213 / 569
III プレ女王国連合の成立
サッワと放置された魔ローダー
しおりを挟む
それからその晩は勝利を祝う宴会がトリッシュ城壁内各所で開かれた。
「同盟が何だって言うんだ! 俺達は中部だ、Sa・ga地域だってんだ、それが北部同盟って名前な時点でふざけてる、そんな物に参加出来るか!」
「そうだそうだ、中部の事は中部が、Sa・ga地域の事はSa・ga地域が決める!!」
「俺たちはどこまでも戦い抜くぞ!! サッワさんみたいな人がいりゃ怖い物無しだっ!」
勝利の宴会の酒の勢いであちこちで怪気炎が上がる。サッワはそんな声を聞いて何故か身を小さくして聞こえない様に関わらない様にしていた。
「どうしたサッワ同志、君は今回の撃退の英雄じゃないか、何故宴会の中心に行かない?」
ラン隊長がカレンと共に小さくなっているサッワに声を掛けた。
「いえ、別に僕一人の力で勝てた訳じゃないので……」
サッワは自分の本分は魔ローダー操縦者だと思っているので、こんな局所の戦いで一時的な勝利をしてもあまり意味は無いと感じていた。
「もうラン隊長、サッワは貴方達みたいな人と違ってメドース・リガリァの繊細な人間なんです! 変な宴会に巻き込まないで下さいなっ。それよりも奪ったお金、返さなくて良いんですか??」
カレンが立ち上がって指を立てて、子供を叱る様にラン隊長に詰め寄った。
「あ、そ、そうだなっいますぐ金庫からあの金を持ってくるぜ、サッワさん悪かったな」
ラン隊長は頭を掻きながらサッワに弁解した。
「いいえ、あのお金は本当にメド国からの軍資金です。皆さんで有効的に活用して欲しいです」
「サッワ君何言ってるの?? 大切なお金じゃないの??」
いきなり金貨の返金を断ったサッワを驚愕の顔でカレンが心配する。
「ううん、本当にいいんだ。あれは此処で有効に使った方がいいんだ」
サッワは美女達と十分豪遊したと思い、本心からもうあの金貨は要らないと思っていた。
「本当ですかい? そそりゃどうも……確かにちゃんとネコババしないで有効に使わせてもらうわへへ」
如何にも怪しい返事をしてしまうラン隊長をサッワはちらっと見たが別に何も言わなかった。
「だけど、隊長さんには約束して欲しいんだけど、カレンと家族の人だけは絶対に守ると約束して欲しいんだ」
「そりゃもう命を懸けて守るぜ!」
カレンはサッワが口走った事を聞いてドキッとした。
「ちょっと待ってよ、サッワ何処かに行ってしまうの? 私の事……守ってくれないの??」
「違うよ……もちろん君をちゃんと守るよ」
言われてカレンはドキッとして頬を赤らめた。でも、何時かサッワがどこかに消えてしまうのではという心配は消えなかった。
「そうか……それじゃあ、こっからは二人きりで過ごした方がいいな」
「ちょ、ちょっと変な気を遣わないで!」
カレンが少し恥ずかしそうに怒ったが、それをサッワが制止した。
「うん隊長さん、しばらく二人きりにして欲しいんだ」
「え、サッワくん!?」
「お、おう」
カレンはさらに激しく赤面して俯いた。もちろんサッワは以前のフゥーに対する様に意地悪したいとかそんな訳では全く無かった。
カレンは魔法ランプがあちこちに点灯するトリッシュの夜の街の中をドキドキしながらサッワと二人で歩いた。といっても我々の世界程明るい訳では無く、適度に綺麗な夜空の星々が見えた。
「一体……どんなお話しがあるの? 突然二人きりになりたいだなんて」
「このままじゃ駄目なんだ!」
「え? 何が」
カレンはてっきりロマンチックな話があると思いきや、サッワのテンションが全然想像と違った。
「このままじゃトリッシュ国はすぐにいつか負ける。カレンやラン隊長が心配でならないよ」
「考え過ぎよ……」
カレンは真剣に切羽詰まるサッワの肩に手を置いて落ち着かせた。
「いいや、僕は目の前で見たんだ。尋常じゃない強さの魔呂が同盟に居て、そいつに味方が次々にやられて爆発して行った……なのに僕だけ生き残って……ううっ」
サッワの目の前で部下の美女達が乗る魔ローダーが同盟の蛇輪に連続撃破された事は、当人の知らず知らずの内に激しい心の傷を付けてしまっていた。
「サッワくんは悪くないわ、状況は良く分からないけど……まるで魔ローダーに乗ってたみたい」
「そうだね……僕の力なんて」
「魔ローダーなんて滅多に乗れる人なんて居ない。あんなのは別の世界の人達の話よ」
「そうだね」
いつしか二人は三つ重ねて空き地に置いてある土管に並んで座って星を眺めていた。
「……もう何十年も放置してあるスパーダだって、誰が乗っても何も反応しないもの……」
「……ふーーん、そうなん…………え? スパーダ、何だって??」
「ん? お城の裏に放置してある魔ローダーの事なんだけど……」
カレンの何気ない言葉にサッワは驚愕して、両肩をがしっと掴んで揺らした。
「何処に? 何処に魔呂があるの?? 今すぐ行ける? 案内してよ」
「痛い、痛いよサッワ、離して!!」
言われてカレンをガックンガックン揺らしていた両手をぱっと離す。
「ご、ごめん……痛かった? でも今すぐ魔ローダーを見せて欲しい」
「うん、いいよ、一緒に行こう!!」
カレンは間近で両肩を触られた事で少し動揺して赤面していたが、笑顔で受け入れた。
数十分歩いてお城の裏側の庭園に辿り着くと、いきなり擱座して座り込む魔ローダーが居た。放置されているとは言っても城の庭園のオブジェとして転用されているのか、草や蔦が絡まる事も無く掃除が行き届いて綺麗な状態ではあった。ただそれは荒れ果てていないという意味なだけで、装甲表面等の見た目は数十年の年月による経年劣化は感じられた。
「ちょっと見てみる!!」
「あっ気を付けて」
サッワはいきなりカレンを放置して、脚や腕の装甲を器用に伝って最初から開いている操縦席のハッチに辿り着く。美術品や博物館の様に中に入られない様に、ベニヤ板が貼ってあったが、それを必死に足で何度も蹴り破る。
バキバキッ!!
「あ、なんて事するの……」
カレンはドキドキして周囲を見回した。その間もサッワは気にする事無く、操縦席に座り込む。
「むむ、ちゃんと座席も操縦桿も健在だ……動くか?」
サッワは操縦桿を握り、少し緊張したが手慣れた様子で魔力を注入して行く……
ヴィーーーン
すぐさま何かが回転する音がして、魔法機械が起動する感触が感じられた。
ピ、ピピピ……
操縦桿の間にある小型の魔法サブモニターに文字が浮かんだ。
「……VT25-スパーダ……」
「凄いよ、目が光ってる!! こんな事初めてっどういう事なの??」
カレンが下から見上げて大声で叫んだ。サッワはカレンを驚かせない様に指先をぴくぴく動かしてみると、サッワには指先が動いている感触が得られた。
「……スパーダ、使えるかもしれない」
サッワは後日色々調べようと思い、その日はそのまま降りてカレンを安心させた。
「凄い……目が光ったよ! 本当にサッワって何者なの!? 凄い人なんじゃないの??」
「何者なのって少し失礼だなー」
「そ、そんな失礼な意味じゃないもん! でもごめん」
二人は放置された魔ローダースパーダの前で笑い合った。
一方その頃メドース・リガリァ本国。
「スピネルよ、その方が救出してくれた南側へ派兵していた兵達、Sa・gaの地の守りに活用するぞ。ワシからも礼を言いたい」
重臣達との会議でメド国独裁者貴嶋は唯一信頼するスピネルに軽く頭を下げた。
「頭をお上げ下さい、それがしは任務を果たしただけの事。しかし多くの兵を南側に残してしまった。それが悔やまれます」
「うむ……その者達は全て虐殺されたと宣伝してある。国内の結束力を高める為にも重要な事じゃ」
「はい……」
スピネルは同盟の雪乃フルエレ女王がそんな事をする人間では無いのは誰よりも承知していたが、何も言わなかった。
「所で……サッワが牢を出たと聞きましたが……帰れば挨拶してやろうと思っていたのですが、何処にも見かけません、どこに居るのでしょうか?」
スピネルが軽く周囲をキョロキョロするジェスチャーを交えて聞いた。
「うむ、目立つ場所に出すと家臣に伝えてある、そうだな!」
横に控える家臣に貴嶋が聞いた。
「……はい、サッワには一人でオゴ砦を奪取して来いと命令してあります!」
家臣が得意気に胸を張って言った。
「何ッ」
「何だと!?」
スピネルと貴嶋が同時に驚愕の大きな声を上げた。それを聞いて家臣の血の気が引く。
「あ、あの何か? 目立つ場所に配置するとは罰として死地に赴かせるという事では??」
政治家である家臣の忖度に過ぎる対応だった。
「違うわっ! 文字通りパレードの先頭を歩かせたり、城壁の上に毎日立たせたり、本当に物理的に目立たせるという意味じゃ! なんという事をしてくれた……お前は謹慎じゃ! 引き連れい!!」
「ひっお許しをっ」
貴嶋が命令すると、家臣は警備兵にずりずりと連れられて行った……
「困りましたな。サッワはココナツヒメをおびき出す良い存在。しかしそれがしは、それだけでは無く、サッワ自身にも光る才があると思っておりました」
貴嶋が目を見開いた。
「なんと……スピネル程の実力者がサッワの事をそれ程買っていたとは……」
「あの歳で大人に混じって魔呂で戦うなど、それだけで脅威的なのですよ」
スピネルは遠い目をして語った。
「そうだな、その通りだ。今からでもサッワを探し出すべく各地に捜索部隊を派遣しよう」
「それがよろしいでしょう」
いつしかスピネルはメド国の中で貴嶋の腹心ともいうべき立場となっていた。
「同盟が何だって言うんだ! 俺達は中部だ、Sa・ga地域だってんだ、それが北部同盟って名前な時点でふざけてる、そんな物に参加出来るか!」
「そうだそうだ、中部の事は中部が、Sa・ga地域の事はSa・ga地域が決める!!」
「俺たちはどこまでも戦い抜くぞ!! サッワさんみたいな人がいりゃ怖い物無しだっ!」
勝利の宴会の酒の勢いであちこちで怪気炎が上がる。サッワはそんな声を聞いて何故か身を小さくして聞こえない様に関わらない様にしていた。
「どうしたサッワ同志、君は今回の撃退の英雄じゃないか、何故宴会の中心に行かない?」
ラン隊長がカレンと共に小さくなっているサッワに声を掛けた。
「いえ、別に僕一人の力で勝てた訳じゃないので……」
サッワは自分の本分は魔ローダー操縦者だと思っているので、こんな局所の戦いで一時的な勝利をしてもあまり意味は無いと感じていた。
「もうラン隊長、サッワは貴方達みたいな人と違ってメドース・リガリァの繊細な人間なんです! 変な宴会に巻き込まないで下さいなっ。それよりも奪ったお金、返さなくて良いんですか??」
カレンが立ち上がって指を立てて、子供を叱る様にラン隊長に詰め寄った。
「あ、そ、そうだなっいますぐ金庫からあの金を持ってくるぜ、サッワさん悪かったな」
ラン隊長は頭を掻きながらサッワに弁解した。
「いいえ、あのお金は本当にメド国からの軍資金です。皆さんで有効的に活用して欲しいです」
「サッワ君何言ってるの?? 大切なお金じゃないの??」
いきなり金貨の返金を断ったサッワを驚愕の顔でカレンが心配する。
「ううん、本当にいいんだ。あれは此処で有効に使った方がいいんだ」
サッワは美女達と十分豪遊したと思い、本心からもうあの金貨は要らないと思っていた。
「本当ですかい? そそりゃどうも……確かにちゃんとネコババしないで有効に使わせてもらうわへへ」
如何にも怪しい返事をしてしまうラン隊長をサッワはちらっと見たが別に何も言わなかった。
「だけど、隊長さんには約束して欲しいんだけど、カレンと家族の人だけは絶対に守ると約束して欲しいんだ」
「そりゃもう命を懸けて守るぜ!」
カレンはサッワが口走った事を聞いてドキッとした。
「ちょっと待ってよ、サッワ何処かに行ってしまうの? 私の事……守ってくれないの??」
「違うよ……もちろん君をちゃんと守るよ」
言われてカレンはドキッとして頬を赤らめた。でも、何時かサッワがどこかに消えてしまうのではという心配は消えなかった。
「そうか……それじゃあ、こっからは二人きりで過ごした方がいいな」
「ちょ、ちょっと変な気を遣わないで!」
カレンが少し恥ずかしそうに怒ったが、それをサッワが制止した。
「うん隊長さん、しばらく二人きりにして欲しいんだ」
「え、サッワくん!?」
「お、おう」
カレンはさらに激しく赤面して俯いた。もちろんサッワは以前のフゥーに対する様に意地悪したいとかそんな訳では全く無かった。
カレンは魔法ランプがあちこちに点灯するトリッシュの夜の街の中をドキドキしながらサッワと二人で歩いた。といっても我々の世界程明るい訳では無く、適度に綺麗な夜空の星々が見えた。
「一体……どんなお話しがあるの? 突然二人きりになりたいだなんて」
「このままじゃ駄目なんだ!」
「え? 何が」
カレンはてっきりロマンチックな話があると思いきや、サッワのテンションが全然想像と違った。
「このままじゃトリッシュ国はすぐにいつか負ける。カレンやラン隊長が心配でならないよ」
「考え過ぎよ……」
カレンは真剣に切羽詰まるサッワの肩に手を置いて落ち着かせた。
「いいや、僕は目の前で見たんだ。尋常じゃない強さの魔呂が同盟に居て、そいつに味方が次々にやられて爆発して行った……なのに僕だけ生き残って……ううっ」
サッワの目の前で部下の美女達が乗る魔ローダーが同盟の蛇輪に連続撃破された事は、当人の知らず知らずの内に激しい心の傷を付けてしまっていた。
「サッワくんは悪くないわ、状況は良く分からないけど……まるで魔ローダーに乗ってたみたい」
「そうだね……僕の力なんて」
「魔ローダーなんて滅多に乗れる人なんて居ない。あんなのは別の世界の人達の話よ」
「そうだね」
いつしか二人は三つ重ねて空き地に置いてある土管に並んで座って星を眺めていた。
「……もう何十年も放置してあるスパーダだって、誰が乗っても何も反応しないもの……」
「……ふーーん、そうなん…………え? スパーダ、何だって??」
「ん? お城の裏に放置してある魔ローダーの事なんだけど……」
カレンの何気ない言葉にサッワは驚愕して、両肩をがしっと掴んで揺らした。
「何処に? 何処に魔呂があるの?? 今すぐ行ける? 案内してよ」
「痛い、痛いよサッワ、離して!!」
言われてカレンをガックンガックン揺らしていた両手をぱっと離す。
「ご、ごめん……痛かった? でも今すぐ魔ローダーを見せて欲しい」
「うん、いいよ、一緒に行こう!!」
カレンは間近で両肩を触られた事で少し動揺して赤面していたが、笑顔で受け入れた。
数十分歩いてお城の裏側の庭園に辿り着くと、いきなり擱座して座り込む魔ローダーが居た。放置されているとは言っても城の庭園のオブジェとして転用されているのか、草や蔦が絡まる事も無く掃除が行き届いて綺麗な状態ではあった。ただそれは荒れ果てていないという意味なだけで、装甲表面等の見た目は数十年の年月による経年劣化は感じられた。
「ちょっと見てみる!!」
「あっ気を付けて」
サッワはいきなりカレンを放置して、脚や腕の装甲を器用に伝って最初から開いている操縦席のハッチに辿り着く。美術品や博物館の様に中に入られない様に、ベニヤ板が貼ってあったが、それを必死に足で何度も蹴り破る。
バキバキッ!!
「あ、なんて事するの……」
カレンはドキドキして周囲を見回した。その間もサッワは気にする事無く、操縦席に座り込む。
「むむ、ちゃんと座席も操縦桿も健在だ……動くか?」
サッワは操縦桿を握り、少し緊張したが手慣れた様子で魔力を注入して行く……
ヴィーーーン
すぐさま何かが回転する音がして、魔法機械が起動する感触が感じられた。
ピ、ピピピ……
操縦桿の間にある小型の魔法サブモニターに文字が浮かんだ。
「……VT25-スパーダ……」
「凄いよ、目が光ってる!! こんな事初めてっどういう事なの??」
カレンが下から見上げて大声で叫んだ。サッワはカレンを驚かせない様に指先をぴくぴく動かしてみると、サッワには指先が動いている感触が得られた。
「……スパーダ、使えるかもしれない」
サッワは後日色々調べようと思い、その日はそのまま降りてカレンを安心させた。
「凄い……目が光ったよ! 本当にサッワって何者なの!? 凄い人なんじゃないの??」
「何者なのって少し失礼だなー」
「そ、そんな失礼な意味じゃないもん! でもごめん」
二人は放置された魔ローダースパーダの前で笑い合った。
一方その頃メドース・リガリァ本国。
「スピネルよ、その方が救出してくれた南側へ派兵していた兵達、Sa・gaの地の守りに活用するぞ。ワシからも礼を言いたい」
重臣達との会議でメド国独裁者貴嶋は唯一信頼するスピネルに軽く頭を下げた。
「頭をお上げ下さい、それがしは任務を果たしただけの事。しかし多くの兵を南側に残してしまった。それが悔やまれます」
「うむ……その者達は全て虐殺されたと宣伝してある。国内の結束力を高める為にも重要な事じゃ」
「はい……」
スピネルは同盟の雪乃フルエレ女王がそんな事をする人間では無いのは誰よりも承知していたが、何も言わなかった。
「所で……サッワが牢を出たと聞きましたが……帰れば挨拶してやろうと思っていたのですが、何処にも見かけません、どこに居るのでしょうか?」
スピネルが軽く周囲をキョロキョロするジェスチャーを交えて聞いた。
「うむ、目立つ場所に出すと家臣に伝えてある、そうだな!」
横に控える家臣に貴嶋が聞いた。
「……はい、サッワには一人でオゴ砦を奪取して来いと命令してあります!」
家臣が得意気に胸を張って言った。
「何ッ」
「何だと!?」
スピネルと貴嶋が同時に驚愕の大きな声を上げた。それを聞いて家臣の血の気が引く。
「あ、あの何か? 目立つ場所に配置するとは罰として死地に赴かせるという事では??」
政治家である家臣の忖度に過ぎる対応だった。
「違うわっ! 文字通りパレードの先頭を歩かせたり、城壁の上に毎日立たせたり、本当に物理的に目立たせるという意味じゃ! なんという事をしてくれた……お前は謹慎じゃ! 引き連れい!!」
「ひっお許しをっ」
貴嶋が命令すると、家臣は警備兵にずりずりと連れられて行った……
「困りましたな。サッワはココナツヒメをおびき出す良い存在。しかしそれがしは、それだけでは無く、サッワ自身にも光る才があると思っておりました」
貴嶋が目を見開いた。
「なんと……スピネル程の実力者がサッワの事をそれ程買っていたとは……」
「あの歳で大人に混じって魔呂で戦うなど、それだけで脅威的なのですよ」
スピネルは遠い目をして語った。
「そうだな、その通りだ。今からでもサッワを探し出すべく各地に捜索部隊を派遣しよう」
「それがよろしいでしょう」
いつしかスピネルはメド国の中で貴嶋の腹心ともいうべき立場となっていた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。
しかし、ある日――
「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」
父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。
「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」
ライルは必死にそうすがりつく。
「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」
弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。
失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。
「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」
ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。
だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
俺の旅の連れは美人奴隷~俺だって異世界に来たのならハーレムを作ってみたい~
藤
ファンタジー
「やめてください」「積極的に行こうよ」「ご主人様ってそういう人だったんだ」様々な女の子とイチャイチャしながら異世界を旅して人生を楽しんでいこう。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】
m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。
その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる