Forever Friends

てるる

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ばいばい、工藤くん3

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その夜のうちに、工藤くんからご挨拶メールが届いた。
実際、マメだな。


「また会えるといいね」


って、さっき別れたばかりじゃない。
思わず吹き出してしまった。


また小学生の子どもたちのお世話に追われ、家事労働に埋没し、
毎日のようにメールをやり取りする日常がはじまる。

あたしはただの専業主婦だし、工藤くんは高校の先生だから、
県外出張なんてものは、めったにない。
弓道部の大会のあれこれなら、あるのかも知れないけど、

「弱小だからね」

と、苦笑いしていたっけ。

だから、また会えるとしたら、OB会のときだけなんだよね。
次はマンガ・ミュージアムに行こうか。
でも、マンガ読んで1日終わっちゃうのもアレか。
なんて、楽しくおしゃべりをしていたある日。


「ゴメン、しばらく会えなくなります」


青天の霹靂。
ウソー!
自分が会いたい会いたい言うてるくせに!
しばらくって、どんなに頻繁でも年に1回しか会えないのに、
何ソレ??


「3人目に恵まれました。
3年くらいパパ業でいっぱいになりそうです」


うれしい報告だった。


いくら自然のなりゆきとはいえ、流産は悲しいことだ。
奥さんもつらかったろうけど、ある意味妊娠の当事者でない
父親というものは、観念的になりすぎてしんどいのでは
ないかと思う。
あたしは流産したことはないけど、苦しくても悲しくても、
多分一連の処置の流れで、自分の身体の中で起きたこととして
気持ちにけじめをつけることができる気がする。
でも、父親になるひとは、ただ見ているしかないから、
特に工藤くんみたいな感受性の豊かなひとには厳しい経験に
なっただろうね。

でも、そのつらい試練を乗り越えたことで、
工藤くんはさらに強くなったろうし、悲しみを抱えた
生徒たちに寄り沿う心も磨かれたと思うんだよ。

喜びを分かち合うことは難しいことではないけれど、
悲しみを分かち合うことは、とっても難しいと思うから。


この世に出てくる前にお空に帰ってしまった
あわてんぼうの赤ちゃんがまた工藤くんのところに
戻ってきてくれたようにあたしは思った。


おめでとう、工藤くん。
また会える日まで楽しみに待ってるね。

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