Forever Friends

てるる

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イノダのカシマさん5

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遠距離恋愛の同志として、共闘してきた仲としては、
片方が成就しなかったのは、大いなる沈痛だったのだろう。
ひとの失恋をこんなに悲しんでくれるひとが居るだろうか。

俺は袖を握るカシマさんの手をもぎ取り、
堅く握手を交わし、感謝の意を表明した。
ハグはできない。
日本人だから。
もし俺が誰か成人女性を抱き締めるようなことがあれば、
邪な心抜きには無理だ。
よしんば、下心はなかったとしても、
(正直、抱き締められたかったのは
こちらのほうだ!)もし自分のカノジョが
友人という名の失恋男に抱きつかれたりしたら、
俺は多分発狂するし、BIGな鹿島先輩だとて
思いは同じであろう。
男というものは、こと支配欲や所有欲が
からむと、きっと女性よりはるかに嫉妬深い。
遮那王がハリセンボンの最期を迎えることになる。

泣きぬれて完熟富有柿みたいになったカシマさんが
面白くて、つい笑ってしまい、カシマさんが
さらに赤くなって怒りだしたので、ますます笑えてきて、
俺の傷はだいぶ癒えた。

友だちというのは本当にありがたい。


それから10年近く後に、俺たちが再び元の鞘に
収まったときは、メールで知らせたんだが、


「そうなると思ってたんだよ!」


と、喜びいっぱいに声を弾ませてわざわざ電話を
してくれたっけね。


もし、カシマさん、もといロンダさんがフリーであっても、
俺はつきあうことはなかった気がしている。
異性として見れないというのは、魅力がないという
けなし言葉になるようだけど、俺にとっては
同腹のきょうだい以上の特別な存在なんだよ。
恋愛至上主義者にはわかるまいが、ロンダさんは女の子としても魅力的だし、
友人として最高のパートナーと俺は思ってる。

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