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04. 不便さあってこそスローライフ生活である

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 「はっ・・・ハクションっ!!」
 今日は自分のくしゃみで目が覚めてしまった。
 いつもは毎朝コロ助が起こしてくれていたのにと思っているとジィ~と見つめるコロ助がソコにいた。
 フンフンと鼻を鳴らし何かを訴えるコロ助に俺は。
 「あと、五分・・・」っと言って布団の中でモゾモゾと動いた。 
 「ガウガウっ!!」
 耳元で叫ぶコロ助。
 「起きる!起きるからっ!!」
 両腕を広げておはようのバグを求めたがコロ助はソレを拒否し距離を取った。朝ご飯を出すと今日もガツガツと飯を食べた。
 自分も軽く朝食を取りながら家にあるパソコンの電源を付けた。最近調子が悪いのかデータの読み込みが遅かったり注文すれば遅くても二、三日で物が届いていたのに倍の日にちに品物が届く用になった。
 終いには一週間位前から電源も付かなくなった。
 唯一の近代文明化のパソコンが不調だ。
 「買ったばかりになのに何故?」
 今日は朝から予定がある。
 麓のお店で日用品の買い出しと市役所へ青海さん達について。
 ご飯を食べ終わりコロ助と日課の散歩へ向かった。
 「今日も朝は寒いし、山は静かだなぁ~」
 そんな俺の言葉も聞かずダッシュ、ダッシュなコロ助くん。
 君は何でいつも散歩は走るんだい?歩いても良くないかい?
 散歩も終わり麓のお店が開くまで畑仕事を行った。
 畑仕事をしていると太陽が昇り日差しが集落を温める。この時間帯になると起床する人が増えていく。
 朝の七時になると賑やかになってくる。
 「おはよーいっちゃん」
 「コロ~」
 云わずもがな西岡鉄也の娘と、その後には弟の大地がくっついて来た。大地はコロ助に一直線。
 「またか・・・」と思うしかなかった。注意しても相手は子供・・・どうしたもんか。そして、相変わらず愛嬌をふるコロ助。
 学校はどうしたんだと聞くと優子は「これから~」とのん気に答えた。二人を追って鉄也が自宅へ来た。
 「お前らぁ、また此処かぁ!」
 いつもの如く車へ押し込み学校のある麓へ車を走らせた。なんやかんやで朝の十時頃、麓へ行く支度をするとオヤツを咥え"自分も連れてけ"アピールをするコロ助。悩んだが留守番をさせて畑が荒らされたり家の中が泥まみれになる悲惨な光景を想像し連れて行くコトにした。
 帰ってからシャンプーするのは嫌だし・・・。 
 コロ助を徐っ席に乗せエンジンをかけ出発した。
 「なんで舗装しないんだ、この道は?!」
 ガタガタの砂利道を運転し車一台がやっと通れる細道を走る。時々左右に揺られながら心臓をドキドキさせながら三十分弱かけてくだった。
 「怖い!怖かった!!鉄さん毎朝この道を運転してるのか」
 ハンドルを握る手を震えながら頑張った。
 「帰りもこの道を運転するのか・・・」
 隣で嬉しそうにするコロ助を見て気持ちを落ち着かせ先に日用品の買い出しを済ませる為にスーパーへ向かった。
 スーパーといっても都会にある様な大型のお店では無い。食料品、雑貨、衣類、etc・・・揃っているお店だ。麓で生活している人にとってはなくてはならないライフラインである。
 「いらっしゃい」
 レジに立つ男性が挨拶をする。
 頼まれた品をカートに乗せていると声をかける人がいた。
 「すいません、同じ商品は一人二つまででお願いします。」
 お店の名前が入っていた作業着を着た若い男性だった。
 「今、物の輸入が少ないので・・・」と営業スマイルをしながら説明してきた。
 言われてみればお店の商品が少ない。商品棚は所々隙間があったり数が少なかったりとまばらだ。
 だからと言って此方も引く訳にはいかない。集落の人に頼まれた用事を済ませなければと声を掛けた男性に説明をした。
 「実は・・・」
 「そんな事、言われても・・・」
 若い男性は困りレジに立つ男性に助けを求めた。
 「嗚呼、アンタ山の方に住んでる人。良いよ、購入していって」
 あっさりと日用品の買い出しは終わったが店を出る時に何やら後ろで揉めている声が聞こえた様な気がしたが振り返らず店を出た。
 「良し、次は市役所だ!」
 車を走らせ市役所に到着した。
 コロ助にまた車の中で待っててもらい建物の中に入った。
 「こんにちは」
 市役所の窓口で受付をしていた人が挨拶をした。
 「今日はどうされたんですか?」
 「実は・・・」
 自分が市役所へ訪れた理由を対応してくれた受付けの女性に話しをした。
 「車両販売が来ていない?」
 受付けの女性は何やら困惑した表情だ。
 「ちょっと待ってて下さい!!」
 そう言うと奥の方へと消えていった。
 モノの数分後に別の人が奥から現れた。
 「すいませんね、車両販売してくれていた青海さん達は暫くお休みするとの事で、そちらに伝達し忘れました」
 年配の男性が自分の対応を行った。
 「休み?!」
 年配の男性は申し訳無いと言いながらハッハッハと明るく笑った。
 「いつ頃再開されますか?」
 「詳しい事は何も・・・」
 「じゃあ代わりの人は?」 
 「すいませんね、まだ何も決まってなくて」
 決まり次第ご連絡差し上げますのでとの事だった。
 市役所から出て車に乗り込み出発した。

 「主任、伝えないで良かったんですか?」
 最初に受付けを対応した女性が年配の男性に不安げに言う。
 「仕方ないだろ、政府から規制がかかってますなんて言えないだろ?」
 「そうですけど・・・」
 「でも、暫くすれば良くなるよ。前に流行っていた●●●も何年かして治まったんだから」


 買い物と用事を済ませ集落へ戻った。
 ガタガタの砂利道を走り細い一本道を安全運転で走行。
 「ひぃぃ~怖いっ!怖いっ!」
 四十分掛けて開けた場所に出た。家の敷地内に車を止めると足がガクガク膝が笑っていた。
 そんな自分とは逆にコロ助は喜んでいる。
 帰って来た事を村長の日野さんに伝えた。
 「いや~ありがとう、他にも困っていた人がいたから助かるよ」
 お礼にと山で取れた山菜を頂いた。
 「折角貰ったし今日は山菜の天ぷらにしようかな?」
 頂いた山菜を見るとお腹が鳴った。



 その頃、麓の村から離れた場所で何台もの大きなトラックがゆっくりと走っている。迷彩柄が入った服を着た人達が荷物を背負いながら武器を手に歩く。
 荷台部分は天井が無く多くの人が座っている。
 「隊長、前方にトンネルです!」
 「安全確認してから進む。五十嵐、渋谷、先行してくれ」
 隊長と呼ばれた男性が若い男性二人に指示をだした。
 「確認してきます」
 トンネルの中を進み安全確認が取れ合図を送った。
 「良し、進もう」
 トンネルを抜けて田舎町に出た。
 「此処はどの辺りだ?」
 隊長が聞くと地図を見ていた若い女性が言った。
 「地図だと✕✕✕県の✕✕市辺りです」
 隊長は少し考え乗っていたトラックを止めて数人の隊員に指示を出した。
 「急いで作業を初めてくれ!!」
 指示された隊員は入って来たトンネルにペタペタと貼りつけトンネルから離れコードを伸ばし低い体制をとった。
 隊長が指示を出した。
 「点火っ!!」
 一人の隊員が復唱した。
 「点火っ!!」
 カチっ!

 ドォォォーーーッ!!

 大きな爆発音が響き、トンネルが崩れた。
 トンネルが崩れたのを確認し隊長が指示を出した。
 「出発っ!」
 

 トンネルを爆発した反動で誰も気づかない小さな揺れに気づいたモノがいた。
 「ガウガウっ!!」
 それはコロ助だった。
 時刻は夜中の二時を回っていた。
 「コロ、どうしたんだ?」
 「ガウガウっ!」
 玄関の方を吠えるコロ助、何か有るのかと思い玄関の戸を開けてもまだ吠える。
 「外に何か有るのか?」
 冷え込む時間帯、厚着してても冷気が肌に伝わると身震いしてしまう。引っ張り内に入れても動こうとしないコロ助を暖かい部屋の中に抱き上げて宥めてめ毛を逆立て唸っている。
 「どうしたんだよ?」
 撫でて落ち着かせても唸り声をコロ助は止めなかった。
 
 その後疲れた俺が根負けし、いつの間にかコロ助を抱いたまま寝落ちしてしまった。
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