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III プレ女王国連合の成立
蹴りたい砂緒か 上
しおりを挟む「分かりましたっじゃあもう跳ね返しは必要無いですから、取り敢えず操縦席に戻して下さい!」
『……え、誰をですか?』
この非常時にメランに一瞬の溜めがあった事で、彼女が微妙に不機嫌になっている事を感じた。
「あの、メランさん非常時ですよ、急いで下さい?」
『……はい』
あからさまに暗い返事と共にメランは砂緒をル・ツーの操縦席にひょいと投げ入れた。
「兎幸、メラン席代わって下さい。あメラン魔力だけは出し続けて! それと兎幸、イェラのマーカーはどれ?」
「はいは~い、これだよん!」
砂緒のル・ツーはすぐさまイェラの前に立ちはだかった。
『全機に次ぐ、長距離爆撃は無い物として、以後ル・ツーも盾役に入る。十一機で盾役とし、残り残存五機の皆さんは引き続きアタッカーを続けて下さい。混乱せずに冷静に対処すればなんて事の無い相手です!!』
『ハッ!!』
『おおっ司令官殿も盾役だぞっ!!』
『気合を入れろっ』
その間も二発程の発射があったが、全て盾役が跳ね返していた。やはりY子の西側のミャマ地域軍十機よりも、十五機のSRVプラス、ル・ツーの合計魔ローダー十六機では余裕があった。
『ココナツヒメさま、敵が立ちはだかって!!』
『ちいっ結界装置も設置して行っているし容易に接近出来ないじゃないっ』
『寝転びましょう!』
『え?』
『最初からプローン姿勢で瞬間移動して現れて、脚の間から発射しましょう』
『何だかかっこ悪いけど背に腹は代えられないわ。分かったわ、一旦退きますわっ!!』
ココナツヒメとサッワは、長距離射撃場へプローン姿勢を取る為に一旦戻った……
『あれっ消えたっ!?』
『司令官消えましたっ!?』
『防いだからか?』
危機が一旦去って、一瞬余裕を取り戻すSRV隊だった。
「メラン、Y子殿に警戒の連絡を!」
『……Y子さん、こちらの部隊に現れてた半透明が消えました、そちらにまた現れるかもしれません、気を付けて下さい』
『わかったわっ!』
「伝えました」
「あれ、メラン何か怒ってます??」
一瞬間があった。
「分かります?」
「あのー何で怒ってるんです??」
「砂緒さん私が告白してから私の事便利使いしてませんか??」
ギクッとする砂緒。
「い、いえーそんな事ありませんよー」
(そ、そう言えばセレネにも似た様な事言われましたね……)
「私にイェラさんを守れ守れってちょっと酷くないですか?」
「いや、でもイェラは地上兵全部隊の指揮官ですよ?」
砂緒もカチンと来てしまい、少し言い返す。
「あーそーですか、じゃイェラさんに魔ローダー操縦してもらえばどうですか?」
「メランさんってそういうタイプだったのですか? イェラは魔力無いの知ってますよね? 何をそんなに怒る事があるのでしょうか」
「もう良いです。セレネさんとフルエレさんには負けても仕方ないと思ってましたけど、それからさらに他の女の人の世話までさせられるなんて思ってませんでした!」
メランが目を閉じて首を振りながら言った。
「メランって結構難しい子だったんですねえ」
「え、何なのその言い方……酷い」
「じゃ、私降ります」
「はい、どうぞ」
「ふ、二人共やめなよ~~~」
本当にハッチを開けた砂緒を兎幸が割って入って仲裁しようとした直後だった。
ダーーーン!!
遠くの足元付近から大きな発射音がした。
『何だ!?』
『寝転んで発射しやがった!!』
『そこまでするか??』
一旦長距離発射ポイントまで戻ったサッワとココナツヒメは、サッワのレヴェルをプローン姿勢の寝かしたままとし、中腰のココナツヒメのル・ワンがレヴェルの肩を掴んでそのまま瞬間移動をした。突然足元に寝転んだ状態で出現し、脚と脚の間からほぼ地面に並行に散弾を発射して地上兵を狙ったのだった。最初から地面にめり込んでしまう散弾もあるが、SRVに全て防がれるよりは効果があった。この一撃で多数の死傷者を出してしまった。
『アタッカー斬り込め!!』
『行けっ!!』
シュンッ!!
アタッカー達が到達する寸前、二機はまたしても姿を消した。
『ココナさま、あと二発です……』
『あと二発か~~~ル・ツーの足元に居る人間達が指揮官臭い、まずフェイントで他所に出現して発射、直後にル・ツーの足元に出現して最後に発射で離脱だよ!!』
『はい、わかりました。外しません!!』
プローン姿勢のまま魔ローダーの足元の間から発射してすぐさままた元の位置に戻り、相談を済ませると再び瞬間移動をした。
「もう良いです、やっぱり私降ります!!」
「あっ砂緒さん!?」
しかし砂緒はメランに怒って、前言通りル・ツーから飛び降りてしまった。
シュンッ!!
まず砂緒達とは離れた位置に出現するココナツヒメ達。
『また出たぞっ!!』
『座れっ!!』
『サッカーのキーパーみたいに!』
『遅いよっ!!』
バンッ!!
また低い位置からの発射で今度は一気に千人以上の犠牲者が出てしまった。
「ぎゃーーー」
「うわーーーー!!」
「助けてくれっ!!」
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