて調子が狂ったのか、これまで大男は視界に入って無かった背中の麻袋が妙に気になりだして、突然強引にむしり取ると無造作に地面に放り投げた。
ブチッポイッ!
ばさっと袋から雑貨類が転がり出て散らばってしまう。
「返して! 返して下さい、大切な商品なんです!」
(……商品?)
スタスタと歩き去っていた全裸の少年の耳がピクッと反応する。
「ははははは、こんなもんが商品だって? 今時こんなガラクタ売れる訳ねーだろ!」
大男は少女を片手でぶらさげたまま、地面に散らばった安物のポーションや聖水らしき瓶を鉄板入りの軍靴でバキバキと簡単に踏みつぶしていく。
「貴様待てい」
再び全員が振り向くと先程の全裸の少年が戻っていた。少年になったばかりの元デパート建屋九十九神は当然元はただの建物だから、実際に働いていたのは中の人達だが、その中の人達が時折味わった態度の悪い客によるカスハラや商品の盗難や種々のアクシデントなどが走馬灯の様にフラッシュバックして来て、何故か我が事の様にふつふつと怒りが沸き上がって来ていた。
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お読み頂いてありがとうございます。
ここより数部分、主人公の少年が性格が痛い事になっていますが、徐々にマシになる設定です!
是非この後も読んで頂けると嬉しいです!
「ご歓談のところ申し訳ない。ここはどんな異世界で私はどんな姿をしていますか?」
「へ?」
一瞬男達はこの少年が何を言っているのか理解出来ず固まったが、直後に腹を抱えて笑い出した。
「な、なんだコイツ、頭がイカレてやがる! ここはワンダーランドかよ、いくら何でもこりゃリュフミュラン軍の者じゃねえな」
二番目の子分格の男が、頭の横で指先をくるくる回しながら大笑いし過ぎて言葉が途切れ途切れに言った。この軍服3人組は【ニナルティナ王国軍】の軍人で今まさに東隣の弱小国【リュフミュラン国】に侵攻中だが、少年と少女には全くあずかり知らぬ所でだった。
「ご歓談じゃないです! 助けて下さい襲われてるんです!」
「おいおい、あんな奴に助けを求めるか普通よお」
少女が哀願するように助けを求めて叫ぶが、大男は笑いながら両腕を掴みぶら下げている少女をぷらんぷらんと振った。
「……」
全裸の少年はこれでも状況がよく理解出来ないという感じで、眉間にシワを寄せキョロキョロ周囲を見渡すと唐突にシュッと昭和中年サラリーマンの様に手刀を切った。
「では、私はこの辺で失敬!」
こののち物語るがこの主人公の少年、【元々無機質・無感情の<今さっき少年に転生したばかり>の元大理石と鉄筋で出来たデパート建屋の九十九神】としては、過去見て学習した【従業員のニンゲン達】の行動を最大限自然にトレースしたつもりの物だった。
「あっっちょっと待って下さい! 助けて!!」
少女が絶叫するも全裸の少年は意に介さず、くるりと踵を返すとすたすたと何の余韻も無く森の奥に立ち去っていく。
「あれは……本物のアタマの故障だなほっとけ、こんな上物娘が一人でうろついている偶然もありゃ、あんな変なのも居合わせる偶然、二つの偶然がこの宇宙に同時に起こったって事だ」
ガラの悪い不良軍人の癖に、妙なまとめをして綺麗に収めようとする。
「よし仕切り直しだ、その前にこの袋はやっぱり邪魔だな捨てとけ!」
変に腰を折られて調子が狂ったのか、これまで大男は視界に入って無かった背中の麻袋が妙に気になりだして、突然強引にむしり取ると無造作に地面に放り投げた。
ブチッポイッ!
ばさっと袋から雑貨類が転がり出て散らばってしまう。
「返して! 返して下さい、大切な商品なんです!」
(……商品?)
スタスタと歩き去っていた全裸の少年の耳がピクッと反応する。
「ははははは、こんなもんが商品だって? 今時こんなガラクタ売れる訳ねーだろ!」
大男は少女を片手でぶらさげたまま、地面に散らばった安物のポーションや聖水らしき瓶を鉄板入りの軍靴でバキバキと簡単に踏みつぶしていく。
「貴様待てい」
再び全員が振り向くと先程の全裸の少年が戻っていた。少年になったばかりの元デパート建屋九十九神は当然元はただの建物だから、実際に働いていたのは中の人達だが、その中の人達が時折味わった態度の悪い客によるカスハラや商品の盗難や種々のアクシデントなどが走馬灯の様にフラッシュバックして来て、何故か我が事の様にふつふつと怒りが沸き上がって来ていた。
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お読み頂いてありがとうございます。
ここより数部分、主人公の少年が性格が痛い事になっていますが、徐々にマシになる設定です!
是非この後も読んで頂けると嬉しいです!
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