Forever Friends

てるる

文字の大きさ
上 下
40 / 47

さらば、カシマさん

しおりを挟む
久々のOB会に出席し、オムライスをほおばり、
レモン・パイを共喰いするふわふわメレンゲみたいな
カシマさんを拝めて俺は当初の目的をすべて果たした
喜びに浸っていた。

カシマさんは水で喉を潤すと、アリスのウサギみたいに
腕時計を見た。


「そろそろ行かないと、だね」


その顔はもう女学生ロンダさんではなく、鹿島夫人、
あるいはママの面差しである。
名残惜しいけど、そうそう引き留めてもいられないね。


スマホが苦手な俺がたったひとつだけ
ご愛用している機能は新幹線の予約アプリだ。
席を立つ前にシートを確保しておく。


「あたしも名古屋まで新幹線に乗ろうかな」


40分くらいだけど、一緒に居られるもんね。
と、カシマさんが恥ずかしそうに笑った。

その前にエキナカで少し遊べる。
俺は時間に余裕を持たせて、新幹線のチケットを取った。

新幹線の構内に入ると、書割りみたいな土産物屋さんが
立ち並ぶ。
運がよければ、出店で俺の大好きな豆大福に巡り合える。
本店では大行列になるのに、みんな知らないのかな、
山積みになってるんだぜ!

京都の友だちを訪ねることはあまりないけど、
関西のひとにお土産を持ってくることほど、
困難な課題は、ない。

和菓子は京都のしか、おいしくない。

これについては、俺は断言する。
地方のモノで、関西のひとを喜ばせることなど
ほぼ不可能だから、地元のパティシエのとか、
高価な珈琲や紅茶を手土産にすることに決めている。

カシマさんは、眼光炯炯として鹿島家のお土産を
物色している。
どうやら、抹茶のラングドシャあたりに目星をつけたようだ。
八ツ橋なら聖護院だね、カシマさん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。 そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。 そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。

独り日和 ―春夏秋冬―

八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。 彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。 仕事を探す四十代女性。 子供を一人で育てている未亡人。 元ヤクザ。 冬とひょんなことでの出会いから、 繋がる物語です。 春夏秋冬。 数ヶ月の出会いが一生の家族になる。 そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。 *この物語はフィクションです。 実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。 八雲翔

古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。 読んでくださりありがとうございました。 「古屋さんバイト辞めるって」  おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。  学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。  バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……  こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか? 表紙の画像はフリー素材サイトの https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。

伊緒さんの食べものがたり

三條すずしろ
ライト文芸
いっしょだと、なんだっておいしいーー。 伊緒さんだって、たまにはインスタントで済ませたり、旅先の名物に舌鼓を打ったりもするのです……。 そんな「手作らず」な料理の数々も、今度のご飯の大事なヒント。 いっしょに食べると、なんだっておいしい! 『伊緒さんのお嫁ご飯』からほんの少し未来の、異なる時間軸のお話です。 「エブリスタ」「カクヨム」「すずしろブログ」にても公開中です。 『伊緒さんのお嫁ご飯〜番外・手作らず編〜』改題。

三度目の庄司

西原衣都
ライト文芸
庄司有希の家族は複雑だ。 小学校に入学する前、両親が離婚した。 中学校に入学する前、両親が再婚した。 両親は別れたりくっついたりしている。同じ相手と再婚したのだ。 名字が大西から庄司に変わるのは二回目だ。 有希が高校三年生時、両親の関係が再びあやしくなってきた。もしかしたら、また大西になって、また庄司になるかもしれない。うんざりした有希はそんな両親に抗議すべく家出を決行した。 健全な家出だ。そこでよく知ってるのに、知らない男の子と一夏を過ごすことになった。有希はその子と話すうち、この境遇をどうでもよくなってしまった。彼も同じ境遇を引き受けた子供だったから。

母になる、その途中で

ゆう
恋愛
『母になる、その途中で』 大学卒業を控えた21歳の如月あゆみは、かつての恩師・星宮すばると再会する。すばるがシングルファーザーで、二人の子ども(れん・りお)を育てていることを知ったあゆみは、家族としての役割に戸惑いながらも、次第に彼らとの絆を深めていく。しかし、子どもを愛せるのか、母親としての自分を受け入れられるのか、悩む日々が続く。 完璧な母親像に縛られることなく、ありのままの自分で家族と向き合うあゆみの成長と葛藤を描いた物語。家庭の温かさや絆、自己成長の大切さを通じて、家族の意味を見つけていく彼女の姿に共感すること間違いなしです。 不安と迷いを抱えながらも、自分を信じて前に進むあゆみの姿が描かれた、感動的で温かいストーリー。あなたもきっと、あゆみの成長に胸を打たれることでしょう。 【この物語の魅力】 成長する主人公が描く心温まる家族の物語 母親としての葛藤と自己矛盾を描いたリアルな感情 家族としての絆を深めながら進んでいく愛と挑戦 心温まるストーリーをぜひお楽しみください。

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)

武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
 神楽坂高校の俺は、ある日学食に飯を食いに行こうとしたら、数学の堂本が一年の女子をいたぶっているところに出くわしてしまう。数学の堂本は俺にω(オメガ)ってあだ名を付けた意地悪教師だ。  ωってのは、俺の口が、いつもωみたいに口元が笑っているように見えるから付けたんだってさ。  いたぶられてる女子はΣ(シグマ)って堂本に呼ばれてる。顔つきっていうか、口元がΣみたいに不足そうに尖がってるかららしいが、ω同様、ひどい呼び方だ。  俺は、思わず堂本とΣの間に飛び込んでしまった。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...