8 / 21
07. どんな時でも犬は癒し系
しおりを挟む
バンバンバンっ!!
調子が悪かったパソコンが動かなくなってしまった為、叩いてみるという手法を試みるがウンともスンとも言わなかった。
「とうとう壊れたか?」
深いタメ息をしながら肩を落とした。パソコンが使えないのは色々と困る、麓のお店には無い物を頼んだりするにはとても便利だったのに残念だ。
「と言うコトだから晩ご飯はコレな!」
と言って我が家の愛犬コロ助に出した晩ご飯は畑で取れた野菜をメインにして作ったワンコ飯だ。
しかし目の前に出されたご飯をジッと見つめ動かないコロ助。
「ウゥ~~~ン」
悲しげな声をあげ俺を見つめ訴えてくる。違う!違うんだよ!求めているのはコレじゃないと。
「仕方無いだろ何時ものドックフードは今、無いんだから我慢しろよ」
コロ助のドックフードはいつもネットで注文していたので同じ物は出す事が出来ない。パソコンだけでじゃなくスマホもネットが繋がらない。待ってもいつものご飯が出てこないと分かり背中を丸めた。
「コロ助・・・」
野菜増し増しご飯はお気に召さなかったようだ。
「これなら食べれるだろう」
新しく出した晩ご飯は解凍した赤身が多いブタ肉を出した。匂いで分かったのかお皿を渡した瞬間待ても聞かずご飯を平らげた。先に出した野菜増し増しご飯は言わずもがな俺の晩ご飯のオカヅになった。
「貴重なお肉が・・・」
晩ご飯を済ませ台所で洗い物をしていると玄関から声がした。
「樹、いるか?」
声の主は西岡鉄也だった。
「鉄さん、どうしたんですか?!」
鉄也の側には集落の村長日野さぶ郞がいた。
「君が自衛隊の人といたって聞いて何かあったのかと思ってね」
どうやら鉄也が今朝、俺と一緒にいた自衛隊の人のコトを村長の日野に話しがいった為に詳細を聞きに来たようだ。俺は洗い物の手を止めて居間に二人を通し話しをした。話しといっても、それ程話す様な内容的なモノは特段無かったので今朝あった事を二人に話した。
「✕✕市から避難して来た?!何でそんな遠い処からわざわざ?」
疑問を口にした鉄也は悩んだ。
「一般の人も一緒だったって本当かい?」
自衛隊の人と合わせて約三十~四十位の人数だったコトと旅館場々を紹介した事を伝えた。人数が人数なだけにそうせざるを得なかったと。
「しかし、避難って災害か何かにあったのか?」
また疑問を口にした鉄也だった。
「取り敢えず明日の朝、皆にも話しをしておくよ」
村長の日野がそう告げ帰っていき残った鉄也と少し話しを続けた。
「避難したって何があったんだ?」
「さぁ?でも避難した人達は疲れきっていたのか顔色が悪い人ばかりでした」
眉間にシワん寄せ腕を組み真剣な面持ちで鉄也は言った。
「災害があったんなら連絡とか流れる筈じゃないか?何も聞いてないぞ?」
怪しむ鉄也に、そう言えばと俺は話しを続けた。
「最近何故かパソコンもスマホもネットが開かないんですよね?」
「ネット使えないのか?!」
はい、と答えた。
「それに車両販売しに来ていたうみさんの事を聞きにいったら市役所からの返答も様子がおかしかったです」
麓より外の外部の情報が入って来ない事に俺は少し違和感を感じ鉄也にその事も相談した。
「まぁ、まずは明日集落の皆にも話しをしてから色々考えようか今考えても答えなんて出ないしな」
そう言って鉄也も帰っていった。
フゥっとタメ息を付き玩具に噛みつき遊んでいるコロ助を見た。
「コロ・・・自衛隊の人が来たのが分かって走り出したのか?」
俺が呟くと首を傾けつぶらな瞳を向けるコロ助。
「・・・」
ハッと何かに気づいたコロ助は玩具を咥えて逃げだした。勘の良い奴め!
「やっぱり可愛い!オスだけど可愛いぞコロ助!」
こういうのを世間では"バカ親"と呼ぶんだろうがコロ助への愛を今日も抑えられずに逃げるコロ助を追いかけスキンシップをしようと試みた。
「おい、居るかい?」
声を掛けて来たのは堀さんだった。
「ほ、堀さん・・・お疲れ様です」
見られてしまった事に恥らい訪ねて来た堀さんを居間に通そおと思ったが断られた。
「アンアンッ!」
コロ助は可愛気な声をあげた。その相手は堀さんの愛犬メスのハルちゃんにだった。
しかし、堀さんの愛犬ハルはコロ助に素っ気なかった。興味無しと言わんばかりに目を反らす、その姿はまるでツンデレ女子だがコロ助は気にせず尻尾をブンブン振る。
「もしかして山への帰りっすか?」
狩猟で使う猟銃を肩に担いでいた。朝だけでなく夜も山へ入っていたようだ。
「夜は時々な、時間だけはあるから」
奥さんを早くに亡くされ愛犬のハルとの生活、時間だけはあるからと夜も歩きに行くらしい。年齢を感じさせないアクティブな人だ。
「渡す物があって寄っただけだ」
ホラよと言って脇に抱えた竹の葉の包みを渡してきた。包みを開くと中身はお肉だった。
「燻製ですか、いいんですか?!」
「趣味で試しに作ってみたんだ」
狩猟に山歩き、畑仕事もしているのに趣味で燻製肉まで作っている堀さん。
凄い人だ、この人は。
「にしても、西岡とこの旦那の姿を見たが何かあったのか?」
「・・・実は」
俺は今朝あった事を訪ねて来た村長と西岡さんと同じ様に説明をした。
「自衛隊が避難?何だソレ」
何やら首を傾げた。
「明日集落の皆を集めて話しをするそうです」
「避難・・・連絡も何も無かったが・・・」
連絡?と俺が言うと堀さんが説明してくれた。
何十年も前に自然災害の影響で麓にも少なからず被害があってから何かある時は麓にある市役所が災害後に設置したスピーカーから放送が流れる事になっているとの事、十二時のお昼の時間や夕方の十六時に流れる放送の様にと。
俺はついでに堀さんに相談してみた。
相談したのは車両販売の青海さんの事や市役所の対応がおかしかった事や最近ネットが使えなくなった事など年上である堀さんに何か知恵やアドバイスを貰いたく話しをしたのだ。
「そう言えば最近うみさん、無かったな。ネットに関しては素人だから何とも言えんが確かに色々変なコトが重なって偶然にしてはおかしいな」
結局アドバイス等は頂けなかった。
堀さんも用を済ませ帰る前に言われた。
「念のために持ってる銃の手入れはしておけよ、麓や自衛隊も気になるが俺はどうも山の方が気になる」
山から生き物が消えるなんてと呟きながら帰っていった。
「銃の手入れか・・・」
免許は取ったが一度も使ったコトは無かった。
俺はこの時気づいていなかった。この先起きるであろう事態に。
麓より外の世界でおこっている事を。自衛隊が避難した本当の理由を。
調子が悪かったパソコンが動かなくなってしまった為、叩いてみるという手法を試みるがウンともスンとも言わなかった。
「とうとう壊れたか?」
深いタメ息をしながら肩を落とした。パソコンが使えないのは色々と困る、麓のお店には無い物を頼んだりするにはとても便利だったのに残念だ。
「と言うコトだから晩ご飯はコレな!」
と言って我が家の愛犬コロ助に出した晩ご飯は畑で取れた野菜をメインにして作ったワンコ飯だ。
しかし目の前に出されたご飯をジッと見つめ動かないコロ助。
「ウゥ~~~ン」
悲しげな声をあげ俺を見つめ訴えてくる。違う!違うんだよ!求めているのはコレじゃないと。
「仕方無いだろ何時ものドックフードは今、無いんだから我慢しろよ」
コロ助のドックフードはいつもネットで注文していたので同じ物は出す事が出来ない。パソコンだけでじゃなくスマホもネットが繋がらない。待ってもいつものご飯が出てこないと分かり背中を丸めた。
「コロ助・・・」
野菜増し増しご飯はお気に召さなかったようだ。
「これなら食べれるだろう」
新しく出した晩ご飯は解凍した赤身が多いブタ肉を出した。匂いで分かったのかお皿を渡した瞬間待ても聞かずご飯を平らげた。先に出した野菜増し増しご飯は言わずもがな俺の晩ご飯のオカヅになった。
「貴重なお肉が・・・」
晩ご飯を済ませ台所で洗い物をしていると玄関から声がした。
「樹、いるか?」
声の主は西岡鉄也だった。
「鉄さん、どうしたんですか?!」
鉄也の側には集落の村長日野さぶ郞がいた。
「君が自衛隊の人といたって聞いて何かあったのかと思ってね」
どうやら鉄也が今朝、俺と一緒にいた自衛隊の人のコトを村長の日野に話しがいった為に詳細を聞きに来たようだ。俺は洗い物の手を止めて居間に二人を通し話しをした。話しといっても、それ程話す様な内容的なモノは特段無かったので今朝あった事を二人に話した。
「✕✕市から避難して来た?!何でそんな遠い処からわざわざ?」
疑問を口にした鉄也は悩んだ。
「一般の人も一緒だったって本当かい?」
自衛隊の人と合わせて約三十~四十位の人数だったコトと旅館場々を紹介した事を伝えた。人数が人数なだけにそうせざるを得なかったと。
「しかし、避難って災害か何かにあったのか?」
また疑問を口にした鉄也だった。
「取り敢えず明日の朝、皆にも話しをしておくよ」
村長の日野がそう告げ帰っていき残った鉄也と少し話しを続けた。
「避難したって何があったんだ?」
「さぁ?でも避難した人達は疲れきっていたのか顔色が悪い人ばかりでした」
眉間にシワん寄せ腕を組み真剣な面持ちで鉄也は言った。
「災害があったんなら連絡とか流れる筈じゃないか?何も聞いてないぞ?」
怪しむ鉄也に、そう言えばと俺は話しを続けた。
「最近何故かパソコンもスマホもネットが開かないんですよね?」
「ネット使えないのか?!」
はい、と答えた。
「それに車両販売しに来ていたうみさんの事を聞きにいったら市役所からの返答も様子がおかしかったです」
麓より外の外部の情報が入って来ない事に俺は少し違和感を感じ鉄也にその事も相談した。
「まぁ、まずは明日集落の皆にも話しをしてから色々考えようか今考えても答えなんて出ないしな」
そう言って鉄也も帰っていった。
フゥっとタメ息を付き玩具に噛みつき遊んでいるコロ助を見た。
「コロ・・・自衛隊の人が来たのが分かって走り出したのか?」
俺が呟くと首を傾けつぶらな瞳を向けるコロ助。
「・・・」
ハッと何かに気づいたコロ助は玩具を咥えて逃げだした。勘の良い奴め!
「やっぱり可愛い!オスだけど可愛いぞコロ助!」
こういうのを世間では"バカ親"と呼ぶんだろうがコロ助への愛を今日も抑えられずに逃げるコロ助を追いかけスキンシップをしようと試みた。
「おい、居るかい?」
声を掛けて来たのは堀さんだった。
「ほ、堀さん・・・お疲れ様です」
見られてしまった事に恥らい訪ねて来た堀さんを居間に通そおと思ったが断られた。
「アンアンッ!」
コロ助は可愛気な声をあげた。その相手は堀さんの愛犬メスのハルちゃんにだった。
しかし、堀さんの愛犬ハルはコロ助に素っ気なかった。興味無しと言わんばかりに目を反らす、その姿はまるでツンデレ女子だがコロ助は気にせず尻尾をブンブン振る。
「もしかして山への帰りっすか?」
狩猟で使う猟銃を肩に担いでいた。朝だけでなく夜も山へ入っていたようだ。
「夜は時々な、時間だけはあるから」
奥さんを早くに亡くされ愛犬のハルとの生活、時間だけはあるからと夜も歩きに行くらしい。年齢を感じさせないアクティブな人だ。
「渡す物があって寄っただけだ」
ホラよと言って脇に抱えた竹の葉の包みを渡してきた。包みを開くと中身はお肉だった。
「燻製ですか、いいんですか?!」
「趣味で試しに作ってみたんだ」
狩猟に山歩き、畑仕事もしているのに趣味で燻製肉まで作っている堀さん。
凄い人だ、この人は。
「にしても、西岡とこの旦那の姿を見たが何かあったのか?」
「・・・実は」
俺は今朝あった事を訪ねて来た村長と西岡さんと同じ様に説明をした。
「自衛隊が避難?何だソレ」
何やら首を傾げた。
「明日集落の皆を集めて話しをするそうです」
「避難・・・連絡も何も無かったが・・・」
連絡?と俺が言うと堀さんが説明してくれた。
何十年も前に自然災害の影響で麓にも少なからず被害があってから何かある時は麓にある市役所が災害後に設置したスピーカーから放送が流れる事になっているとの事、十二時のお昼の時間や夕方の十六時に流れる放送の様にと。
俺はついでに堀さんに相談してみた。
相談したのは車両販売の青海さんの事や市役所の対応がおかしかった事や最近ネットが使えなくなった事など年上である堀さんに何か知恵やアドバイスを貰いたく話しをしたのだ。
「そう言えば最近うみさん、無かったな。ネットに関しては素人だから何とも言えんが確かに色々変なコトが重なって偶然にしてはおかしいな」
結局アドバイス等は頂けなかった。
堀さんも用を済ませ帰る前に言われた。
「念のために持ってる銃の手入れはしておけよ、麓や自衛隊も気になるが俺はどうも山の方が気になる」
山から生き物が消えるなんてと呟きながら帰っていった。
「銃の手入れか・・・」
免許は取ったが一度も使ったコトは無かった。
俺はこの時気づいていなかった。この先起きるであろう事態に。
麓より外の世界でおこっている事を。自衛隊が避難した本当の理由を。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヒトの世界にて
ぽぽたむ
SF
「Astronaut Peace Hope Seek……それが貴方(お主)の名前なのよ?(なんじゃろ?)」
西暦2132年、人々は道徳のタガが外れた戦争をしていた。
その時代の技術を全て集めたロボットが作られたがそのロボットは戦争に出ること無く封印された。
そのロボットが目覚めると世界は中世時代の様なファンタジーの世界になっており……
SFとファンタジー、その他諸々をごった煮にした冒険物語になります。
ありきたりだけどあまりに混ぜすぎた世界観でのお話です。
どうぞお楽しみ下さい。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる